カヴァレリア・ルスティカーナ & 道化師 @ メトロポリタン・オペラ

昨シーズンに引き続いての上演となったヴェリズモ・オペラの代表作コンビ、カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師

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今シーズンの上演の目玉は、ロベルト・アラーニャトゥリッドゥカニオ役を務める事。道化師での相手役ネッダには、奥方のアレクサンドラ・クルザクが務める予定だったのだが、病気のため降板となり、代わってアメリカのソプラノ、ダニエッレ・パスティンが出演した。

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すでに2009年にメトで両役を歌っているアラーニャ、どちらかといえば、ドラマティックな声を要求される役よりリリカルなものの方が声質に合っていると思うのだが、アイーダラダメス役など、ドラマティックな役もこなしているオールラウンダーなので、特により叙情的なカヴァレリア・ルスティカーナの方ではさすがと思わせる歌唱を聴かせてくれた。この人はメロディラインを綺麗に浮かび上がらせて歌える人なので、何を歌ってもそれなりの水準で聴かせてくれるのが素晴らしい。

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カヴァレリア・ルスティカーナサントゥッツァ役はロシアのメゾ・ソプラノ、エカテリーナ・セメンチュクで、豊かな声を生かした情感のこもった、満足のいく歌唱。

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クルザクに代わってネッダ役を歌ったパスティンも好唱。カヴァレリアアルフィオ役・道化師トニオ役を歌ったゲオルグ・ガグニーゼも貫禄の歌唱で舞台を盛り立てていた。

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指揮は、サンフランシスコ・オペラの音楽監督で、メトでもおなじみのニコラ・ルイゾッティで、いつもながらの手堅い指揮ぶり。メトの合唱団もいつもながらの高い水準でした!

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Cavaleria Rusticana (1890年、ローマ・コスタンツィ劇場にて初演)
演出: David McVicar
指揮: Nicola Luisotti
Turiddu: Roberto Alagna
Santuzza: Ekaterina Semenchuk
Alfio: George Gagnidze
Lola: Rihab Chaieb
Mamma Lucia: Jane Bunnell ほか

Pagliacci (1892年、ミラノ・ヴェルメ劇場にて初演)
演出: David McVicar
指揮: Nicola Luisotti
Canio: Roberto Alagna
Nedda: Danielle Pastin
Tonio: George Gagnidze
Beppe: Andrew Bidlack
Silvio: Alexey Lavrov ほか

2018年1月11日、メトロポリタン歌劇場


⇒ ガグニーゼ出演、2013〜14年シーズンのメト「カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師」感想

⇒ アラーニャ出演のメト「シラノ・ド・ベルジュラック」感想

⇒ セメンチュク出演のメト「ヴェルディ: レクイエム」感想

⇒ ルイゾッティ指揮のメト「椿姫」感想

⇒ マクヴィカーによる新演出のメト「ノルマ」感想
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テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

フィガロの結婚 @ メトロポリタン・オペラ

今回は、およそ1年半ぶりのフィガロの結婚

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今シーズンは、スザンナ役でメト・デビューとなったドイツのソプラノ、クリスティアーネ・カルクをはじめ、比較的若手のキャスト!

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さてそのカルク、今回がメト・デビューとはいっても、ザルツブルク音楽祭への出演など、既にヨーロッパでは実績十分の歌手。やや細めの感じの声質という印象だったが、演技とともに、存在感十分の歌唱でなかなかだった!

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伯爵夫人役は前回2016年3月の公演でもこの役を歌って好印象だったアメリカのソプラノ、レイチェル・ウィリス=ソレンセンで、今回も豊かな声量の美声で満足のいく歌唱だった。

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ケルビーノイタリアのメゾ、セレーナ・マルフィで、こちらも活気のある演技と生き生きとした歌唱でこの役らしさが出ていた。

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対する男声陣は、フィガロチェコのバス=バリトン、アダム・プラチェトカ、伯爵にヴェネズエラのバス=バリトン、ルカ・ピサロニだったが、女性陣に比べ少し影が薄い感じだった。まあ、劇の筋も、男性陣が女性陣にしてやられるという感じなので、これで良いのかも知れないが。。。

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指揮は古楽でおなじみのハリー・ビケットだが、意外にオーソドックスで手堅い音楽作り。モーツァルトの天才的な音楽を過不足なく再現してくれた。回り舞台をうまく使ったリチャード・エアの演出も良い。

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Le Nozze di Figato (1785年、ウィーン・ブルク劇場にて初演)
演出: Richard Eyre
指揮: Harry Bicket
Figaro: Adam Plachetka
Suzanna: Christiane Karg (デビュー!)
Count Almaviva: Luca Pisaroni
Countess Almaviva: Rachel Willis-Sorensen
Cherubino: Serena Malfi
Marcellina: Katarina Leoson
Doctor Bartolo: Maurizio Muraro
Don Basilio: Robert McPherson
Barbarina: Hyesang Park ほか
2017年12月23日、メトロポリタン歌劇場


⇒ 2016年3月の公演感想

⇒ プラチェトカ・マルフィ出演のメト「ドン・ジョヴァンニ」感想

⇒ ピサロニ出演のメト「清教徒」感想

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ジャンル : 音楽

ディミトリー・ホロストフスキー追悼

かねてから脳腫瘍で闘病中である事を公表していたロシア出身で現代を代表するバリトンの一人、ディミトリー・ホロストフスキーが11月22日にロンドンで亡くなったという報に接した。

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初めて彼を聴いたのは、今から20年以上も前、トロントにおけるリサイタルだった。その時に歌ったロシア歌曲の感情のこもった熱い歌唱と、演奏会後のサイン会でのファンへのそっけない対応が対照的でその事が強く印象に残ったものだった。

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 2015年5月のメトでの仮面舞踏会にて

その後メトロポリタン・オペラで何度も彼の歌唱を聴いたが、当初イタリアものではその歌唱に少し違和感を感じたものの、近年ではヴェルディのオペラでも本当に円熟した歌唱で、何度も感動を味わせてくれ、間違いなく現代を代表するバリトン歌手に成長した事を実感していたのだった。

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 2015年4月のメトでのドン・カルロにて

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 2013年11月のメトでのリゴレットにて

今年4月に予定されていたエフゲニー・オネーギンは体調不良のためキャンセルとなったので、最後に聴いたのは2015年10月、脳腫瘍にかかっている事を公表した後のトロヴァトーレだったのだが、今までのベストとも言える素晴らしい歌唱を聴かせてくれ、終演後にオーケストラ・ピットから花が投げ入れられたのが印象的だった。

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 2015年10月のメトでのイル・トロヴァトーレにて

同い年だけに常に気になっていた歌手だし、まさに歌唱にも円熟期を迎えていただけに、突然の訃報は本当に残念。。。

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The Exterminating Angel @ メトロポリタン・オペラ

毎シーズン、現代オペラを1作は上演してきているメトだが、今シーズンは、アデスの "The Exterminating Angel" を上演。

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イギリス出身で、故国の大作曲家ベンジャミン・ブリテンの再来との評判もある36歳のトーマス・アデスメトでもすでに2012年にシェイクスピア「テンペスト」を原作にしたオペラ "The Tempest" が上演されているが、今回の "The Exterminating Angel"メトロンドンロイヤル・オペラザルツブルク音楽祭などによる共同委嘱によって2016年にザルツブルク音楽祭で初演された作品。


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前作の "The Tempest" では、シェイクスピアを原作にしていたが、今回はなんとスペインの巨匠ルイス・ブニュエル監督が1962年に製作したシュルレアリスム風の映画「皆殺しの天使」が原作!

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とあるブルジョワ夫妻の邸宅での晩餐会に招かれた客人たちが、なぜかダイニング・ルームから出られなくなってしまい、その不条理な状況の中で展開されていく人間模様を描いた群像劇。

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アデスの音楽は、耳に心地よいメロディアスな部分は少ない(かといって不協和音が連なるような音楽でもない)ものの、この不条理な極限状態に置かれた人間心理を表現するに適した力強いもの。

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アンサンブル・オペラなので、明らかな主役がいるわけではないのだが、その中で目立ったのが、前作 "The Tempest" でも妖精アリエル役で超絶のコロラトゥーラを披露してくれた歌手レティシア役のオードリー・ルナで、今回も彼女のために用意された難しそうなコロラトゥーラ・アリアを見事に歌いこなしていた。なお、彼女が登場するシーンで発した ハイA (高音とされるハイCよりさらに5音も高い音)は、137年に及ぶメトの歴史の中で、舞台上で発せられた最も高い音との事!

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主要登場人物のキャラクターをしっかりと音楽上で描き分けているし、この他にもカウンター・テナー(フランシスコ役のイェスティン・デイヴィス)を起用したりして、音楽に適度な色彩を与えているところは巧み。指揮はもちろん作曲者自身で、カーテンコール時には観客から盛大な拍手を受けていた。

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演出は脚本も担当したアイルランドの演出家トム・ケアンズで、簡潔な舞台装置の中で、極限状況に置かれた登場人物たちの心理状態を見事に浮かび上がらせる見事な演出。

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前作同様、もう一度観たいと思わせるオペラでした!

The Exterminating Angel (2016年、ザルツブルク・モーツァルトのための劇場にて初演)
演出: Tom Cairns
指揮: Thomas Adès
Edmundo de Nobile: Joseph Kaiser
Lucia de Nobile: Amanda Echalaz
Leticia Meynar: Audrey Luna
Leonora Palma: Alice Coote
Silvia de Avíla: Sally Matthews
Francisco de Avíla: Iestyn Davies
Blanca Delgado: Christine Rice
Alberto Roc: Rod Gilfry
Beatriz: Sophie Bevan
Eduardo: David Portillo
Raúl Yebenes: Frédéric Antoun
Colonel Álvaro Gómez: Adam Moore
Señor Russell: Kevin Burdette
Doctor Carlos Conde: John Tomlinson
Julio, the butler: Christian van Horn ほか
2017年11月14日、メトロポリタン歌劇場


⇒ メト "The Tempest" 感想

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タイス @ メトロポリタン・オペラ 〜 タイスの瞑想曲が有名なオペラを初観劇!

今回観に行ったのは、19世紀末にフランスで一世を風靡したオペラ作曲家ジュール・マスネのタイス

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メトでの上演は、2008〜09年シーズンにジョン・コックスの新演出で上演されて以来、9シーズンぶり。その時は、ルネ・フレミングがタイトル・ロールを務めたが、今回は最近注目度上昇中のソプラノ、アイリン・ペレスが出演!

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2015年にカルメンミカエラ役でメト・デビューを果たして以来、着実にキャリアを積み重ねているペレス、このオペラのリバイバルに貢献したルネ・フレミングに比べ、声の艶やかさやスケールでは劣るものの、美しい声を生かした丁寧な歌いぶりは好感が持てた。

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タイスの運命を変える修行僧アタナエルにはカナダのベテラン・バリトン、ジェラルド・フィンリー。ベテランらしい表現力豊かな歌唱で、こちらも安心して音楽に身を委ねる事が出来る。

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アタナエルの友人ニシアス役はフランスのテナー、ジャン=フランソワ・ボラス。こちらは純正のフランス語の発音が耳に心地良く、伸びやかな声を生かした歌唱もなかなか。

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この他は、アタナエルの師パレモンデイヴィッド ・ピッツィンガー、修道女アルビーヌサラ・コウデン、 クロビル(フランス・ベルマール)ミルタル(メーガン・マリノ)

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そして忘れてはならないのが、ヴァイオリン・ソロのレパートリーとしても定着している第2幕の「タイスの瞑想曲」を演奏したメトのコンサート・マスター、デイヴィッド・チャン

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音楽はマスネの甘美な旋律を生かすのに適したストーリーだけあって、いかにもフランス・オペラらしい叙情的な旋律美に溢れている。惜しむらくは、タイスに絡むアタナエル役がバリトンであるために、二人のデュエット等では音楽の高揚感に欠ける感じがするのが物足りない。それがメジャーなオペラになれなかった原因なのだろうか。

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指揮はダラス・オペラの音楽監督を務めるフランス出身のエマニュエル・ヴィヨームで、マスネの甘美で流麗な旋律を丁寧に歌わせた音楽作り。メトで数多くの舞台を手がけたジョン・コックスの舞台は、物語に忠実な堅実な舞台作りだった。

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Thaïs (1894年、パリ・オペラ座にて初演)
演出: John Cox
指揮: Emmanuel Villaume
ヴァイオリン独奏: David Chan
Thaïs: Ailyn Pérez
Athanaël: Gerald Finley
Nicias: Jean-François Borras
Palémon: David Pittsinger
Albine: Sara Couden
Crobyle: France Bellemare (デビュー!)
Myrtale: Megan Marino
La Charmeuse: Deanna Breiwick (デビュー!)
Guard: Jeongcheol Cha ほか
2017年11月11日、メトロポリタン歌劇場


⇒ ボラス出演、メトのマスネ「ウェルテル」感想

⇒ ペレス出演のメト「カルメン」感想

⇒ フィンリー出演のメト「ウィリアム・テル」感想

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