モントリオール交響楽団 演奏会 〜 ヴェンゲーロフ気迫のブラームス!

昨年に引き続きカーネギーホールに来演したモントリオール交響楽団。今年は、 1回のみのコンサートで、ソリストにマキシム・ヴェンゲーロフを迎えての演奏。

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指揮は楽団の黄金時代を築いたシャルル・デュトワの後を受けて2006年に音楽監督に就任したケント・ナガノで、プログラムはバルトークの管弦楽のための協奏曲を中心とした前半に、後半はブラームスのヴァイオリン協奏曲

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まずは前半、最初の曲はカナダ出身で現在はベルリンを中心に活躍している作曲家、サミー・ムッサ(1984年生まれ)が2014年に発表した、オルガンと管弦楽のための "A Globe Itself Infolding"という10分程度の曲。オルガンは協奏曲的な使われ方ではなく、オーケストラに溶け込みながら、独特の音響を作り出すのに貢献しているという感じ。

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 演奏終了後には作曲家が舞台挨拶

続いて、バルトーク晩年の傑作、オケコン。こちらは土台をしっかりとさせた骨太な音楽づくりというイメージで、それにこの楽団特有の華麗な響きが付け加わったという感じの演奏。デュトワ時代にはフランスの楽団よりフランスらしいと称された響きからは少し渋くなった感じだが、この傑作を心ゆくまで味わうことが出来る堂々たる演奏だった。

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そして後半はブラームスロシアの神童と称されたヴェンゲーロフも43歳と今や立派な中年。故障などもあり2008年に一旦ヴァイオリンの演奏活動から引退したりして心配させたが、その後2011年に再び演奏活動に復帰。今回、本当に久しぶりに彼の演奏を聴いたが、彼らしい、気迫に満ち溢れたスケールの大きな演奏で素晴らしかった!

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 観客の盛大な拍手に応えてアンコールとして演奏してくれたのが、ご存知マスネの「タイスの瞑想曲」。こちらはブラームスとは打って変わって、旋律をしみじみと歌わせた、優しさに満ち溢れた演奏で、涙が出るほど美しかった!

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バルトークブラームス、二人の大作曲家の傑作を素晴らしい演奏で堪能した、幸せなコンサートでした!

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モントリオール交響楽団 演奏会
指揮: Kent Nagano
Moussa: A Globe Itself Infolding, for Organ and Orchestra (2014)
オルガン: Jean-Willy Kunz
Bartok: Concerto for Orchestra, Sz.116
Brahms: Violin Concerto in D major, Op. 77
ヴァイオリン独奏: Maxim Vengerov
(アンコール)
Massenet: Meditation from Opera Thais
2017年10月18日、カーネギーホール
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テーマ : ニューヨーク
ジャンル : 海外情報

魔笛 @ メトロポリタン・オペラ 〜 歌手を支えるレヴァインの熟練の指揮!

少し気温が上昇した土曜日の昼下がり、メトのマチネー公演に出向く。本日の公演は「魔笛」

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最近のメトではクリスマスから年末にかけてのホリデー・シーズンに、ファミリー向けにセリフを英語にして全体も短縮したバージョンを上演するようになったため、逆にオリジナルの上演頻度が下がったのが残念。今回はオリジナルとしては、2014年以来3年ぶりの上演で、歌手陣の顔ぶれは前回観た時からはかなり変わっている。指揮は前音楽監督のジェームズ・レヴァイン

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今回の公演でまず印象的だったのは、レヴァインの指揮。一時期少し不調かな、と感じさせる時期があったのだが、今回の公演では、かってのエネルギッシュさは後退した感じではあったものの、その分精妙さが際立ち、歌手たちを万全に支えて、モーツァルトの音楽の素晴らしさを十全に伝えてくれた!

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歌手陣は総じて高水準の歌唱。その中でも目(耳?)を引いたのが、今回がメト・デビューとなったパミーナ役の南アフリカ出身のソプラノ、ゴルダ・シュルツ。温かみを感じさせる伸びやかで美しい声で、安定感も十分。素晴らしい歌唱で、同郷で一足先にメト・デビューし、注目度上昇中のプリティ・エンデと共に、今後の活躍が楽しみ!

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対するタミーノ役はアメリカ出身のテナー、チャールズ・カストロノーヴォ。こちらはバリトンを思わせるような声質がこの役に合っていない感じがしたのだが、破綻のない歌いぶりでまずまず。

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夜の女王はアメリカの若手キャスリン・レヴェク。2014年の魔笛でもこの役を歌っていたらしいのだが、私が行った回は別の人が歌っていて、彼女の歌を聴くのは今回が初めてだったのだが、破綻のないコロラトゥーラ、超高声域でも無理のなく伸びていく美声で素晴らしかった!こちらも今後もっと聴いてみたい歌手!

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パパゲーノ役は前回に引き続きオーストリアのバリトン、マーカス・ウェルバで、すっかりこなれたコミカルな演技と安定した歌唱で満足のいく出来。

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ザラストロ役のルネ・パーペ、彼が歌うと舞台全体が引き締まるのは相変わらずで、威厳のある歌唱はこの役にぴったり。この役で彼の歌をもっと聴いたイメージがあったのだが、今回が初めてだった!

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このほか、モノスタートス役のグレッグ・フェッダーリー弁者役のクリスチャン・ヴァン・ホーンらも手堅い歌唱。

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彼女が手がけた大ヒット・ミュージカル、ライオン・キングと歌舞伎のいでたちを融合させたようなジュリー・テイモアの舞台は、相変わらずメルヘンチックだが、不思議に愉しさがあまり伝わってこない舞台。それでも、この傑作オペラの素晴らしさを味わうのには十分!

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Die Zauberflote (1791年、ウィーン・ヴィーデン劇場にて初演)
演出: Julie Taymor
指揮: James Levine
Tamino: Charles Castronovo
Pamina: Golda Schultz
Papageno: Markus Werba
Papagena: Ashley Emerson
Queen of the Night: Kathryn Lewek
Zarastro: Rene Pape
Monostatos: Greg Fedderly
The Speaker: Christian Van Horn ほか
2017年10月14日、メトロポリタン歌劇場


⇒ 2014〜15年シーズンの公演 感想

⇒ レヴァイン指揮のメト「イドメネオ」感想

⇒ パーペ出演のメト「トリスタンとイゾルデ」感想

テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

ノルマ @ メトロポリタン・オペラ 〜 メトもシーズン開幕!

メトの新しいシーズンは新演出のベッリーニのノルマで始まったが、私は夏の陽気が戻ったかのような土曜日、マチネー公演に足を運んだ。

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今回の新演出は、メトではドニゼッティのテューダー三部作の演出等を担当したイギリスの演出家デヴィッド・マクヴィカーの手になるもので、タイトル・ロールに、前回2013年の上演でこの役のメト・デビューを果たしたソンドラ・ラドヴァノフスキーアダルジーザ役ジョイス・ディドナートポリオーネ役ジョセフ・カレヤという注目のキャスト。前回上演時では、アンジェラ・ミードノルマを歌った舞台に行ったので、ラドヴァノフスキーが歌うのを聴くのは今回が初めて!

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さて、そのラドヴァノフスキーノルマだが、ドラマティックな歌唱力と高度なコロラトゥーラの技術、それに細やかな感情表現が必要とされるこの難役を見事に歌いこなしていて、素晴らしかった。かっては声量があるスケールの大きな歌ではあるものの、時折コントロールが粗くなる印象があったのだが、2016年の「ロベルト・デヴリュー」、そして今回のノルマと、声のコントロールと高声域の美しさ、感情表現の細やかさの両立が一段と成熟してきた感があり、観客からも万雷の拍手を受けていた!

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対するアダルジーザディドナートラドヴァノフスキーに一歩も引けを取らない歌唱で、こちらも素晴らしい出来!

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ポリオーネ役カレヤは、いつもの伸びのある声でそつなくポリオーネを歌っていたが、1幕1場の聴かせどころ、「彼女を連れてヴィーナスの祭壇へ」で、まだ声が温まっていなかったのか、高音が潰れてしまったのが残念。

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ノルマの父オロヴェーゾ役マシュー・ローズは手堅い歌唱で、主役3人をきっちりと支えていた。

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個々のアリアと合唱が緊密に結びついているこのオペラでは、合唱団の出来が重要になってくるのだが、そこはメトの合唱団、相変わらずの素晴らしさでオペラを盛り立てていた!

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マクヴィカーの演出は、全体的に彼が演出したメトテューダー三部作同様、暗いトーンで統一されていて、ややモノトーンな感じ。突飛なところは何もなく、安心して観れる舞台だが、逆にもう少し新鮮味が欲しいところ。

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指揮は主にヨーロッパの歌劇場で活躍するカルロ・リッツィ。安定した音楽運びはさすがで、歌手たちを万全にサポートしていたが、もう少し生き生きとした感情を引き起こさせるものが欲しいような感じも、と言ったら贅沢だろうか。

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何れにしても、主役3人の素晴らしい歌唱でこのオペラの魅力を存分に味わう事が出来た公演。同じベルカント・オペラの名作、ドニゼッティのルチアと並ぶ傑作であるこの作品、メトでは私が観た公演が通算160回目の上演と、これまで599回と、なぜか大きく引き離されている。もっと上演して欲しい演目なのですが…

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Norma (1831年、ミラノ・スカラ座にて初演)
演出: Sir David McVicar
指揮: Carlo Rizzi
Norma: Sondra Radvanovsky
Polione: Joseph Calleja
Adalgisa: Joyce DiDonato
Oroveso: Matthew Rose
Flavio: Adam Diegel
Clotilde: Michelle Bradley ほか
2017年10月7日、メトロポリタン歌劇場


⇒ 2013年の前回上演感想

⇒ マクヴィカー演出・ラドヴァノフスキー、ディドナート出演のメト「ロベルト・デヴリュー」感想

⇒ カレヤ出演のメト「マクベス」感想

テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

ニューヨーク・フィル定期演奏会 〜 ニューヨーク音楽シーズンの始まり!

早いもので、9月も後半に入り、いよいよニューヨークの音楽シーズンもスタート!

昨シーズンいっぱいで音楽監督のアラン・ギルバートが退任したニューヨーク・フィルは、19日のガラ・コンサートに続き、来シーズンから正式に音楽監督に着任するヤープ・ヴァン・ズヴェーデンを指揮台に迎え、新シーズンのスタート。

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今回のプログラムは、ピアノ・デュオのラベック姉妹によるフィリップ・グラスの2台のピアノのための協奏曲に、マーラーの交響曲第5番

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2015年にロサンゼルス・フィル他の委嘱によって作曲されたグラスの協奏曲は、これがニューヨーク初演

パターン化された音型を反復する事によって音楽を作り上げていくミニマル・ミュージックの代表的な作曲家の一人であるグラス(本人はそう呼ばれる事を好んでいないとの事だが)、この作品でも、同じ音型を反復させながら、音色を微妙に変化させ徐々に音楽を高揚させていくという特徴ははっきり聞き取れる。祝祭的な雰囲気も感じさせる第1・2楽章、それとは対照的にメランコリックな第3楽章という印象だが、ピアノを2台も使用しながら、ピアニスティックな華やかさはあまり感じられず、むしろ最初から最後までオーケストラに溶け込んで演奏を進めるといった感じ。ピアノ協奏曲ならではの華やかさがもう少しあったら良いのに、という印象を受けた。かっては一世を風靡したラベック姉妹、本当に久しぶりに演奏する姿を見たが、華やかな雰囲気はそのままでした!

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 グラスも舞台に上がって聴衆に挨拶

そしてメインのマラ5。出だしこそ慎重な音楽の進め方というように感じたものの、2楽章あたりからエンジンがかかってきて、極めてオーソドックスながら、ダイナミックな迫力満点の演奏を聴かせてくれた。弱冠19歳でオランダの名門、ロイヤル・コンセルトヘボウ管の史上最年少のコンサートマスターに抜擢されたズヴェーデンだが、マーラー演奏に伝統を誇るオーケストラで長年コンマスを務めただけあって、楽器間のバランスや旋律の歌わせ方など、説得力十分。特にギルバート時代に比べての精度が2段も3段も上がったような印象を受けたオーケストラの力演も聞き応えがあって素晴らしかった!

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アメリカ最大の都市にありながら、全米5大オーケストラの中では、常に最下位にランクされる憂き目に遭っているニューヨーク・フィルだが、ズヴェーデンの指導の下、是非トップを競うようになって欲しい! 聴衆も総立ちの盛大な拍手で新監督の門出を迎えていた。

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少し気になったのが、ニューヨーク・タイムズ紙など音楽評論家の評価があまり良くなかった事。表面的な演奏との評だったのだが、個人的にはそうは感じられなかった。ギルバートの後任としては、下馬評に上がっていたサロネンなどのビッグネームに比べ、知名度ではかなり劣る地味な存在である事と、ライバルのフィラデルフィア管(ネゼ=セギャン)ボストン響(ネルソンズ)が新進気鋭の若手指揮者を音楽監督に起用しているのに比べ、見るからにオッサンくさい55歳のズヴェーデンが起用されたのが気に入らないのだろうか。。。

第16,281回 ニューヨーク・フィル定期演奏会
指揮: Jaap van Zweden
Glass: Concerto for Two Pianos and Orchestra (2015) 〜 ニューヨーク初演
ピアノ独奏: Katia and Marielle Labeque
Mahler: Symphony No. 5
2017年9月22日、デイヴィッド・ゲフィン・ホール

テーマ : ニューヨーク
ジャンル : 海外情報

新学年の始まり

長かった夏休みも終わり、日曜日は入寮日。というわけで、車に目一杯荷物を詰め込んで、ジュリアードまで。

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カートに荷物を積み、部屋まで運ぶこと数往復。昨年はダンス科の女の子と同室だったが、今年は同じ音楽科の子との事。

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いよいよレイバー・デー明けの火曜から授業開始。2年目は授業数が4年間の中で一番多いらしく、大変そうだが、頑張れ!

テーマ : バイオリン
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