ステキな金縛り 〜 これは三谷幸喜の良さが出た娯楽作

「ザ・マジックアワー」(08年)に引き続き、深津絵里を主演に起用した三谷幸喜監督の2011年の作品。2011年10月にニューヨークでプレミエ上映された後に日本で全国公開され、公開週より4週連続で興行ランキングのトップに君臨する大ヒット作となった。

     Suteki Poster

速水悠(阿部寛)の弁護士事務所に所属し、失敗続きでクビになりそうな弁護士のエミ(深津)は、妻・鈴子(竹内結子)殺しの罪で逮捕された矢部五郎(KAN)の弁護を担当する事に。妻が殺された時間帯にはアリバイがあると主張する五郎、人里離れた古びた宿で落ち武者・更科六兵衛の幽霊(西田敏行)に取り憑かれ、一晩中金縛りにあっていたという。

 Suteki 1

猪瀬夫婦(浅野和之戸田恵子が経営するその宿・しかばね荘に出向いたエミは、幽霊の六兵衛に対し、法廷に出向いて、敏腕で堅物の検事・小佐野徹(中井貴一)に対し、五郎のアリバイを証明するよう依頼するのだが…

 Suteki 2

ドラマでは高水準の作品を連発している三谷幸喜だが、映画では成功しているものとずっこけたものとの落差が激しく、先日観た「ギャラクシー街道」(16年)が見事にずっこけていたの対し、この作品は幽霊を証言人として法廷に引っ張り出すと言う奇想天外なストーリーが功を奏していて、全体的に楽しめる娯楽作品と成っている。

 Suteki 3

一人二役で姉妹を演じる竹内結子から市村正親浅野忠信深田恭子ら端役に至るまで、三谷作品らしい豪華キャストで、幽霊の六兵衛が見える人、見えない人、見えるのに見えないふりをしている人が絶妙に組み合わさって、可笑しさを醸し出していく様はまさに三谷監督の独壇場! なかなか楽しめる作品でした。  ⇒ 7/10点

 Suteki 4

ステキな金縛り
(2011年・日本)
監督: 三谷幸喜
キャスト: 深津絵里、西田敏行、阿部寛、中井貴一、竹内結子、山本耕史、小林隆、KAN、浅野忠信、市村正親、草彅剛、小日向文世、浅野和之、戸田恵子、生瀬勝久、梶原善、木下隆行、山本亘、阿南健治、近藤芳正、佐藤浩市、深田恭子、篠原涼子、唐沢寿明 ほか
上映時間: 142分


⇒ 見事にずっこけた「ギャラクシー街道」(15年)感想

⇒ 深津絵里渾身の演技!「悪人」(10年)感想

⇒ 西田敏行 出演作「終戦のエンペラー」(13年)感想

⇒ 阿部寛・竹内結子 出演作「ふしぎな岬の物語」(14年)感想

⇒ 中井貴一 主演作「ビルマの竪琴」(85年)感想
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恋の罪: 相変わらずの園子温ワールド全開!

今やすっかり日本映画界でメジャーな存在となった園子温監督の2011年の作品で、1997年に発生し、当時大きな話題となった東電OL殺人事件を題材にしたサスペンスドラマ。日本では2011年11月に全国公開されている。

      Guilty Poster

ある大雨の夜、渋谷のラブホテル街にある古ぼけたアパートの一室で、女性の変死体が発見される。事件を担当するのは、幸せな家庭がありながら、ずるずると不倫関係を続けている刑事・和子(水野美紀)

 Guilty 1

彼女は捜査を進めるうちに、大学のエリート助教授である美津子(富樫真)や、売れっ子小説家・菊池由紀夫(津田寛治)の貞淑な妻・いずみ(神楽坂恵)の存在を知るのだが…

 Guilty 2

強烈なエログロ描写の中に、コミカルな要素も絡ませ、決して重苦るしくさせずに展開していく、おなじみの園子温ワールドは、ここでも絶好調。

 Guilty 3

水野美紀ら女優陣の、文字通り体を張った熱演が、スクリーン上に強いエネルギーを放射していて、女性の深層心理に迫ろうという園監督の意図(多分)に見事に応えている。

 Guilty 4

園監督の真骨頂が発揮された映画だと思うが、相変わらず、好き嫌いがはっきりと分かれる作品であるのも事実。  ⇒ 7/10点

恋の罪
(2011年・日本)
監督: 園子温
キャスト: 水野美紀、神楽坂恵、富樫真、児嶋一哉、二階堂智、小林竜樹、五辻真吾、深水元基、内田慈、町田マリー、岩松了、大方斐紗子、津田寛治 ほか
上映時間: 144分


⇒ 園監督の「地獄でなぜ悪い」(13年)感想 〜 太鼓判!!

⇒ 水野美紀出演作「踊る大捜査線 THE FINAL 新たなる希望」(12年)感想

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聯合艦隊司令長官 山本五十六: 役所広司の誠実な演技で描かれる等身大の山本五十六像

連合艦隊司令長官としてラバウルで戦死した山本五十六の姿を描いた歴史ドラマ。日本では2011年12月に全国公開され、公開週に興行ランキングの2位にランクインしている。

      Yamamoto Poster

昭和14年夏、陸軍や世論が日独伊三国同盟へと傾く日本。その中で、海軍は、大臣の米内光政(柄本明)や次官の山本五十六(役所)を筆頭に、反対の立場を取り続けていた。

 Yamamoto 1

しかし、陸軍の思惑通り、三国同盟が締結され、第2次世界大戦が勃発、日本も、米国との戦争が不可避の情勢になってくる中、連合艦隊の司令長官となっていた山本は、ハワイ・真珠湾を攻撃する作戦を練り始める…

 Yamamoto 2

最新映像技術に基づいた海戦シーンは、もちろん迫力十分なのだが、そういったシーンよりも、等身大の山本五十六を描くことに焦点を当てた作品。そのため、山本の日常シーンもかなり織り込まれていて、山本の人間性を浮かび上がらせようという努力がうかがわれる。そういう意味では新鮮な印象を受ける作品。

 Yamamoto 3

但し、その観点から見れば、山本の人間としての弱さなどはこの映画からは伺い知れず、最後まで立派な人物として描かれている事が、逆に物足りない気がする。役所広司は、重厚に演じていてさすが。  ⇒ 7/10点

 Yamamoto 4

聯合艦隊司令長官 山本五十六
(2011年・日本)
監督: 成島出
キャスト: 役所広司、玉木宏、柄本明、柳葉敏郎、阿部寛、吉田栄作、椎名桔平、益岡徹、袴田吉彦、五十嵐隼士、坂東三津五郎、原田美枝子、瀬戸朝香、田中麗奈、中原丈雄、中村育二、伊武雅、宮本信子、香川照之 ほか
上映時間: 141分


⇒ 成島監督の「ふしぎな岬の物語」(14年)感想

⇒ 役所浩司 出演作「清須会議」(13年)感想

⇒ 柄本明 出演作「一枚のハガキ」(10年)感想

⇒ 原田美枝子 出演作「蜩の記」(14年)感想

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少年は残酷な弓を射る ~ 愛憎の果てに救いはあるのだろうか?

イギリスの小説賞であるオレンジ賞を受賞したライオネル・シュライバーの2003年の同名小説の映画化作品。2011年のカンヌ国際映画祭でプレミエ上映された後、全米では同年12月に限定公開されている。

     Kevin Poster

自由に生きる生活を謳歌してきた作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)だったが、妊娠したのをきっかけに、作家としてのキャリアをあきらめ、子育てに専念せざるを得なくなる。

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子煩悩な夫のフランクリン(ジョン・C・ライリー)は大喜びだが、自由だった作家生活への未練が残るエヴァは、息子のケヴィン(エズラ・ミラー)と言いようの無い溝が出来てしまっていた。

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やがて、一家には娘セリア(アシュリー・ゲラシモヴィッチ)が生まれるが、美少年に成長したケヴィンは、父親が見ていない所で母親や妹に対して嫌がらせを行うようになり、遂には取り返しのつかない事件が起きてしまう...

 Kevin 3

映画は、事件発生後のエヴァの孤独で荒んだ日常を描きながら、ケヴィンが生まれてから事件発生までの出来事をフラッシュバックのように追っていき、何が起こったかが次第に明らかになっていくという形を取っていて、一種のサスペンス仕立てになっているところが興味深い。

 Kevin 4

それまでの生活が決定的に破局してしまっても、人生はなお続くという、恐ろしい事実が淡々と描かれていて、見ていてつらい気分になってくる。原題は、「ケヴィンの事について、話合わなくてはいけない」だが、世捨て人のような生活を送っているエヴァの姿からは、ケヴィンの事について、なぜ夫ときちんと話し合わなかったのだろうかという、彼女の底知れない悔悟の念が伝わってくる。

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映画は最初から最後まで、一貫してエヴァの視点で描かれているが、恐ろしい事件を引き起こしたケヴィンはどうだったのだろうか。それが画面から伝わって来ない(子供の気持ちが分からない)ところが、やはり自分自身も親であるだけに、見ていて辛くなってくる。

 Kevin 5

エヴァ役のスウィントンケヴィン役のミラーはそれぞれの役のキャラクターを十全に表した演技だが、その分、救いの無さがより痛切に感じられて、見ているのが辛い映画でした。  ⇒ 7/10点

少年は残酷な弓を射る
We Need to Talk About Kevin (2011年・イギリス)
監督: Lynne Ramsay
キャスト: Tilda Swinton, Ezra Miller, John C. Reilly, Ashley Gerasimovich, Jasper Newell, Rocky Duer ほか
上映時間: 112分


⇒ スウィントン主演作「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(13年)感想

⇒ ライリー出演作「おとなのけんか」(11年)感想 ~ オススメ!

⇒ ミラー出演作「ウォールフラワー」(12年)感想 ~ オススメ!

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映画: ファウスト

権力者4部作の一つとして昭和天皇を題材にした「太陽」(05年)などで知られるロシアアレクサンドル・ソクーロフ監督の2011年の作品で、権力者4部作の最終作としてゲーテの「ファウスト」を映画化したもの。2011年のヴェネツィア国際映画祭金獅子賞に輝いた後、全米では2013年11月に限定公開されている。

      Faust Poster

19世紀初頭のドイツ。助手のワーグナー(ゲオルク・フリードリッヒ)と共に、人間の魂の根源を追い求めるファウスト博士(ヨハネス・ケラー)は、研究資金を借りるために、町の人々から悪魔と囁かれている高利貸しのマウリツィウス(アントン・アダシンスキー)のもとに赴く。

 Faust 1

金は貸せないが、生きる意味を教えようと囁く彼に導かれたファウストは、純真無垢な娘マルガレーテ(イゾルデ・ディシャウク)に出会い、その美しさに魅入られるのだが...

 Faust 2

ファウストのストーリーに沿いながらも、ソクーロフ独自の美意識に貫かれた作品で、美しさとグロテスクさが錯綜する独特の映像は、時に画面が著しく歪んだり、色調が大きく変化したりと変幻自在で、それなりに見応えがある。

 Faust 3

ただ、批評家からは高い評価を得た作品だが、私には見ていて一向に映画に入り込めないもどかしさが続くといった感じで、あまりピンとこなかった。映画は分かりやすくなければいけないというつもりは毛頭ないのだが...  ⇒ 6/10点

 Faust 4

ファウスト
Faust (2011年・ロシア)
監督: Alexander Sokurov
キャスト: Johannes Zeiler, Anton Adasinsky, Isolda Dychauk, Georg Friedrich, Hanna Schgulla, Antje Lewald, Florian Bruckner, Sigurdur Skulasson, Maxim Mehmet ほか
上映時間: 140分

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