内田光子 ピアノ・リサイタル 〜 珠玉のシューマン!

毎年カーネギー・ホールにてリサイタルを開いている内田光子。私もほぼ毎年聴きに行っているはずなのだが、あいにく昨年はスケジュールが合わず、一昨年の、ソプラノのドロテア・ロシュマンとのジョイント・リサイタル以来!

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2015年のジョイント・リサイタルでもシューマンの歌曲を中心としたプログラムだったのだが、今回もシューマンの代表作、クライスレリアーナ幻想曲を揃えたプログラム!

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リサイタルの前半、まずはモーツァルトの可憐なハ長調、K545のピアノ・ソナタ「初心者のための小さなソナタ」と題された、ピアノを習った事のある人なら、誰でも知っているほど親しまれている曲だが、内田さんは豊かなニュアンスを込めながら、可憐なこの曲を魅力的に演奏してくれ、上々の滑り出し。

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続いて、シューマンクライスレリアーナ。後に妻となるクララとの熱烈な恋愛中に作曲された、全8曲からなるピアノ曲集だが、それぞれの曲想を繊細にニュアンス付けながら弾き分けていくさまは、まさに内田さんの独壇場!

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後半は、今回のニューヨーク初演に先立って、内田さんによって1月にハンブルクにて初演されたドイツの作曲家、ヨルグ・ウィッドマンSonatina facile。プログラムの最初に演奏されたモーツァルトハ長調ソナタへのオマージュとして作曲されたこの曲、随所にモーツァルトのソナタのメロディが織り込まれて、それが自在に変容していくといった趣きの曲で、内田さんによって生き生きと演奏された。

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プログラムの最後は、シューマンのこれまた代表的なピアノ作品である幻想曲クライスレリアーナに引き続いて作曲されたこの作品でも、内田さんは細やかなニュアンスでこの曲の多様な魅力を見事に引き出しいて、スケールの大きさこそないかも知れないが、感動的な演奏だった!

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内田光子 ピアノ・リサイタル
Mozart: Piano Sonata No. 16 in C major, K. 545
Schumann: Kreisleriana, Op. 16
Widmann: Sonatina facile (2016, New York Premiere)
Schumann: Fantasy in C major, Op. 17
2017年3月30日、カーネギー・ホール


⇒ 2015年のドロテア・ロシュマンとのジョイント・リサイタル感想
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ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル 〜 2005年ショパン・コンクールの覇者!

2005年のショパン・コンクールの優勝者で、日本でもおなじみのラファウ・ブレハッチ。まだアメリカでは知名度が高まっていないのか、カーネギー・ホールの大ホールでリサイタルを開くに至っていないが、今回もアッパー・イーストにある 92Y にある小ホール、Kaufmann Concert Hall でのリサイタル!

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今回のリサイタルは、前半にバッハベートーヴェン、後半は得意のショパンという構成。

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バッハの4つのデュエットで開始された前半。全体で13分程度の曲集だが、ブレハッチは強靭なタッチでどちらかといえば力強くダイナミックに演奏した。実は彼の演奏を生で聴くのは初めてだったのだが、スマートな見た目とは裏腹に、小ホールという事もあったと思うが、フォルテではピアノの音が飽和気味になるほどの力強さがまずは印象に残った。

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続いては、ベートーヴェンの作品51-2 のロンドと、ピアノ・ソナタ第3番。こちらの演奏でも、バッハの時と印象は変わらず、特にソナタでのしっかりとした構成感と力強いタッチが印象的。

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後半は、ポーランド出身のブレハッチにとってはお国もののショパン幻想曲に始まり、作品48-2 の嬰へ短調の夜想曲を経て、あの有名な葬送行進曲を持つピアノ・ソナタ第2番で締めくくり。いずれも、旋律の歌わせ方の巧みさとダイナミックで華麗な力強さが両立した素晴らしい演奏。ダイナミックさだけではなく、葬送行進曲のしみじみとした歌わせ方も一級品!

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ショパン・コンクール覇者の実力を遺憾なく発揮したリサイタルでした!

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ラファウ・ブレハッチ ピアノ・リサイタル

J.S. Bach: Four Duets, BWV802-805
Beethoven: Rondo in G Major, Op. 51-2
Beethoven: Piano Sonata No. 3 in C Major, Op. 2-3
Chopin: Fantaisie in F minor, Op. 49
Chopin: Nocturne in F-sharp minor, Op. 48-2
Chopin: Piano Sonata No. 2 in B-flat minor, Op. 35

2017年3月26日、カウフマン・コンサート・ホール

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ボストン交響楽団 演奏会

シーズンに数回、カーネギー・ホールに客演するボストン交響楽団。今シーズンも音楽監督のアンドリス・ネルソンスと共に2月28日から3日にわたってカーネギー・ホールに来演!

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私が訪れたのは2月28日の回で、当日のプログラムはグバイドゥーリナの3重協奏曲に、「レニングラード」の通称で知られるショスタコーヴィチの長大な交響曲第7番

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ロシア・タタールスタン共和国出身のグバイドゥーリナの新作で、本日の演奏会に先立って 2月23日にボストンで同じコンビによって初演されたばかりの3重協奏曲、ヴァイオリンとチェロに加えて、彼女が好んで使っているロシアの民俗楽器でアコーデオンの仲間であるバヤンを使用しているのが面白い。

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そのバヤンのどことなく幻想的な音色から始められるこの曲、25分ちょっとの演奏時間の中で、3つの楽器が絡み合いながら曲が進められていくが、ところどころ響きにグバイドゥーリナらしさを感じさせる部分があるものの、どことなく取り止めがない印象。ソリストはバヤンエルスベス・モーザー、ヴァイオリンのバイバ・スクリデ、チェロのハリエット・クリーヒと全員女性だった。

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第二次世界大戦中、ナチス・ドイツ軍とのレニングラード包囲戦のさなかで作曲されたこの長大なシンフォニー、第1楽章が30分近くと、他の3楽章(合わせて45分前後)に比べ圧倒的に長いという、特異な構成で、その第1楽章途中から小太鼓の切れ目ないリズムに乗って展開される「戦争の主題」は凄まじい迫力。

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ネルソンスは小太鼓を際立たせる事によって大軍勢が進撃しているかのような圧倒的な音響を作り出しているが、その比類ない迫力の反面、どことなく音楽が空虚に響いている感じも受ける。この第1楽章に比し、残りの3楽章は、ショスタコーヴィチとしてはやや音楽の密度が低い感じもあり、ネルソンスとオーケストラの熱演もあって、演奏終了後はブラボーの声と共に満場割れんばかりの拍手に会場が包まれたものの、個人的にはあまり満足感は得られなかった。

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ショスタコーヴィチの15ある交響曲の中で、本作は傑作/駄作の評価が分かれる曲のようだが、私は駄作とまでは言わないものの、どちらかといえば、後者の意見。

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ボストン交響楽団 演奏会
指揮: Andris Nelsons
Gubaidulina: Triple Concerto for Violin, Cello, and Bayan (2017、ニューヨーク初演)
ヴァイオリン独奏: Baiba Skride
チェロ独奏: Harriet Krijgh
バヤン独奏: Elsbeth Moser
Shostakovich: Symphony No. 7 in C Major, Op. 60
2017年2月28日、カーネギー・ホール


⇒ 2015年のボストン響カーネギーホール公演 感想

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ニューヨーク・フィル定期演奏会 〜 ビシュコフ渾身のチャイコ!

最近、ニューヨーク・フィルへの客演頻度が高まってきたセミヨン・ビシュコフ、今シーズンはチャイコフスキー・フェスティヴァルと銘打って、3回の演奏会にわたってチャイコフスキーの交響曲を演奏!

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シリーズ初日にあたる本日は滅多に演奏されないピアノ協奏曲第2番に、交響曲第5番というプログラム。

1880年に完成したピアノ協奏曲第2番は演奏時間40分の大作だが、ポピュラー名曲である第1番に比べ、圧倒的に演奏頻度が少ない。私も今回初めて聴いたのだが、チャイコフスキーらしさは十分感じさせる曲ながら、いかんせんメロディの魅力に乏しく、それが日陰者的存在になっている大きな理由かも知れない。今回の独奏はイェフム・ブロンフマンで、持ち前の技巧を生かした華麗でスケールの大きな演奏ながら、やはり曲の魅力のなさを完全に補うには至っていない。

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それにしても、観客の熱狂的な拍手ぶりを見ると、彼の人気ぶりが伺える。休憩時間が終わった時に、観客席が空いたような感じだったのだが、ブロンフマンだけを観に来たお客さんが多かったのだろうか。

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後半はあまりにもポピュラーな名曲、交響曲第5番。これが圧倒的な名演だった!

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落ち着いたテンポで進められていく演奏だったが、メロディのセンスの良い歌わせ方、ここぞという時の比類のない迫力、それでいて、決してやり過ぎと感じさせない絶妙なバランス感覚と、私にとってはこの曲の理想的な演奏で、ビシュコフの実力の程を遺憾なく発揮。これには観客もブラボーの嵐でした!他にプログラムの冒頭に、グリンカの管弦楽作品、幻想的ワルツが演奏された。

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第16,187回 ニューヨーク・フィルハーモニック定期演奏会
指揮: Semyon Bychkov
Beloved Friend - Tchaikovsky and his World: A Philharmonic Festival
Glinka: Valse-Fantaisie
Tchaikovsky: Piano Concerto No. 2 in G Major, Op. 44
(ピアノ独奏: Yefim Bronfman)
Tchaikovsky: Symphony No. 5 in E minor, Op. 64
2017年1月26日、デイヴィッド・ゲフィン・ホール


⇒ ビシュコフ指揮ロイヤル・コンセルトヘボウ管 演奏会感想

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ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 演奏会

毎年のようにニューヨークに来演するオランダの名門、ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、今年はセミヨン・ビシュコフを指揮者に迎えてカーネギー・ホールに登場!

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私がパリに住んでいた頃、パリ管弦楽団の音楽監督を務めていたビシュコフ、それこそ何度も演奏会で聴いたなじみの指揮者。パリ管の後は、あまりスポットライトを浴びていない印象があるが、個人的には実力のある素晴らしい指揮者だと思っている。

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さて、今回のコンセルトヘボウ管との共演で彼が選んだのは、マーラーの交響曲第5番。出だしから、往年のバーンスタインを思わせるような、振幅が大きく濃厚な味付けの演奏で、最近はやりの、スリムで整理の行き届いた演奏とは一線を画す感じ。やはりマーラーはこう演奏してくれなくては! と思わされる。

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ビシュコフの美点は、そういう中でも、見事にバランス感覚が保たれている事で、決してやり過ぎるという事がない。バーンスタインマーラー演奏のような、異常な緊張感といったものは感じられないが、滅多に聴けないほどの正統派の名演で、観客も大喝采だった!

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マーラーに先立って演奏されたのは、ドイツの作曲家 Detlev Glanert (1960-) Theatrum Bestiarum という、大規模な編成で、音響の塊といった感じの交響詩のような作品。少し、マーラーに通じるところも感じられる点でプログラムの前半に置いたのだろうか。

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それにしても、マーラーは滅多に聴けないほどの名演だった!

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ロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 演奏会
指揮: Semyon Bychkov
Glanert: Theatrum Bestiarum, Songs and Dances for Large Orchestra (2005年、ニューヨーク初演 )
Mahler: Symphony No. 5
2016年11月30日、カーネギー・ホール


⇒ コンセルトヘボウ管の2013年公演感想

⇒ ビシュコフ&ニューヨーク・フィルの2016年2月公演感想

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