ニューヨーク・フィル定期演奏会 〜 ニューヨーク音楽シーズンの始まり!

早いもので、9月も後半に入り、いよいよニューヨークの音楽シーズンもスタート!

昨シーズンいっぱいで音楽監督のアラン・ギルバートが退任したニューヨーク・フィルは、19日のガラ・コンサートに続き、来シーズンから正式に音楽監督に着任するヤープ・ヴァン・ズヴェーデンを指揮台に迎え、新シーズンのスタート。

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今回のプログラムは、ピアノ・デュオのラベック姉妹によるフィリップ・グラスの2台のピアノのための協奏曲に、マーラーの交響曲第5番

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2015年にロサンゼルス・フィル他の委嘱によって作曲されたグラスの協奏曲は、これがニューヨーク初演

パターン化された音型を反復する事によって音楽を作り上げていくミニマル・ミュージックの代表的な作曲家の一人であるグラス(本人はそう呼ばれる事を好んでいないとの事だが)、この作品でも、同じ音型を反復させながら、音色を微妙に変化させ徐々に音楽を高揚させていくという特徴ははっきり聞き取れる。祝祭的な雰囲気も感じさせる第1・2楽章、それとは対照的にメランコリックな第3楽章という印象だが、ピアノを2台も使用しながら、ピアニスティックな華やかさはあまり感じられず、むしろ最初から最後までオーケストラに溶け込んで演奏を進めるといった感じ。ピアノ協奏曲ならではの華やかさがもう少しあったら良いのに、という印象を受けた。かっては一世を風靡したラベック姉妹、本当に久しぶりに演奏する姿を見たが、華やかな雰囲気はそのままでした!

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 グラスも舞台に上がって聴衆に挨拶

そしてメインのマラ5。出だしこそ慎重な音楽の進め方というように感じたものの、2楽章あたりからエンジンがかかってきて、極めてオーソドックスながら、ダイナミックな迫力満点の演奏を聴かせてくれた。弱冠19歳でオランダの名門、ロイヤル・コンセルトヘボウ管の史上最年少のコンサートマスターに抜擢されたズヴェーデンだが、マーラー演奏に伝統を誇るオーケストラで長年コンマスを務めただけあって、楽器間のバランスや旋律の歌わせ方など、説得力十分。特にギルバート時代に比べての精度が2段も3段も上がったような印象を受けたオーケストラの力演も聞き応えがあって素晴らしかった!

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アメリカ最大の都市にありながら、全米5大オーケストラの中では、常に最下位にランクされる憂き目に遭っているニューヨーク・フィルだが、ズヴェーデンの指導の下、是非トップを競うようになって欲しい! 聴衆も総立ちの盛大な拍手で新監督の門出を迎えていた。

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少し気になったのが、ニューヨーク・タイムズ紙など音楽評論家の評価があまり良くなかった事。表面的な演奏との評だったのだが、個人的にはそうは感じられなかった。ギルバートの後任としては、下馬評に上がっていたサロネンなどのビッグネームに比べ、知名度ではかなり劣る地味な存在である事と、ライバルのフィラデルフィア管(ネゼ=セギャン)ボストン響(ネルソンズ)が新進気鋭の若手指揮者を音楽監督に起用しているのに比べ、見るからにオッサンくさい55歳のズヴェーデンが起用されたのが気に入らないのだろうか。。。

第16,281回 ニューヨーク・フィル定期演奏会
指揮: Jaap van Zweden
Glass: Concerto for Two Pianos and Orchestra (2015) 〜 ニューヨーク初演
ピアノ独奏: Katia and Marielle Labeque
Mahler: Symphony No. 5
2017年9月22日、デイヴィッド・ゲフィン・ホール
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ギル・シャハムによる闊達自在のチャイコフスキー @ モーストリー・モーツァルト・フェスティヴァル

ニューヨークの夏の風物詩、モーストリー・モーツァルト・フェスティヴァル。今年で51周年を迎えたこのフェスティヴァル、私たちが訪れたのは、フェスティヴァルも終わりに近づいた8月18日のコンサート。

 Mostly 1

この日は、フェスティヴァルの音楽監督、ルイ・ラングレー指揮のフェスティヴァル・オーケストラで、プロコフィエフの古典交響曲に始まり、モーツァルトの交響曲第25番、そしてメインはギル・シャハムを迎えてのチャイコフスキーのヴァイオリン協奏曲

 Mostly 2

会場はニューヨーク・フィルの本拠地、デイヴィッド・ゲフィン・ホールなのだが、フェスティヴァルの期間中は舞台後方にも客席を設けて、少しお祭り的な雰囲気を醸し出している。プロコフィエフが26歳の時に作曲した最初の交響曲、古典交響曲の名で親しまれている割にはあまり演奏会でお目にかからない印象があるが、ラングレーの指揮は、親しみやすいメロディーを軽快に歌わせ、心地の良い演奏。

モーツァルト晩年の傑作、交響曲第40番と対比させて小ト短調と呼ばれる交響曲第25番、ト短調特有のほの暗い響きながら、若々しさにも満ち溢れている(作曲当時のモーツァルトは17歳)!

 Mostly 3

そしてメインのチャイコフスキーシャハム得意の演目だと思うが、以前聞いた時に比べ、今回の演奏はより自由にテンポを動かした、ラプソディックな感興に満ち溢れた演奏。その中でも、一貫して持ち味の艶やかな美音に乱れが感じられないのが素晴しかった!

 Mostly 4

モーストリー・モーツァルト・フェスティヴァル
指揮: Louis Langree
Mostly Mozart Festival Orchestra
Prokofiev: Symphony No. 1 in D major, Op.25
Mozart: Symphony No. 25 in G minor, K.183
Tchaikovsky: Violin Concerto in D major, Op. 35
(ヴァイオリン独奏: Gil Shaham)
2017年8月18日、デイヴィッド・ゲフィン・ホール

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Broadway Chamber Players の マーラー

夏らしい日が次第に増えてきた6月、高校・大学を通じてクラブの後輩で、現在はオーボエ奏者・指揮者として活躍している伊熊啓輔君のコンサートに出向いた。

      Broadway 1

渡辺謙が出演した事で日本でも話題を呼んだミュージカル「王様と私」で最初オーボエ奏者として出演しながら、途中で指揮者デビューも果たして、日本でもテレビで紹介されるなど話題を呼んだ伊熊君。今回は、 ブロードウェイを中心に活躍している音楽家たちで3年前に結成された Broadway Chamber Players の演奏会に指揮者として登場!

      Broadway 2

会場は、ブロードウェイの中心部にあり、Actors' Chapel として親しまれている St. Malachy Roman Catholic Church

      Broadway 3

曲目はマーラーの交響曲第4番なのだが、今回は1921年にシェーンベルクが主宰していた私的演奏協会で演奏するために、シェーンベルクの弟子のエルヴィン・スタインがピアノを含め12人の奏者で演奏できるように編曲した版での演奏。もちろんこの版で聴くのは初めて!

 Broadway 4

オリジナルのオーケストラ版を聴き慣れた耳には、響きがかなり違うので、別の音楽に聴こえるような感じで興味深い。残響が多い教会での演奏だった事もそうした印象を助長していたのかも知れない。

 Broadway 5

普段から聞きなれた曲を、また新鮮な気持ちで聴く事が出来ました!

 Broadway 6

Broadway Chamber Players 演奏会
指揮: 伊熊啓輔
Mahler: Symphony No. 4
ソプラノ独唱: Amy Justman
2017年6月16日、St. Mulachy Roman Catholic Church


⇒ ミュージカル「王様と私」感想

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ホルショフスキ・トリオ 演奏会

昔息子のピアノを見てもらった事があるピアニストの相沢吏江子さんと、夫君で、娘のヴァイオリンを見てもらった事があるヴァイオリニストのジェシー・ミルズさんらで結成しているホルショフスキ・トリオ相沢さんの師匠で、99歳まで現役だったポーランドの名ピアニスト、ミェチスワフ・ホルショフスキの名前を冠したアンサンブル。今回、マンハッタンで演奏会があったので、聴きに行くことに。

 Concert 1

会場は天理教のスペース(天理教の支部がニューヨークにもあるのですね)で、ハイドンやショパンの珍しいピアノ・トリオ、それに名曲メンデルスゾーンの第1番のピアノ・トリオというプログラム。

      Concert 2

響がほとんど無いデッドな会場だったのが気の毒な気がしたが、いずれの曲も息の合ったアンサンブルでそれぞれの曲のよさを堪能させてくれた!

 Concert 3

演奏会終了後、久しぶりに相沢さん・ジェシーと話しが出来て良かったです!

ホルショフスキ・トリオ 演奏会
ピアノ: 相沢吏江子
ヴァイオリン: Jesse Mills
チェロ: Raman Ramakrishnan
Haydn: Piano Trio in G major, Hob. XV:25
Chopin: Piano Trio in G minor, Op. 8
Mendelssohn: Piano Trio No. 1 in D minor, Op. 49
2017年6月4日、Tenri Cultural Institute

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ニューヨーク・フィル定期演奏会 〜 アラン・ギルバートの有終の美を飾るワーグナー!

シーズンも終わりに近づいたニューヨーク・フィルの定期演奏会、この日は今シーズン限りで 年間務めた音楽監督の座を退任するアラン・ギルバートの指揮で、ワーグナーのラインの黄金のコンサート形式上演

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コンサート形式とは言っても、衣装はつけて、最低限の演出を施した上での上演。ヴォータンには、メトの新しいリング・シリーズアルベリヒ役を演じて好評だったエリック・オーウェンズフリッカ役にはジェイミー・バートンら、実力派を揃えた布陣。

そのオーウェンズヴォータンは、知的なヴォータンといった印象で、力強さも十分に感じられ、期待に違わぬ歌唱。

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バートンを始めとするそのほかの歌手陣もそれぞれ手堅い歌唱を聴かせてくれて、全体として歌唱面では満足のいく上演と成っていた。

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 フリッカ役のバートン
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 ラインの乙女役のタマラ・マムフォード、ジェニファー・ジョンソン=カノー、ジェニファー・ツェトラン
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 アルベリヒ役のクリストファー・パーヴェスミーメ役のピーター・ブロンダー
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 ローゲ役のラッセル・トーマス
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 モーリス・ロビンソン(ファゾルト)、ステファン・ミリング(ファフナー)
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 エルダ役のケリー・オコナー
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 ブライアン・ジャグデ(フロー)、レイチェル・ウィリス=ソレンセン(フライア)、クリスティアン・ヴァン・ホーン(ドナー)

2009年〜10年シーズンから8年間にわたってニューヨーク・フィルを率いてきたギルバート。今回の演奏会は最後から二つ目にあたるものだったが、持ち前の明晰でダイナミックな音楽作りで、オケがピットではなく舞台上で演奏している事もあり、迫力に満ち溢れた演奏を聴かせてくれた。

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その反面、ダイナミクスの幅は意外に狭く、常にメゾ・フォルテからフォルテッシモの間で音楽が鳴らされている感じで、長時間聴いていると、少し単調に聞こえて、聴き疲れする感じも。これは、これまでの彼の演奏でも感じられた点。

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ともあれ、8年間にわたる音楽監督としての活動、お疲れ様でした! いよいよ2018年〜19年からヤープ・ヴァン・ズヴェーデンが第24代の音楽監督に就任予定。

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第16,256回 ニューヨーク・フィルハーモニック定期演奏会
指揮: Alan Gilbert
Wagner: Das Rheingold
演出: Luisa Muller
Wotan: Eric Owens
Fricka: Jamie Barton
Alberich: Christopher Purves
Loge: Russell Thomas
Erda: Kelley O'Connor
Fasolt: Morris Robinson
Fafner: Stephen Milling ほか
2017年6月1日、デイヴィッド・ゲフィン・ホール


⇒ ギルバート指揮の2016年9月のニューヨーク・フィル演奏会感想

 

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