ボストン交響楽団演奏会 〜 オールスターキャストでトリスタン!

年に数回カーネギー・ホールに客演するボストン交響楽団だが、今回はワーグナーの大作、楽劇「トリスタンとイゾルデ」の第2幕を演奏会形式で上演するという、意欲的なコンサート。

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今回の公演は音楽監督のアンドリス・ネルソンズの指揮で、トリスタンヨナス・カウフマンイゾルデカミッラ・ニールンド、そしてブランゲーネ日本を代表する藤村実穂子さんという、超豪華な配役!

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この長大な楽劇の中でも核となる第2幕は、陶酔的な音楽がこれでもかと繰り広げられ、聴きごたえ十分だが、ネルソンズは見通しの良いクリアな響きで、音楽が重くなる事なく、淀みなく進んで行くといった感じで、音楽からめくるめく陶酔感を立ち昇らせるというよりは、ダイナミックで劇的な音楽として提示している印象を受けた。それでいながら、歌がオーケストラにマスクされないような気遣いが感じられるのが良い。

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さてカウフマン、近年声帯の状況が思わしくなく、最近のメトの公演は立て続けにキャンセル、4ヶ月の休養期間を経て2017年1月にパリでのローエングリンで復帰して以来、ニューヨークでは久々の登場となったため、彼として初めての挑戦となるテノール屈指の難役トリスタンで声の回復状況が注目されたが、後半の長大なアリアで少し息切れした感もあったものの、バリトンを思わせるような持ち前のダークなトーンを生かして、破滅へと向かうトリスタンの情念を見事に表出した歌唱だった。来シーズンは久々にメトに復帰するし、今後の活躍が楽しみ!

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こちらもイゾルデ役初挑戦だったニールンドは、威力のある声に、イゾルデの揺れ動く心理描写が両立した素晴らしい歌唱で感動的だった。是非将来メトでもこの役を聴いてみたい!

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ブランゲーネ役の藤村実穂子さんも、よく通る声に繊細な感情表現が組み合わさって、こちらも見事な歌唱!もっと聴きたい歌手なのだが、なかなかメトには登場してくれないのが残念。、。

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他の出演は、クルヴェナールデイヴィッド・クラヴィッツマルケ王ゲオルク・ツェッペンフェルドら。

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ボストン交響楽団 演奏会
指揮: Andris Nelsons
Isolde: Camilla Nylund
Tristan: Jonas Kaufmann
Brangene: Mihoko Fujimura
King Marke: Georg Zeppenfeld
Kurwenal: David Kravitz ほか
2018年4月14日、カーネギー・ホール


⇒ 2017年のボストン響カーネギー・ホール演奏会 感想

⇒ カウフマン出演のメト「ウェルテル」感想

⇒ 藤村さん出演のイスラエル・フィル演奏会 感想
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フィラデルフィア管弦楽団 演奏会 〜 華麗なるラフマニノフ!

毎シーズン、カーネギーホールに数回客演するフィラデルフィア管弦楽団、本日は音楽監督のヤニック・ネゼ=セギャンと共に来演。

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当日のプログラムは、今シーズン、カーネギーホールのレジデンツ・アーティストになっているオランダのヴァイオリニスト、ジャニーヌ・ヤンセンをソリストに迎えてのオランダの作曲家 ミシェル・ファン・デル・アーヴァイオリン協奏曲ニューヨーク初演)に、メインはラフマニノフの交響曲第2番

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1970年生まれのアーが2014年にヤンセンのために作曲し、彼女のソロによってロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団の演奏会で初演されたこのヴァイオリン協奏曲、3楽章形式と古典的な協奏曲の形式を採用した演奏時間25分ほどの曲。

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ラプソディックな第1楽章、ミステリアスな雰囲気に支配される第2楽章、そして劇的な第3楽章と、なかなか聞き応えのある曲で、ヤンセンも集中力の高さを感じさせる熱演でこの曲を弾ききっていた。

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後半のラフマニノフは、個性的な演奏。スローな部分は思い切りスローに、たっぷりと歌わせた演奏だが、その分リズミックな部分やダイナミックな部分とのつながりが悪くなってしまった感じで、少しバランスが悪いように感じた。

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但し、オーケストラは相変わらず輝かしい、この楽団らしい音色で、ことに艶やかな弦楽器群が素晴らしい!ヤニックもオーケストラの出来には満足だったようで、各セクションまで歩み寄ってトップ奏者たちと抱擁していた。全米5大オーケストラの中で、今一番乗っている感のある楽団の勢いを感じたコンサートでした!

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フィラデルフィア管弦楽団 演奏会
指揮: Yannick Nézet-Séguin
Michel van der Aa: Violin Concerto (2014) 〜 ニューヨーク初演
(ヴァイオリン独奏: Janine Jansen)
Rachmaninov: Symphony No. 2 in E minor, Op. 27
(2018年3月13日、カーネギーホール)


⇒ 2016年のフィラデルフィア管弦楽団 演奏会 乾燥

⇒ ヤンセン出演のロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団 演奏会 乾燥

⇒ ネゼ=セギャン指揮のメト「パルジファル」感想

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ニューヨーク・フィル定期演奏会 〜 人気絶頂のユジャ・ワンが登場!

2018年〜19年シーズンの正式着任に先立って、今シーズンから積極的にニューヨーク・フィルの指揮台に登場しているヤープ・ヴァン・ズヴェーデン。今回はソリストに今や日の出の勢いの若手ピアニスト、ユジャ・ワンを迎えての演奏会。

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本日のプログラムは、ブラームスのピアノ協奏曲第1番プロコフィエフの交響曲第5番という大曲2つ。

まずは前半のブラームス。超ミニ・スカートに極端なハイヒールという、これでピアノが弾けるのだろうかという相変わらずの格好で登場したユジャ・ワン、相変わらずの切れ味鋭いテクニックで、ピアノ付きの交響曲とも言われる50分にも及ぶこの大曲をダイナミックに弾きこなしていた。

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のだが、その演奏からは不思議にブラームスらしいロマン派の香りや響きが伝わってこない印象。それが旋律の歌わせ方なのか、和音の響かせ方なのか、はっきりとは説明できないのだが、この曲を弾きこなすためには、まだ年月が必要、という事なのだろうか。オーケストラは手堅いサポートぶり。

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後半のプロコフィエフは、ブラームスとは全く異なる趣の曲だが、こちらは素晴らしい演奏だった。ズヴェーデンの音楽作りは、見た目の通り、スマートさやスタイリッシュというよりはエネルギッシュで筋肉質、迫力たっぷりなのだが、細かいパッセージもおろそかにせず、この曲の魅力を十全に表現していたように思う。

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管楽器群を始めとするオーケストラの合奏精度もギルバート時代とは比較にならないほど上がった感じで、弦楽器の表現力・木管ソロの美しさも素晴らしかった。ニューヨーク・フィルは全米5大オーケストラの中では長らく下位に位置付けられているのだが、ズヴェーデン時代にどこまで評価を高められるか、期待が持てそう。噂では、ズヴェーデンは古参団員を中心にかなりメンバーの入れ替えを進めていて、練習もスパルタらしく、その成果が早くも現れていると思われるが、くれぐれも行き過ぎてパワハラで訴えられないようにはして欲しいものです(笑)

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第16,367回 ニューヨーク・フィルハーモニック 定期演奏会
指揮: Yaap van Zweden
Brahms: Piano Concerto No. 1 in D minor, Op. 15
ピアノ独奏: Yuja Wang
Prokofiev: Symphony No. 5 in B-flat major, Op. 100
2018年3月3日、デイヴィッド・ゲフィン・ホール

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内田光子 ピアノ・リサイタル

毎年のようにカーネギーホールでリサイタルを開いている内田光子さん、今年は2晩にわたってオール・シューベルト・プログラムを引っさげての来演。そのうちの第1夜を聴きに行った。

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シューベルトのピアノ・ソナタについては、内田さんカーネギーホールでは、私が聴いただけでも、晩年の3大ソナタ(2012年)幻想ソナタ(第18番・2014年)を演奏しているが、今回は前半にソナタ第19番・13番、メインにまた幻想ソナタというプログラム。

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まずは前半。晩年の3大のソナタの最初を飾るソナタ第19番は、ハ短調の悲劇的な響きを強調するというよりは、繊細なニュアンスを込めながら細やかに弾き進めていくといった演奏。内田さんの細やかな弾き振りは、特に次のソナタ第13番で最大限に発揮され、実にチャーミングな演奏となっていた!

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そして後半、幻想ソナタという愛称で呼ばれているソナタ第18番。長大なソナタで、時として古典派としての構成感がどこかへ行ってしまったかのように感じられる曲だが、内田さんはこの長い曲の随所に、ハッとさせられるようなニュアンスを聴かせてくれて、最後までちっとも飽きさせない素晴らしい演奏、その繊細な弾き振りの中から、この作曲家特有の親しみやすいメロディが聴こえてくる一方、底知れぬ闇も感じさせるなど、一筋縄ではいかないシューベルトの多面的な音楽の世界を心ゆくまで味わわせてくれる事では、やはり稀有のピアニスト。

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感動をたっぷりと味わせてくれた一夜でした。

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内田光子 ピアノ・リサイタル
All Schubert Program
Piano Sonata No. 19 in C minor, D.958
Piano Sonata No. 13 in A major, D.664
Piano Sonata No. 18 in G major, D.894
(アンコール)
Schoenberg: Langsam (Slow) from Six Little Piano Pieces, Op.19, No.2
2018年2月26日、カーネギーホール


⇒ 2017年3月のカーネギーホール・リサイタル感想

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ウィーン・フィル演奏会 〜 デュダメルによるオール・ブラームス・プログラム!

ほぼ毎年、カーネギー・ホールに客演する名門ウィーン・フィル、今シーズンはグスターボ・ドゥダメルを指揮に迎えて3回のコンサートを開催したが、そのうち中日のコンサートに行ってみた。

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当日はオール・ブラームス・プログラムで、大学祝典序曲ハイドンの主題による変奏曲、そしてメインに交響曲第1番というウィーン・フィルにゆかりのある名曲のラインアップとあって、当然満員御礼!

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前半の2曲は、まだ指揮者もオケも調子に乗り切っていないという感じで、そつない演奏ながら、このコンビならではの、これといった特徴も感じさせないものだった。それでも、ハイドン・ヴァリエーションにおける個々の管楽器のソロはさすがの美しさ!

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後半に入って、さすがに両者とも調子が出てきたのか、交響曲はオーケストラの美感が存分に発揮された熱演。弦楽器群の独特な艶やかさ、木管楽器の妙技、他のどこの楽団にも出せないようなホルンの艶やかな響きなど、やはりウィーン・フィルは別格の存在で、感動させられた!

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これまでドゥダメル指揮の演奏を何回か聴いてみて、意外にオーソドックスな演奏をする指揮者という印象が強まった。熱狂に我を忘れてしまうという事を戒めるかのように、オケを強力にコントロールするという意志が強く働いていると感じるのは私だけだろうか。

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ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団 演奏会
指揮: Gustavo Dudamel
All Brahms Program
Academic Festival Overture, Op. 80
Variations on a Theme by Haydn in B-flat major, Op. 56a
Symphony No. 1 in C minor, Op. 68
(アンコール)
Bernstein: Waltz from Divertimento for Orchestra
Josef Strauss: Winterlust
2018年2月23日、カーネギー・ホール


⇒ 2015年のウィーン・フィル演奏会 感想

⇒ ドゥダメル指揮のロサンゼルス・フィル演奏会 感想

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