リング ~ 久しぶりに観たジャパニーズ・ホラー・ブームの火付け役

大学で、映画史の授業を取っている息子の試験対策で手伝ってほしいと頼まれ、久しぶりに観たこの映画。テーマはホラー映画との事で、日本で大ヒットした中田秀夫監督の1998年のこの作品も1990年代のホラー映画の新しい潮流の代表作の一つとして、しっかりと教科書に載っているらしい。

      Ring Poster

テレビ・レポーターの浅川玲子(松嶋菜々子)は、見てしまうと一週間後に死ぬというビデオの噂を耳にする。

 Ring 1

にわかにはその噂を信じる事が出来ない玲子であったが、高校生の姪・大石智子(竹内結子)の突然の死が、そのビデオと関係があるらしい事を知り、調べ始める。

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元夫の高山竜司(真田広之)の協力も得て調査を開始した玲子だったが、偶然手に入れたそのビデオを見てしまった彼女は、その内容から噂が本当である事を確信する。しかし、それは一週間後に彼女も死ぬ事を意味していた...

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久しぶりに観たこの映画、さすがに最初に観たインパクトは薄れているが、それなりに怖く、良くまとまった映画で、その後次々と続編が作られる大ヒット作シリーズとなったのもうなずける。

 Ring 4

「ハロウィン」(78年)「13日の金曜日」(80年)に代表される、血が飛び散る直接的な恐怖とは一味違う、雰囲気的な恐怖をベースにした和製ホラー映画が、欧米でも注目されるきっかけとなったこの映画、もはや古典と言っていいかもしれない。  ⇒ 7/10点

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リング
(1998年・日本)
監督: 中田秀夫
キャスト: 松嶋菜々子、真田広之、中谷美紀、竹内結子、沼田曜一、佐藤仁美、雅子、松重豊、村松克己、大高力也、伴大介、柳ユーレイ、しみず霧子、大島蓉子、李鐘浩、伊野尾理枝、白井ちひろ ほか
上映時間: 95分


⇒ 真田広之出演作「レイルウェイ 運命の旅路」(13年)感想
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ジャンル : 映画

映画: ダイヤルM

巨匠アルフレッド・ヒチコック監督の往年の名作、「ダイヤルMを廻せ」(60年)マイケル・ダグラスグウィネス・パルトロウのコンビで1998年にリメイクした作品。全米では1998年6月に公開され、興行成績面では公開週の2位が最高だった。

      Perfect Murder Poster

実業家スティーヴン(ダグラス)はビジネスに失敗し、破産寸前まで追い詰められていた。

 Perfect Murder 1

一方、スティーヴンとの夫婦関係が冷え切っていた妻のエミリー(パルトロウ)は、彼と離婚し、愛人のデイヴィッド(ヴィゴ・モーテンセン)と暮らす事を考えていた。

 Perfect Murder 2

妻の浮気を知ったスティーヴンは、デイヴィッドの居場所を突き止め、50万ドルで彼女の殺害を依頼し、彼女の資産を奪う事を画策するが...

 Perfect Murder 3

ヒチコックのオリジナルは、舞台劇を思わせる室内劇であったのに対し、こちらはニューヨークを舞台にしたロケで、より映画らしい雰囲気が味わえる。ストーリーの方は、製作された頃のバブルの時代を反映して、金に取りつかれた男女の愛憎劇といった雰囲気が色濃く出ていて興味深い。

 Perfect Murder 4

「ウォール街」(87年)でも証明した通り、こうした役はまさにマイケル・ダグラスのはまり役!

 Perfect Murder 5

一方で、パルトロウの方は、かよわいのか、したたかなのか、良く分からないキャラクターで、時代を反映していると言えばその通りなのかも知れないが、これがデビュー作だったオリジナルのグレース・ケリーに較べると、ヒロインの魅力という点でははるかに劣る。

 Grace Kelly

結局、この映画を見終わった感想は「金がすべてなのね」という事で、時代を反映しているとはいえ、何とも味気ない後味が残ってしまう...  ⇒ 5/10点

ダイヤルM
A Perfect Murder (1998年・アメリカ)
監督: Andrew Davis
キャスト: Michael Douglas, Gwyneth Paltrow, Viggo Mortensen, David Suchet, Sarita Choudhury, Michael P. Moran ほか
上映時間: 107分


⇒ ダグラス出演の「エージェント・マロリー」(12年)感想

⇒ パルトロウ主演の「カントリー・ストロング」(10年)感想

⇒ モーテンセン出演の「危険なメソッド」(11年)感想

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映画: トリコロール/赤の愛

フランス国旗の三色旗をテーマにしたポーランドクシシュトフ・キェシロフスキ監督(1941~96年)による、トリコロール三部作の最終第3作。この作品では、「博愛」を表わす赤がテーマになっている。1994年5月のカンヌ国際映画祭で上映され、1995年のアカデミー賞では、監督・脚本・撮影の3部門でノミネートされている。

       Rouge Poster

ジュネーヴに住む大学生・ヴァランティーヌ(イレーヌ・ジャコブ)は大学に行く傍ら、ファッションモデルをして暮らしている。

     Rouge 1

ある日、車を運転していて犬を轢いてしまったヴァランティーヌは、犬の首についていた住所の紙をもとに犬の飼い主訪ねていくと、そこに住んでいたのは人間不信で盗聴を趣味とする、元判事の老人(ジャン・ルイ・トランティニャン)だった。何とかして彼の盗聴癖を辞めさせようと、彼の過去を探り始めるヴァランティーヌだったが...

     Rouge 2

この映画でまず印象的なのは、電話を通じての会話シーンが多い事。主人公のヴァランティーヌは遠くイギリスに住んでいるらしい恋人とはたまに電話で会話をするだけ(その恋人は結局、一度も映画に登場しない)。元判事の老人も電話の盗聴に生きがいを見出している。

     Rouge 3

段々希薄化して行っているように見える現代の人間関係を象徴するかのような世界の中で、本来なら出会うはずのなかった二人が直接会話を交わす事によって心の交流をはぐくんでいく。大きな事件も起きない中、この二人の奇妙な関係を、見る者の興味を失わせずに描いてくキェシロフスキ監督の手腕は、やはり見事。

     Rouge 4

題名通り、全編を通して赤の色が印象的に使われている。主演のイレーヌ・ジャコブは赤が似合う女優さんで、画面の中で生き生きとしていて魅力的。同じ監督で彼女が主演している「二人のヴェロニカ」(91年)も是非見てみたいのだが、いまだ機会が無く...

     Rouge 5

こうやって三部作を通してみると、「青」ジュリエット・ビノシュ>、「白」ジュリー・デルピー、そしてこの「赤」ジャコブと、キェシロフスキがそれぞれの色のイメージにぴったりの女優さんを的確に選んでいる事が印象に残る。それぞれ非常に異なる作風の3作だが、彼が共通して描きたかったのは、現代社会における人と人との心の結びつきのあり方についてという事ではなかろうか。  ⇒ 7/10点

       トリコロール/赤の愛
       Trois Couleurs: Rouge (1994年・フランス)
      監督: Krzysztof Kieslowski
      キャスト: Irene Jacob、Jean-Louis Trintignant、
            Frederique Feder、Jean-Pierre Lorit ほか
      上映時間: 96分

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映画: トリコロール/白の愛

フランス国旗の三色旗をテーマにしたポーランドクシシュトフ・キェシロフスキ監督(1941~96年)による、トリコロール三部作の第2作。「平等」を表わす白がテーマとなっている。フランスでは1994年1月に公開され、同年2月のベルリン国際映画祭では監督賞を受賞している。

       Blanc Poster

パリで美容院を経営するポーランド人のカロル(ズビグニェフ・ザマホフスキ)は、夜の夫婦生活の不調から、フランス人の妻、ドミニク(ジュリー・デルピー)から一方的に離婚を突きつけられる。離婚調停の結果、店を含め全ての財産を失ったカロルは、トランク1個で外に放り出される。

     Blanc 1
     ドミニクに三行半を突きつけられるカロル

無一文で行く所もなく、地下鉄のホームで途方に暮れていたカロルは、同郷の中年男ミコワイ(ヤヌシュ・ガヨス)と意気投合し、彼の手引きで故国への密航に成功する。

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郷里に戻ったカロルは、一念発起して事業を成功させる。大金持ちとなった彼だが、ドミニクの事を忘れる事が出来ず、彼女をポーランドに来させるため、ある計画を思いつく...

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前作「青の愛」とはうって変わって、この「白の愛」は軽妙でコミカルなタッチで全編が貫かれている。無一文で妻に放り出され、トランクの中に入って密航し(本当にこんな事出来るのだろうか??)、そのトランクを盗んだ泥棒たちに見つかって痛めつけられても、悲壮感を漂わせず、ひょうひょうと受けとめているところが、どことなくチャップリンを思わせる(偶然なのか、カロルはポーランド語でチャーリーの事らしい)。東欧ブロックが崩壊し、西欧の影響を受け始めた当時のポーランドの状況を巧みに織り交ぜながら、結末の予想がつかないストーリーで、見る者を引っ張っていく力量はさすがだと感じた。

     Blanc 4
     カロルの葬儀?に参列するドミニク

映画の終盤まで、白が表わす「平等」がどのようにこの映画で表わされているのか分かりにくいが、最後になって、カロルが自分を捨てた妻との「平等」な関係を取り戻そうとしている事に気づかされる。その「平等」な関係というのが、ちょっと想像も出来ないあり方なのだが、それは見てのお楽しみ。

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なお、映画の冒頭、裁判所における離婚調停シーンで、「青の愛」に主演したジュリエット・ビノシュがちらっとカメオ出演している。  ⇒ 7/10点

       トリコロール/白の愛
       Trois Couleurs: Blanc (1994年・フランス)
      監督: Krzysztof Kieslowski
      キャスト: Zbigniew Zamachowski、Julie Delpy、
            Janusz Gajos、Jerzy Stuhr ほか
      上映時間 92分

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映画: トリコロール/青の愛

ポーランドの名匠、クシシュトフ・キェシロフスキ監督(1941~96年)がフランス国旗の色である、青・白・赤をモチーフにして撮ったいわゆるトリコロール3部作。これまで見ようとおもいながら、その機会がなかったが、最近ブルーレイ版が発売されたため、見てみる事に。

     Krzysztof Kieslowski
     クシシュトフ・キェシロフスキ

93年に発表された第1作であるこの「青の愛」は、同年のヴェネツィア国際映画祭では、作品賞に相当する金獅子賞、ならびに女優賞(ジュリエット・ビノシュ)と撮影賞を獲得している。

       Bleu Poster

高名な作曲家の夫と子供を不慮の事故で亡くしたジュリー(ビノシュ)は、過去から離れて暮らそうと、パリ郊外の邸宅や、夫の未完の作品の楽譜など全財産を処分し、パリ市内で新たな生活を始めた。そんなある日、彼女は夫の子を身ごもっている女性サンドリーヌ(フローランス・ペルネル)と出会う...

     Bleu 1

3部作の第1作は、心に傷を負った女性の再生の物語。最愛の家族を失ったジュリーは、自分の周りのもの全てを捨て去る決心をする。彼女は夫の仕事仲間で、夫婦の旧友であるオリヴィエ(ブノワ・レジャン)を招き入れ、一夜を共にするが、それすらも、まだ自分が生きている事を確かめるための行為のよう。

     Bleu 2

それでも自分が生きているという実感をつかめない彼女は、周りに彼女のことを知る人間が誰もいないパリの見知らぬ通りにあるアパートで新しい生活を始める。見知らぬ人との新たな交流。その中でも生きる実感をつかむ事の出来ないジュリーだが、時折、捨て去った夫の未完の遺作の音楽の断片が頭の中で鳴り響く。

     Bleu 3

何でも明快に説明したがるハリウッド映画と違い、彼女の内面をはっきりと説明するようなセリフは一切なく映画は進んでいく。但し、セリフはなくてもビノシュの演技、まなざしがジュリーの心の動きを見る者に語りかけてくる。

     Bleu 4

映画全編を彩る印象的なブルーの色調は彼女の受けた傷の深さを象徴的に表わしていると同時に、過去から自由に解き放たれようとする彼女の願いも表わしているように思う(フランス国旗で青は自由を表わしている)。ジュリーは、過去を断ち切る事によっては得られなかった心の自由を、夫の愛人と出会い、夫が残した未完の作品を完成させる事を決意するなど、過去と向き合う事によってその自由を得ることが出来るが、そのジュリーの心の軌跡をビノシュが見事に演じている。

     Bleu 5

観る者によって様々な受け止め方・解釈が出来る映画。しばらくストーリーの解釈を許さない単純明快なハリウッド映画ばかり見ていたので、久しぶりに映画らしい映画を見たという感じでした! 但し、自分にとっては、ストーリーの訴えかける強さがやや弱いと感じられたのが残念。  ⇒ 7/10点

     Bleu 6

     トリコロール/青の愛
     Trois Couleurs: Bleu (1993年・フランス)
    監督: Krzysztof Kieslowski
    キャスト: Juliette Binoche、Benoit Regent、Julie Delpy、
          Florence Pernel、Charlotte Very、Emmanuelle Riva ほか
    上映時間: 99分

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