ダウンサイズ 〜 アレクサンダー・ペイン監督のユニークな最新SF映画!

「サイドウェイ」(04年)「ファミリーツリー」(11年)などのアレクサンダー・ペイン監督マット・デイモンを主演に迎えた最新作で、脚本・制作も手がけている。2017年のヴェネツィア国際映画祭のオープニング作品としてプレミエ上映された後、全米では12月に公開され、公開週の興行ランキング7位(トップは「スターウォーズ/最後のジェダイ」)が最高と、興行的には振るわなかった。

      Downsizing Poster

人口増加、経済格差、住宅などの問題に悩む地球で、その解決策として人間を14分の1のサイズにする技術が発明され、人類の縮小計画がスタートする。妻のオードリー(クリステン・ウィグ)と共にその技術を目の当たりにしたポール(マット・デイモン)は、体を小さくすることで生活に関わるコストも縮小できるため、今の資産でも豊かに生活出来ると知って興奮し、妻とともに計画に参加する事を決める。

 Downsizing 1

いよいよ縮小実行の日、男女別々の病室に入り、晴れて13センチの体になったポール、しかしオードリーの方は…

 Downsizing 2

アカデミー脚色賞を2度受賞するなど、ストーリーテラーとしても定評のあるペイン監督の最新作は、人類が14分の1の大きさになると、どうなるのかを描いた斬新な着想の SF 映画で、そのままの大きさの人間との共存など、その状況が結構細かく描写されていて、見ているこちらも、本当にそういう世の中になったら実際にどんな感じなのかを想像しながら見る事が出来て、とても興味深い作品。

 Downsizing 3

ところが、映画が後半に入ると、プロットが何やら世界の終末へと向かっていき、ダウンサイジングした人間の話から離れていってしまうのが残念。ダウンサイジングした人間の世界の話をあくまで中心に置いた方が面白かったのではないかと思うので、その点が残念。ペイン監督、少しシナリオをいじくり過ぎてしまったのだろうか…  ⇒ 7/10点

 Downsizing 4

ダウンサイズ
Downsizing (2017年・アメリカ)
監督: Alexander Payne
キャスト: Matt Damon, Christoph Waltz, Hong Chau, Kristen Wiig, Udo Kier, Jason Sudeikis, Maribeth Monroe, Rolf Lassgård, Ingjerd Egeberg, Søren Pilmark ほか
上映時間: 135分


⇒ ペイン監督の前作「ネブラスカ ふたつの心をつなぐ旅」(13年)感想オススメ!

⇒ デイモン主演作「グレートウォール」(16年)感想

⇒ ヴァルツ出演作「007 スペクター」(15年)感想

⇒ ウィグ主演作「ゴーストバスターズ」(16年)感想
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北米興行成績 (2018年7月16日)

世界中がワールドカップに熱狂している中、サッカーがまだそれほどメジャーな存在ではないアメリカは比較的静かな感じだが、その先週末は、全米公開作2本がデビューした:

① Hotel Transylvania 3: Summer Vacation (初登場)
② Ant-Man and the Wasp (第2週、前週1位)
③ Skyscraper (初登場)
④ Incredibles 2 (第5週、前週3位)
⑤ Jurassic World: Fallen Kingdom (第4週、前週3位)
⑥ The First Purge (第2週、前週4位)
⑦ Sorry to Bother You (第2週、前週圏外)
⑧ Sicario: Day of the Soldado (第3週、前週5位)
⑨ Uncle Drew (第3週、前週6位)
⑩ Ocean's 8 (第6週、前週6位)


興行収入 44百万ドルと、事前予想を大幅に上回る成績でトップに立ったのが、人気アニメ映画シリーズ 「モンスター・ホテル」の第3弾となる "Hotel Transylvania 3: Summer Vacation"。これで2012年の第1作から3作連続で興行ランキングのトップに立つ事になった人気シリーズ、観た人の平均評価は A- と好評。

      Transylvania 3 Poster

事前予想ではトップに立つと見られながら、予想を下回る興行収入 25百万ドルで3位スタートとなったのが、ドゥエイン・ジョンソン主演のアクション映画、"Skyscraper"。総制作費 125百万ドルをかけたパニック大作ながら不本意なスタートとなったが、ジョンソンは今や一大市場となった中国をはじめ世界的に人気があるので、配給元のユニヴァーサル・ピクチャーズはそれほど心配していないようだ。観た人の平均評価も B+ とまずまず。

      Skyscraper Poster

この他では、前週16館にて限定公開され高い評価を得たSF映画 "Sorry to Bother You" が上映館数を805館まで拡大した先週末に7位にランクインを果たしたのが注目される。

 Sorry to Bother You

限定公開作では、4館で公開された、サンダンス映画祭でも高い評価を得た青春映画 "Eigth Grade" と 同じく4館で公開され、こちらもサンダンスでプレミエ上映されたガス・ヴァン・サント監督の最新作 "Don't Worry He Won't Get Too Far on Foot" がいずれも高い評価を得ており、6館で公開された、ゴーギャンタヒチでの生活を描いた "Gauguin"、1館で公開された 前衛ジャズ奏者マイルフォード・グレイブスを追ったドキュメンタリー映画 "Milford Graves Full Mantis"、同じく1館で公開されたドキュメンタリー映画 "Dark Money" もまずまずの評価のようだ。一方で、100館で公開された、ウディ・ハレルソン、トミー・リー・ジョーンズ、ミラ・ジョヴォヴィッチらオールスターキャストのロブ・ライナー監督の最新作 "Shock & Awe" は期待された興行成績を上げる事は出来なかったようだ。

      Eighth Grade Poster
      Dont Worry Poster
    Gauguin Poster
      Milford Graves Poster
      Dark Money Poster
      Shock and Awe Poster

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アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル 〜 どこか調子っ外れな人々が繰り広げる狂騒劇

1984年のリレハンメル冬季五輪直前に発生し、当時大きなスキャンダルとなった米スケート選手のナンシー・ケリガン襲撃事件の首謀者と疑われている当時のライバル、トーニャ・ハーディングを描いた作品。脚本家のスティーヴン・ロジャースハーディングや彼女の元夫で実行犯として逮捕されたジェフ・ギルーリーらに行ったインタビューをベースに映画が製作されている。監督は「ミリオンダラー・アーム」(14年)「ザ・ブリザード」(16年)クレイグ・ガレスピー。2017年のトロント国際映画祭でプレミエ上映され、高い評価を得た後、全米では12月に限定公開されている。今年のアカデミー賞では主演女優賞(マーゴット・ロビー)をはじめ3部門でノミネートされ、アリソン・ジャニーが助演女優賞を受賞している。

      I Tonya Poster

貧しい家庭に生まれ、厳格でエキセントリックな母親ラヴォナ(ジャニー)に育てられたトーニャ・ハーディング(ロビー)。フィギュアスケートの才能に恵まれた彼女は、血のにじむような努力を重ねて有力選手に成長し、アメリカ人として初めてトリプルアクセルを成功させる。

 Tonya 1

アメリカ代表として出場した1992年のアルベールビル・オリンピックでは惜しくもメダル獲得には届かなかったが、選手としてのキャリアは順調だったトーニャだが、彼女に辛く当たる母親、暴力をふるう夫のジェフ(セバスチャン・スタン)など、私生活での問題が次第に彼女の競技成績にも影響してくる。

 Tonya 2

1994年、リレハンメル・オリンピックを前にして不調に陥っていたハーディングだが、離婚していたジェフとその友人ショーン・エッカート(ポール・ウォルター・ハウザー)共謀してトーニャのライバルだったナンシー・ケリガン(ケイトリン・カーヴァー)を襲うという、とんでもない事件が起こってしまう…

 Tonya 7
 Tonya 3

当時世の中を騒然とさせたナンシー・ケリガン襲撃事件の渦中の人であったトーニャ・ハーディングを描いた作品だが、伝記的というよりは、彼女と彼女を取り巻く人々の信じられないような狂騒劇を描いたブラック・コメディ的色彩が強い作品。襲撃の経緯についても、トーニャジェフへのインタビューをベースに再現しているため、事実とは違うという批判もかなりあるようだ。

 Tonya 4

トーニャの周りにいる人たちはどこか調子っぱずれで、マーゴット・ロビーがこれまでのイメージをかなぐり捨てて熱演するトーニャ自身もその中にすっかり染まっているのだが、ロビーの演技からは、その一方でピュアな部分を持ち続けていた感じが窺われ、なかなか印象的。

 Tonya 5

映画としては、スコセッシ監督・ディカプリオ「ウルフ・オブ・ウォールストリート」(13年)に通ずるものがあるように思うのだが、時代は重なっていて、当時のアメリカはどこか調子っ外れな世の中だったのだろうか。  ⇒ 8/10点

 Tonya 6

アイ,トーニャ 史上最大のスキャンダル
I. Tonya (2017年・アメリカ)
監督: Craig Gillespie
キャスト: Margot Robbie, Sebastian Stan, Allison Janney, Julianne Nicholson, Bobby Cannavale, Caitlin Carver, Paul Walter Hauser ほか
上映時間: 119分


⇒ ロビー出演作「スーサイド・スクワッド」(16年)感想

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15時17分、パリ行き 〜 実話を題材にしたクリント・イーストウッド監督の最新作

クリント・イーストウッド監督が、2015年8月にアムステルダム-パリ間の高速鉄道車内で発生した、無差別テロ未遂事件を映画化した作品。事件の実際の当事者であった3人のアメリカ人青年をそのまま起用し、当時列車に居合わせた乗客も多数出演しているのが話題となった。全米では2018年2月に公開され、公開週に興行ランキングの3位にランクインしている(トップは 「フィフティ・シェイズ・フリード」)。

      15-17 Poster

カリフォルニア出身の3人の青年スペンサー・ストーンアレク・スカラトスアンソニー・サドラーは、小学校時代からの親友。小学校ではどちらと言えば落ちこぼれだった3人だが、スペンサー米国空軍に入隊し、アレクオレゴン州兵になってアフガニスタンに派遣される。

 Paris 1

休暇中にドイツにいる恋人に会いに行くアレクに合流してヨーロッパを一緒に旅行する事にしたスペンサーと大学生になっていたスペンサードイツで落ち合い、アムステルダムを経由してパリに行こうと、2015年8月21日の午後3時17分にアムステルダム駅を発車するパリ行きの高速鉄道タリスに乗り込むのだった…

 Paris 2

88歳になっても一向に創作意欲に衰えが見られないイーストウッド監督の最新作は、2015年に発生したテロ未遂事件を題材に、偶然舞台となった列車に乗り合わせていた3人のアメリカ人青年が、テロを未然に防ぐまでを描いているのだが、映画としては、テロ事件そのものよりも、そこに至るまでの青年たちの成長過程に焦点が当てられている感じで、一種の青春ロードムービー的な色彩が強い。

 Paris 3
 Paris 4

主人公の3人の青年たちはごくごく普通の、どちらと言えば、まだ人生で成功しているとは言い難い若者たちなのだが、実際の彼らを出演させる事で、イーストウッドは、どんな人間でもヒーローになる事ができる、という事を示したかったのだろうか。

 Paris 5

最近のイーストウッド監督作品の例にもれず、長さは1時間半とコンパクトにまとまっていて、その中での語り口の巧みさはさすがだが、今回は少し作品としての密度が少し低い感じがする。  ⇒ 6/10点

15時17分、パリ行き
The 15:17 to Paris (2018年・アメリカ)
監督: Clint Eastwood
キャスト: Anthony Sadler, Alek Skarlatos, Spencer Stone, Judy Greer, Jenna Fischer, Ray Corasani, Chris Norman, P. J. Byrne, Sinqua Walls, Tony Hale, Thomas Lennon, Jaleel White ほか
上映時間: 94分


⇒ イーストウッド監督の前作「ハドソン川の奇跡」(16年)感想傑作!!!

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北米興行成績 (2018年7月9日)

日本では記録的な豪雨で多くの方が被災している状況がこちらのニュースでも報道されている。被災された方達の無事を祈るばかりだが、北米興行界では先週末は全米公開作2本がデビューした:

① Ant-Man and the Wasp (初登場)
② Incredibles 2 (第4週、前週2位)
③ Jurassic World: Fallen Kingdom (第3週、前週1位)
④ The First Purge (初登場)
⑤ Sicario: Day of the Soldado (第2週、前週3位)
⑥ Uncle Drew (第2週、前週4位)
⑦ Ocean's 8 (第5週、前週5位)
⑧ Tag (第4週、前週6位)
⑨ Won't You Be My Neighbor? (第4週、前週10位)
⑩ Deadpool 2 (第8週、前週7位)


興行収入76百万ドルで前週まで2週連続でトップだった "Jurassic World: Fallen Kingdom" に代わってトップに立ったのが、マーベル・コミックのキャラクターの一人の活躍を描いた「アントマン」(15年)の続編となる "Ant-Man and the Wasp"ポール・ラッドが主人公を務めるこのシリーズも他のマーベル・コミック映画同様、好調な成績で、観た人の平均評価も A- と良好。

      Ant Man Wasp Poster

興行収入 17百万ドルで4位スタートとなったのが、人気ホラー映画シリーズ「パージ」の最新作 "The First Purge"パージ制度成立のいきさつを描いた本作、観た人の平均評価は B- とそこそこ。

      First Purge Poster

この他には、悲劇的な死を遂げた歌姫ホイットニー・ヒューストンを描いたドキュメンタリー映画 "Whitney" が 452館で公開されたが、思ったほどの興行成績を上げる事は出来なかったようだ。

      Whitney Poster

限定公開作では、ラッパーでもあるキース・スタンフィールド主演のSF映画 "Sorry to Bother You" が 16館で公開され、高い評価を得ている一方、坂本龍一を追ったドキュメンタリー映画 "Ryuichi Sakamoto: Coda" が1館で公開され、こちらもまずまずの評判のようだ。

      Sorry to Bother You Poster
      Coda Poster

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