海街 diary 〜 四姉妹の心の綾を繊細に描いた是枝監督の秀作

こちらにいると、なかなか邦画を観る機会がないのだが、7月に一時帰国した際に、最近話題になった作品を何本か観た。これはそのうちの一本。

吉田秋生のベストセラー・コミックを「そして父になる」(13年)是枝裕和監督が実写映画化した作品。綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆・広瀬すず と、今が旬の4人の女優が競演した事でも話題を呼んだ。2015年のカンヌ映画祭でプレミエ上映された後、日本では同年6月に全国公開され、翌年の日本アカデミー賞では、最優秀作品・監督・撮影・照明賞の4冠に輝いている。

      Diary Poster

両親が別々に家を離れたため、残された鎌倉の家で姉妹だけで暮らす幸(綾瀬)・佳乃(長澤)・千佳(夏帆)。ある日彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀が行われる山形へと向かった姉妹は、そこで異母妹のすず(広瀬)と初めて出会う。

 Diary 1

すでに母もこの世を去っていて、身寄りがいなくなった すず の身を案じ、鎌倉で自分たちと一緒に暮らす事を彼女に提案する。こうして新たに4姉妹での生活がスタートするのだが…

 Diary 2

是永監督が、鎌倉を舞台に多くの名作を送り出した巨匠・小津安二郎監督を意識して作り上げたというこの作品、もちろん両者の持ち味は違うし、時代も違うので、同じというわけにはいかないのだが、移りゆく鎌倉の四季を舞台に、普通の生活を送る姉妹の姿が細やかに描かれているというところに、何か通ずるところを感じさせる。

 Diary 3

音信不通だった父親が亡くなる知らせが来るところからドラマが始まり、途中これまた家を出た母親(大竹しのぶ)が現れたりするものの、映画全体を通じて、ドラマチックな出来事が起こるわけではないため、凡百の監督が撮ると起伏がなく物足りない作品になりがちなのだが、そこは是枝監督、女優さんたちの持ち味を生かしながら四姉妹のキャラクターをしっかりと描き分け、それぞれの心の動きを繊細に表現しているところはさすがの一言。

 Diary 4

映画を通して、鎌倉の四季が美しく描き出されているのも素晴らしい。がふと見上げる鎌倉の夏の空など、移りゆく季節と姉妹たちの生活が見事に溶け合っていて、四季がはっきりと感じられる日本の素晴らしさをしみじみと味あわせてくれる。ニューヨークの四季は、いかんせん春と秋が短すぎる!

 Diary 5

原作を読んだ事がないので、この作品がどの程度原作に忠実なのかは分からないが、個人的には「そして父になる」より好きな作品。他の出演は、樹木希林堤真一風吹ジュンら。  ⇒ 9/10点

 Diary 6

海街 diary
(2015年・日本)
監督: 是永裕和
キャスト: 綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、大竹しのぶ、樹木希林、堤真一、風吹ジュン、リリー・フランキー、加瀬亮、鈴木亮平、坂口健太郎 ほか
上映時間: 128分


⇒ 「そして父になる」(13年)感想オススメ!

⇒ 三谷幸喜監督が大きく外した綾瀬はるか主演作「ギャラクシー街道」(15年)感想

⇒ 広瀬すず主演作「ちはやふる -上の句-」(16年)感想
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美女と野獣 〜 ディズニーらしい高い水準の実写映画化!

ディズニーが製作した1991年の大ヒットアニメ映画「美女と野獣」を実写映画化した作品。監督は、「ドリームガールズ」(06年)「トワイライト」シリーズで知られるビル・コンドン。全米では今年3月に公開され、公開週から2週連続でトップに立つ、ディズニーの実写映画としても最大のヒットとなった。

      Beauty Poster

フランスのとある村。進歩的な考え方が原因で、閉鎖的な村人たちとなじめないことに悩む美女ベル(エマ・ワトソン)は、村一番のモテ男ガストン(ルーク・エヴァンス)に求婚されるが、ベルは下品で粗暴な彼に我慢ができない。

 Beauty 1

ある日、ベルの父親でオルゴール職人のモーリス(ケヴィン・クライン)は、パリにオルゴールを売りに行った帰りに森の中で道に迷い、森の中に忽然と現れた城の中に逃げ込むのだが、城主で恐ろしい顔をした野獣(ダン・スティーヴンス)に捉えられてしまう。

 Beauty 2

モーリスの愛馬フィリップだけが村に戻ってきたのを見て、父親の身に異変が起きたことを理解したベルは、フィリップに乗って単身父親を探しに向かい、ついに城にたどり着くが、そこで野獣に見つかってしまう…

 Beauty 3

「シンデレラ」(15年)「アリス・イン・ワンダーランド」(10年)で、往年の名作アニメ映画を単なる焼き直しに終わらせないで見事に実写映画化してきたディズニーが、今回の実写映画化に当たっても、見事に新鮮な生命を吹き込んでいる。

 Beauty 4

オリジナルがアニメ作品としては史上初めてアカデミー作品賞にノミネートされただけあって、前作を超えるハードルはこれまでにも増して高かったのだと思うが、主題歌賞に輝いた歌を始め、オリジナルの音楽をそのまま使用しながらも、実写映画ならではのスケールの大きさを感じさせながら、新鮮な魅力に満ち溢れた作品に仕上げているのは、さすがと言うしかない。

 Beauty 5

ジャン・コクトー古典的名作(46年)を始め、これまでに使い古されたストーリーのはずなのに、華麗な映像と凝った特撮を駆使して最後まで飽きさせずに観る者を引っ張っていく面白さ。いや、脱帽しました。  ⇒ 9/10点

 Beauty 6

美女と野獣
Beauty and the Beast (2017年・アメリカ)
監督: Bill Condon
キャスト: Emma Watson, Dan Stevens, Luke Evans, Kevin Kline, Josh Gad, Ewan McGregor, Stanley Tucci, Audra McDonald, Gugu Mbatha-Raw, Ian McKellen, Emma Thompson ほか
上映時間: 130分


⇒ 実写化版の傑作: シンデレラ(15年)感想傑作!!!

⇒ コンドン監督の「トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part 2」(12年)感想

⇒ ワトソン出演作「ノア 約束の舟」(14年)感想

⇒ スティーヴンス出演作「ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密」(14年)感想

⇒ エヴァンス出演作「インモータルズ ~神々の戦い~」(11年)感想

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北米興行成績 (2017年8月14日)

夏休みも終盤戦に入った米国、先週末は全米公開作3作がデビューしたが:

① Anabelle: Creation (初登場)
② Dunkirk (第4週、前週2位)
③ The Nut Job 2: Nutty by Nature (初登場)
④ The Dark Tower (第2週、前週1位)
⑤ The Emoji Movie (第3週、前週3位)
⑥ Girls Trip (第4週、前週4位)
⑦ Spider-Man: Homecoming (第6週、前週6位)
⑧ Kidnap (第2週、前週5位)
⑨ The Glass Castle (初登場)
⑩ Atomic Blonde (第3週、前週7位)


興行収入35百万ドルと、予想を上回る成績で前週トップの "The Dark Tower" に代わってトップに立ったのが、 人気ホラー映画シリーズ「死霊館」の一作で、2014年に公開された「アナベル 死霊館の人形」の続編となる "Anabelle: Creation"。夏の定番であるホラー映画、本作は珍しく批評家からの評価が良いのだが、観た人の平均評価は B とそれほど良くなかった。

      Annabelle Creation Poster

興行収入8.9百万ドルと事前予想を下回る成績でで3位に入ったのが、リスたちが活躍する2014年のアニメ映画 "The Nut Job" (日本未公開) の続編、"The Nut Job 2: Nutty by Nature"。こちらは観た人の平均評価が B+ とまずまず。

      Nut Job 2 Poster

ブリー・ラーソンナオミ・ワッツウディ・ハレルソンらのアンサンブル・キャストでジャネット・ウォールズのベストセラー小説を映画化した "The Glass Castle" は 1,467館と少なめの上映館数ながら、興行収入 4.9百万ドルの9位と健闘。

      Glass Castle Poster

限定公開作では、オーブリー・プラザエリザベス・オルセンが共演したダーク・コメディ、"Ingrid Goes West" が3館、ジェニファー・ジェイソン・リーロバート・パティンソンが共演した "Good Time" が4館、スティーヴ・クーガンロブ・ブライドンによるイギリス発の旅行映画シリーズの第3弾、"The Trip to Spain" が3館で公開され、いずれも評判が高いようだ。

      Ingrid Goes West Poster
      Good Time Poster
      Trip to Spain Poster

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モアナと伝説の海 〜 ディズニー・アニメーションからまたしても秀作!

「アラジン」(92年)「ヘラクレス」(97年)などでタッグを組んだロン・クレメンツジョン・マスカーが再び結集し、南太平洋を舞台に製作したディズニー・アニメーションの最新作。全米では2016年11月に公開され、公開週から3週連続で興行ランキングのトップに立つ大ヒット作となった。今年のアカデミー賞では、長編アニメーション映画賞にノミネートされたが、同じディズニー「ズートピア」が栄冠に輝き、受賞は逃している。

      Moana Poster

南洋ポリネシアにある島モトヌイの村長トゥイ(声: テムエラ・モリソンの娘で、誰よりも海を愛する少女モアナ(声: アウリイ・クラヴァーリョは、父により海に出ることを禁止されていた。

 Moana 1

成長したモアナトゥイの後継者としての自覚も芽生えてきたある日、島の近海から魚が消え、作物も穫れなくなってしまう事態が発生する。モアナは祖母タラ(声: レイチェル・ハウスに、この世の命をつかさどる女神テ・フィティの心である緑の石を託され、それをテ・フィティに返して平和な世界を取り戻すために、伝説の英雄マウイ(声: ドウェイン・ジョンソンと共に、未知の大海原へと乗り出すのであった…

 Moana 2

ここ数年、立て続けにヒット作を連発して絶好調のディズニー・アニメーション。そろそろ息切れかと思いきや、今回も水準の高い作品に仕上がっている。

 Moana 3

少女を主人公にしている点は、従来通りだが、スリル感満点の冒険ストーリーは隙のない出来で最後まで全く飽きさせないし、主要キャラクターが魅力的に描かれているのも良い。

 Moana 4

個人的にはアカデミー賞に輝いた「ズートピア」より面白いと思った作品。それにしてもディズニーの底力、恐るべし!  ⇒ 8/10点

 Moana 5

モアナと伝説の海
Moana (2016年・アメリカ)
監督: Ron Clements and John Musker
声の出演: Auli'i Cravalho, Dwayne Johnson, Rachel House, Temuera Morrison, Jemaine Clement, Nicole Scherzinger, Alan Tudyk ほか
上映時間: 107分


⇒ ディズニー・アニメーションの前作「ズートピア」(16年)感想オススメ

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メッセージ 〜 才人ドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の最新SF映画

注目度上昇中のカナダドゥニ・ヴィルヌーヴ監督の最新作で、テッド・チャンのSF短編小説「あなたの人生の物語」の映画化作品。2016年のヴェネツィア音楽祭でプレミエ上映された後、全米では11月に公開され、公開週に興行ランキングの3位にランクインしている(トップは「ドクター・ストレンジ」)。今年のアカデミー賞では、作品賞・監督賞をはじめ8部門にノミネートされ、音響編集賞を受賞している。

      Arrival Poster

ある日突然、地球上に無数の巨大な球形の宇宙船が降り立ってくる。宇宙船内にいる生物が奇妙な音や文字を発信するのを見て世界中が不安と混乱に陥る中、言語学者のルイーズ(エイミー・アダムス)や物理学者のイアン・ドネリー(ジェレミー・レナー)らが米軍のウェーバー大佐(フォレスト・ウィテカー)から緊急招集を受ける。

 Arrival 1

宇宙人が発するそれらのシグナルを解明する役割を与えられた彼らは、必死に解読作業に没頭するが、そのうちルイーズは、時間を遡っていくような不思議な感覚に襲われるようになる。一方、宇宙船が飛来した各国の間で対応方針をめぐり、徐々に足並みが乱れていき…

 Arrival 2

中東を舞台にした、ギリシャ古典悲劇を見るような「灼熱の魂」(10年〜9点)ヒュー・ジャックマンが誘拐された娘を探し出すため暴走する父親を演じたサスペンススリラー「プリズナーズ」(13年〜8点)メキシコの麻薬戦争を生々しく描いた「ボーダーライン」(15年〜8点)など、異なるジャンルを扱いながら、いずれも秀作を送り出してきている才人ヴィルヌーヴの最新作はSF映画。

 Arrival 3

独特で詩情を漂わす映像の中、展開されていく物語は、昨今の派手なアクションや戦闘シーンを売りにしたSF映画とは一味も二味も異なり、ヴィルヌーヴ監督のセンスの良さが存分に発揮されている。

 Arrival 4

各国が意思疎通が出来ない事に業を煮やして宇宙人を攻撃する方向に傾いていく中、粘り強く最後まで宇宙人とコミュニケーションを図ろうとする、アダムス演じる主人公ルイーズの静かな心の強さが印象的。SF映画であると同時に、一人の女性の心の物語でもあるこの作品、どのようなジャンルでも、優れた水準の作品を生み出せるヴィルヌーヴ監督の才能の凄さをまたしても印象付けられました!自作はいよいよ「ブレードランナー」の最新作 "Blade Runner 2049"!  ⇒ 8/10点

 Arrival 5

メッセージ
Arrival (2016年・アメリカ)
監督: Denis Villeneuve
キャスト: Amy Adams, Jeremy Renner, Forest Whitaker, Michael Stuhlbarg, Forest Whitaker, Michael Stuhlbarg, Mark O'Brien, Tzi Ma ほか
上映時間: 116分


⇒ ヴィルヌーヴ監督の前作「ボーダーライン」(15年)感想 オススメ!

⇒ アダムス出演の「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」(16年)感想

⇒ レナー出演の「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(16年)感想

⇒ ウィテカー出演の「サウスポー」(15年)感想オススメ!

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