ダンケルク 〜 クリストファー・ノーラン監督の本領発揮!

クリストファー・ノーラン監督の最新作で、第2次世界大戦初期の1940年にフランス・ダンケルクから大軍を撤退させるため、連合国側が実行したダイナモ作戦を描いた戦争映画。全米では2017年7月に公開され、公開週から2週連続で興行ランキングのトップに立っている。

      Dunkirk Poster

第二次世界大戦初期の1940年。イギリス、ベルギー、カナダ、フランスからなる連合国軍は、フランスダンケルク海岸で多くの将兵がドイツ軍に包囲されたため、ダイナモ作戦を発動して部隊を撤退させる準備をしていた。

 Dunkirk 1

所属していた部隊がダンケルクの町でドイツ軍の攻撃によって壊滅した英国陸軍二等兵のトミー(フィン・ホワイトヘッド)は、武器も失い一人撤退作戦中のダンケルクの砂浜にやってくる。

 Dunkirk 2

一方イギリス本国では、兵士を収容する軍艦が払底していた事から、ありとあらゆる民間船を徴用する事を決定し、ドーソン(マーク・ライランス)も、息子のピーター(トム・グリン=カーニー)、その友人ジョージ(バリー・コーガン)と共に、自身の小型船に乗り込んでダンケルクに向けて出港する。

 Dunkirk 3

また、英国空軍のパイロットであるファリア(トム・ハーディ)コリンズ(ジャック・ロウデン)らの小隊は、撤退行動を阻害するドイツ空軍を牽制するため、スピットファイア戦闘機で出撃するのだった…

 Dunkirk 4

戦争映画ながら、大規模な戦闘シーンは一切ない異色の作品で、陸(若い兵士)、海(初老の一般市民)、空(空軍パイロット)という三つの視点に絞って、第二次世界大戦史上名高い作戦(特にイギリス人にとっては大事な史実らしい)を描いていく。

 Dunkirk 5

作戦全体の推移を描かず、視点人物(ゲーム・オブ・スローンズのようですね)が見ているものしか描いていないため、かえって臨場感と姿が見えないドイツ軍に対する恐怖感が高まり、観ているものもその場に居合わせているかのような錯覚に襲われるところは、さすがノーラン監督といったところで、凡百の映画監督では到底及ばないであろう抜群のセンス!

 Dunkirk 6

描くものを切り詰めて1時間半という時間にまとめた事も、作品の緊密度を高めるのに役立っていて、ここはクリント・イーストウッド監督の快作「ハドソン川の奇跡」(16年)と通ずるところがある。若き兵士を演じたホワイトヘッドライランスハーディらの演技も良い。

 Dunkirk 7

それにしても、これまでSF映画中心に作品を発表してきたノーラン監督、意表をつく戦争映画の新作だったが、ここでも彼らしい高い水準の出来栄えで、今やハリウッドで最も目が離せない監督の一人である事をきっちり証明した!他にケネス・ブラナーキリアン・マーフィーらが出演。  ⇒ 9/10点

ダンケルク
Dunkirk (2017年・アメリカ/フランス/イギリス)
監督: Christopher Nolan
キャスト: Fionn Whitehead, Mark Rylance, Tom Hardy, Kenneth Branagh, Cillian Murphy, Tom Glynn-Carney, Jack Lowden, Harry Styles, Aneurin Barnard, James D'Arcy, Barry Keoghan ほか
上映時間: 106分


⇒ ノーラン監督の前作「インターステラー」(14年)感想オススメ!

⇒ ライランス主演作「BFG」(16年)感想オススメ!

⇒ ハーディ出演作「レヴェナント: 蘇えりし者」(15年)感想オススメ!
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女神の見えざる手 〜 ジェシカ・チャスティンの演技に圧倒される!

アカデミー作品賞受賞作「恋におちたシェイクスピア」(98年)「マリーゴールド・ホテルで会いましょう」(12年)などで知られるジョン・マッデン監督の最新社会派サスペンス映画。米国では2016年11月に限定公開され、上映館数が拡大された公開3週目に興行ランキングの11位にランクインしている。また、主演のジェシカ・チャステインは2017年のゴールデン・グローブ賞でドラマ部門女優賞にノミネートされた。

      Miss Sloane Poster

ワシントンの大手ロビー会社で活躍するエリザベス・スローン(チャステイン)は、顧客の依頼を実現するためなら、手段を選ばず実現させる凄腕のロビイスト。

 Sloane 1

ある日、会社が銃擁護派団体と組むことになり、エリザベスはそのロビー活動の指揮を取る事を指示される。当然その仕事を受けるかと思いきや、彼女はいきなり部下4人を引き連れてロドルフォ・シュミット(マーク・ストロング)が経営する銃規制派の小さなロビー会社に移籍してしまう。

 Sloane 2

圧倒的に不利な状況の中、彼女は卓越したアイデアと決断力で、銃擁護派が圧倒的に有利な状況を覆すところまで持ってくるが、前の会社によって、彼女の過去のロビー活動に関する不正疑惑と共にプライベートまでもが暴露され、一転して窮地に立たされるのだが…

 Sloane 3

銃規制派に転じたロビイストが、巨大権力をバックにした銃擁護派に挑んでいくという、アメリカの今の時勢にピッタリの題材で、最後のドンデン返しも含め、両者の駆け引きがスリリングに描かれていて、思わず最後まで映画の中に引っ張り込まれてしまう。

 Sloane 4

とにかく主演のジェシカ・チャスティンが圧倒的な存在感で、まさに彼女に始まり彼女に終わるというぐらい、彼女の演技は際立っている。私は全く引き込まれたが、人によっては、アクの強いヒロイン像に抵抗感を覚えるかも知れない。

 Sloane 5

最近出演している作品ではいずれもその演技が高く評価されていて、今後も目が離せない女優さん!  ⇒ 9/10点

 Sloane 6

女神の見えざる手
Miss Sloane (2016年・アメリカ)
監督: John Madden
キャスト: Jessica Chastain, Mark Strong, Gugu Mbatha-Raw, Alison Pill, Michael Stuhlbarg, Jake Lacy, Sam Waterston, John Lithgow, David Wilson Barnes, Raoul Bhaneja, Dylan Baker, Christine Baranski, Chuck Shamata, Douglas Smith ほか
上映時間: 132分


⇒ マッデン監督の前作「マリーゴールド・ホテル 幸せへの第二章」(15年)感想

⇒ チャステイン出演作「スノーホワイト/氷の王国」(16年)感想

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ワンダーウーマン 〜 ガル・ガドットのヒロインぶりが凛々しい!

テレビ・ドラマ・シリーズでも人気の高かったDCコミックスのヒロインを主人公した作品。ヒロイン役はこれが初主演作品となるガル・ガドットで、監督はシャーリーズ・セロンアカデミー主演女優賞を獲得した「モンスター」(03年)パティ・ジェンキンスと女性コンビ。全米では今年6月に公開され、公開週より2週連続で興行ランキングのトップに立つヒットとなり、公開週の興行成績は女性監督の作品としては史上最高の成績だった。

      Wonder Woman Poster

女性だけが住む島セミッシラで育ったアマゾン族の王女ダイアナ(ガドット)は、幼い頃から母ヒッポリタ女王(コニー・ニールセン)の心配をよそに、ヒッポリタの妹で史上最強の将軍と呼ばれたアンティオペ(ロビン・ライト)の指導の下、過酷な修行を積んでアンティオペに勝るとも劣らない女性戦士となった。

 Wonder Woman 1

そんなある日、ダイアナは偶然「外の世界」から舞い込み、海岸で墜落事故を起こしたアメリカ外征軍の大尉スティーブ・トレバー(クリス・パイン)を救出する。真実の投げ縄を使ってドクター・ポイズン(エレナ・アヤナ)がドイツ軍のためにマスタードガスを使用した新兵器を開発していることを彼から聞き出し、彼女は第一次世界大戦中の「外の世界」の悲惨さにショックを受ける。

 Wonder Woman 2

トレバーを追ってきたドイツ軍との戦闘で、アンティオペら多数の仲間を失い、ドイツの独裁者・ルーデンドルフ総監(ダニー・ヒューストン)の正体が戦いの神アレスと確信したダイアナは、トレバーとともに戦争の早期終結のため「外の世界」ロンドンへ向かうのだが…

 Wonder Woman 3

リンダ・カーターワンダーウーマンを演じたテレビ・ドラマの印象が強いので、今回の実写映画版はどんなものかと少し心配したのだが、そんな心配を吹き飛ばすような素晴らしい出来栄え!

 Wonder Woman 4

その出来栄えを支えているのが、主演のガドットで、とにかく凛々しくてカッコいい!イスラエル国防軍で戦闘トレーナーをしていただけあって、アクションシーンの切れ味も抜群、しかも女性らしさも兼ね備えていて、この役には理想的!

 Wonder Woman 5

クリス・パインとの息もピッタリと合っていて、ユーモラスなやり取りも冴えていて、絶妙なコンビぶり。

 Wonder Woman 6

少し悪役陣が弱いキライがあるが、ストーリー展開にもスキがなく、今年のコミックものの実写映画化作品としては一番の出来。予定されている次作も期待が持てそう!  ⇒ 9/10点

 Wonder Woman 7

ワンダーウーマン
Wonder Woman (2017年・アメリカ)
監督: Patty Jenkins
キャスト: Gal Gadot, Chris Pine, Robin Wright, Connie Nielsen, Lucy Davis, Danny Huston, David Thewlis, Elena Anaya, Saïd Taghmaoui, Ewen Bremner, Eugene Brave Rock, Lisa Loven Kongsli ほか
上映時間: 141分


⇒ ガドットが初めてワンダーウーマンとして登場した「バットマン vs スーパーマン ジャスティスの誕生」(16年)感想

⇒ パイン主演作「スター・トレック BEYOND」(16年)感想

⇒ ニールセン出演作「ラストミッション」(14年)感想

⇒ ライト出演、フィリップ・シーモア・ホフマンの遺作となった「誰よりも狙われた男」(13年)感想

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海街 diary 〜 四姉妹の心の綾を繊細に描いた是枝監督の秀作

こちらにいると、なかなか邦画を観る機会がないのだが、7月に一時帰国した際に、最近話題になった作品を何本か観た。これはそのうちの一本。

吉田秋生のベストセラー・コミックを「そして父になる」(13年)是枝裕和監督が実写映画化した作品。綾瀬はるか・長澤まさみ・夏帆・広瀬すず と、今が旬の4人の女優が競演した事でも話題を呼んだ。2015年のカンヌ映画祭でプレミエ上映された後、日本では同年6月に全国公開され、翌年の日本アカデミー賞では、最優秀作品・監督・撮影・照明賞の4冠に輝いている。

      Diary Poster

両親が別々に家を離れたため、残された鎌倉の家で姉妹だけで暮らす幸(綾瀬)・佳乃(長澤)・千佳(夏帆)。ある日彼女たちのもとに、15年前に姿を消した父親が亡くなったという知らせが届く。葬儀が行われる山形へと向かった姉妹は、そこで異母妹のすず(広瀬)と初めて出会う。

 Diary 1

すでに母もこの世を去っていて、身寄りがいなくなった すず の身を案じ、鎌倉で自分たちと一緒に暮らす事を彼女に提案する。こうして新たに4姉妹での生活がスタートするのだが…

 Diary 2

是永監督が、鎌倉を舞台に多くの名作を送り出した巨匠・小津安二郎監督を意識して作り上げたというこの作品、もちろん両者の持ち味は違うし、時代も違うので、同じというわけにはいかないのだが、移りゆく鎌倉の四季を舞台に、普通の生活を送る姉妹の姿が細やかに描かれているというところに、何か通ずるところを感じさせる。

 Diary 3

音信不通だった父親が亡くなる知らせが来るところからドラマが始まり、途中これまた家を出た母親(大竹しのぶ)が現れたりするものの、映画全体を通じて、ドラマチックな出来事が起こるわけではないため、凡百の監督が撮ると起伏がなく物足りない作品になりがちなのだが、そこは是枝監督、女優さんたちの持ち味を生かしながら四姉妹のキャラクターをしっかりと描き分け、それぞれの心の動きを繊細に表現しているところはさすがの一言。

 Diary 4

映画を通して、鎌倉の四季が美しく描き出されているのも素晴らしい。がふと見上げる鎌倉の夏の空など、移りゆく季節と姉妹たちの生活が見事に溶け合っていて、四季がはっきりと感じられる日本の素晴らしさをしみじみと味あわせてくれる。ニューヨークの四季は、いかんせん春と秋が短すぎる!

 Diary 5

原作を読んだ事がないので、この作品がどの程度原作に忠実なのかは分からないが、個人的には「そして父になる」より好きな作品。他の出演は、樹木希林堤真一風吹ジュンら。  ⇒ 9/10点

 Diary 6

海街 diary
(2015年・日本)
監督: 是永裕和
キャスト: 綾瀬はるか、長澤まさみ、夏帆、広瀬すず、大竹しのぶ、樹木希林、堤真一、風吹ジュン、リリー・フランキー、加瀬亮、鈴木亮平、坂口健太郎 ほか
上映時間: 128分


⇒ 「そして父になる」(13年)感想オススメ!

⇒ 三谷幸喜監督が大きく外した綾瀬はるか主演作「ギャラクシー街道」(15年)感想

⇒ 広瀬すず主演作「ちはやふる -上の句-」(16年)感想

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美女と野獣 〜 ディズニーらしい高い水準の実写映画化!

ディズニーが製作した1991年の大ヒットアニメ映画「美女と野獣」を実写映画化した作品。監督は、「ドリームガールズ」(06年)「トワイライト」シリーズで知られるビル・コンドン。全米では今年3月に公開され、公開週から2週連続でトップに立つ、ディズニーの実写映画としても最大のヒットとなった。

      Beauty Poster

フランスのとある村。進歩的な考え方が原因で、閉鎖的な村人たちとなじめないことに悩む美女ベル(エマ・ワトソン)は、村一番のモテ男ガストン(ルーク・エヴァンス)に求婚されるが、ベルは下品で粗暴な彼に我慢ができない。

 Beauty 1

ある日、ベルの父親でオルゴール職人のモーリス(ケヴィン・クライン)は、パリにオルゴールを売りに行った帰りに森の中で道に迷い、森の中に忽然と現れた城の中に逃げ込むのだが、城主で恐ろしい顔をした野獣(ダン・スティーヴンス)に捉えられてしまう。

 Beauty 2

モーリスの愛馬フィリップだけが村に戻ってきたのを見て、父親の身に異変が起きたことを理解したベルは、フィリップに乗って単身父親を探しに向かい、ついに城にたどり着くが、そこで野獣に見つかってしまう…

 Beauty 3

「シンデレラ」(15年)「アリス・イン・ワンダーランド」(10年)で、往年の名作アニメ映画を単なる焼き直しに終わらせないで見事に実写映画化してきたディズニーが、今回の実写映画化に当たっても、見事に新鮮な生命を吹き込んでいる。

 Beauty 4

オリジナルがアニメ作品としては史上初めてアカデミー作品賞にノミネートされただけあって、前作を超えるハードルはこれまでにも増して高かったのだと思うが、主題歌賞に輝いた歌を始め、オリジナルの音楽をそのまま使用しながらも、実写映画ならではのスケールの大きさを感じさせながら、新鮮な魅力に満ち溢れた作品に仕上げているのは、さすがと言うしかない。

 Beauty 5

ジャン・コクトー古典的名作(46年)を始め、これまでに使い古されたストーリーのはずなのに、華麗な映像と凝った特撮を駆使して最後まで飽きさせずに観る者を引っ張っていく面白さ。いや、脱帽しました。  ⇒ 9/10点

 Beauty 6

美女と野獣
Beauty and the Beast (2017年・アメリカ)
監督: Bill Condon
キャスト: Emma Watson, Dan Stevens, Luke Evans, Kevin Kline, Josh Gad, Ewan McGregor, Stanley Tucci, Audra McDonald, Gugu Mbatha-Raw, Ian McKellen, Emma Thompson ほか
上映時間: 130分


⇒ 実写化版の傑作: シンデレラ(15年)感想傑作!!!

⇒ コンドン監督の「トワイライト・サーガ ブレイキング・ドーン Part 2」(12年)感想

⇒ ワトソン出演作「ノア 約束の舟」(14年)感想

⇒ スティーヴンス出演作「ナイト ミュージアム/エジプト王の秘密」(14年)感想

⇒ エヴァンス出演作「インモータルズ ~神々の戦い~」(11年)感想

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