ムーンライト 〜 今年のアカデミー作品賞獲得!

ブラッド・ピットが製作陣に名を連ね、各地の映画祭で絶賛された新鋭バリー・ジェンキンズ監督の作品。2016年9月のテルライド映画祭でプレミエ上映された後、全米では10月に限定公開されている。作品賞を発表し間違えるという前代未聞の事態が発生した今年のアカデミー賞では、8部門にノミネートされ、見事作品賞の栄冠に輝いたのを始め、助演男優(マハーシャラ・アリ)・脚色賞も受賞している。

      Moonlight Poster

マイアミの貧困地域で、麻薬常習者のシングル・マザー、ポーラ(ナオミ・ハリス)と一緒に暮している少年シャロン(アレックス・R・ヒバート)

 Moonlight 1
 麻薬に溺れる母ポーラ(ハリス 〜 アカデミー助演女優賞にノミネート)

ポーラからは育児放棄され、「リトル」とあだ名をつけられて学校の子供たちからいじめを受けている彼は、唯一の友人ケビン(ジェイデン・パイナー)と、偶然いじめられている彼を助けてくれた麻薬ディーラーのホアン(アリ 〜 出演時間は短いが印象的な演技!)とそのガールフレンドのテレサ(ジャネール・モネイ)たちだけが心の支えだった(第1部: リトル)

 Moonlight 2

ティーンエイジャーとなったシャロン(アシュトン・サンダース)ホアンはドラッグ絡みで殺されてこの世にはいないが、テレサは相変わらず彼には優しく接してくれている。学校では未だにいじめを受けている彼だが、友人として変わらず接してくれているケビン(ジャレル・ジェローム)に次第に特別な感情を持つようになるのだった… (第2部: シャロン)

 Moonlight 3

3部作構成で、孤独で繊細なLGBTの黒人小年の成長の軌跡を描いた作品。主人公シャロンは3人の俳優がそれぞれぼ部で別々に演じているが、映画を通じて彼が見つめる他人・外の世界が一貫しているのが、この映画を一本芯の通った作品とするのに貢献しているように思う。そういう意味では、「6才のボクが、大人になるまで。」(14年)と同じ系譜の作品だろうか。

 Moonlight 4
 ホアンが殺された後も、シャロンに優しく接するテレサ

映画の舞台は麻薬や暴力がはびこるマイアミアトランタの貧困地域なのだが、そうしたすさんだ地域を舞台にしていても、画面には不思議に静謐感と透明感・詩情が漂っている。その中で成長していくシャロンの心が観る者に染み入るように伝わり、共感を感じさせるところがこの映画の良さだろうか。

 Moonlight 5
 大人になってから久しぶりにケビン(右: アンドレ・ホランドと再会するシャロン(左: トレヴァンテ・ローズ

ジェンキンズ監督の繊細な感性が生かされたいい映画だと思うが、アカデミー作品賞作品としては、もう少し強く心に迫るものが欲しい感じがする。映画としては、作品賞の候補にもならなかったクリント・イーストウッド監督の、これぞ映画といった感じの「ハドソン川の奇跡」の方が完成度が高いだろうか(好き嫌いの問題と言われればそれまでなのだが)。白人偏重と騒がれた昨年のアカデミー賞の影響があったのかも知れない。  ⇒ 8/10点

 Moonlight 6

ムーンライト
Moonlight (2016年・アメリカ)
監督: Barry Jenkins
キャスト: Trevante Rhodes, Ashton Sanders, Alex Hibbert, André Holland, Jharrel Jerome, Jaden Piner, Naomie Harris, Janelle Monáe, Mahershala Ali, Patrick Decile ほか
上映時間: 111分


⇒ 前代未聞の騒動に見舞われた今年のアカデミー賞

⇒ 「6才のボクが、大人になるまで。」(14年)感想オススメ!

⇒ 「ハドソン川の奇跡」(16年)感想傑作!!!

⇒ ハリス出演作「007 スペクター」(15年)感想
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ガール・オン・ザ・トレイン 〜 エミリー・ブラントが熱演するイギリス版「ゴーンガール」!

世界的ベストセラーとなったイギリスポーラ・ホーキンズのミステリー小説の待望の映画化。主演に起用されたのは、エミリー・ブラントで、監督は「ヘルプ 心がつなぐストーリー」(11年)で注目されたテイト・テイラー監督。全米では2016年10月に公開され、公開週に興行ランキングのトップに立っている。

      Girl on Train Poster

アラサー女性のレイチェル(ブラント)は、夫トム(ジャスティン・セロー)との結婚生活に破綻し、仕事もクビになって大学時代の友人、キャシー(ローラ・プレポン)が住むニューヨーク郊外、ハドソン川沿いにある町のアパートに身を寄せている。

 Girl 1

やるせない寂しさをまぎらすために、アルコールをあおり、毎日のようにあてもなくマンハッタン行きの電車に乗って、車窓から見える一組の幸せそうな夫婦の生活を覗き見するのが日課となった彼女。

 Girl 2

ある日、彼女が理想の夫婦と思っていた妻の方の不倫現場を目撃したレイチェル、電車を降りて真偽のほどを確かめようとした彼女だが、その女性・メーガン(ヘイリー・ベネット)の殺人事件に巻き込まれてしまう…

 Girl 3

イギリス版「ゴーンガール」とも評された小説を映画化した本作、レイチェルメーガン、それにトムの現在の妻であるアンナ(レベッカ・ファーガソン)と、それぞれ訳ありのアラサー女性3名の独白が絡み合いながら、ミステリアスに物語が展開していき、なかなか見応えがある。

 Girl 4

特に主演のエミリー・ブラント。相変わらずの目ヂカラの強さで、アルコール依存症でストーカー気味の負け組女性という特異なヒロイン像を説得力豊かに演じている。但し、映画全体としては「ゴーンガール」のようなエッジーな感じはそれほどなく、確かに最後のエンディングには驚かされるが、ちょっと唐突感を感じさせる点もなきにしもあらず。このシーンに持っていくためには伏線をもう少し丁寧に張った方が良かったような感じ。そうは言っても全体的にはなかなかのサスペンス・スリラー!  ⇒ 8/10点

 Girl 5

ガール・オン・ザ・トレイン
The Girl on the Train (2016年・アメリカ)
監督: Tate Taylor
キャスト: Emily Blunt, Haley Bennett, Rebecca Ferguson, Justin Theroux, Luke Evans, Allison Janney, Édgar Ramírez, Lisa Kudrow, Laura Prepon, Darren Goldstein ほか
上映時間: 113分


⇒ 「ヘルプ 心をつなぐストーリー」(11年)感想 〜 オススメ!

⇒ ブラント出演作「スノーホワイト/氷の王国」(16年)感想

⇒ ヘイリー出演作「マグニフィセント・セブン」(16年)感想

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アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男

第2次世界大戦中、ナチスのユダヤ人対策責任者として、何百万人ものユダヤ人を強制収用所に送り、ナチス最大の戦犯の一人だったアドルフ・アイヒマンを、執念の捜査で追い詰める事に成功したドイツ人検事の姿を描いた作品。2015年のトロント国際映画祭でプレミエ上映された後、米国では2016年8月に限定公開されている。

      Bauer Poster

1950年代後半の西ドイツフランクフルトの検事総長としてナチス戦犯の告発に辣腕を振るうユダヤ系ドイツ人のフリッツ・バウアー(ブルクハルト・クラウスナー)だが、未だに政治の中枢に入り込んでいる元ナチス党員たちによる妨害と、戦争中の出来事を早く忘れたがっている国民の無理解のせいで、捜査は彼の期待通りには進展していなかった。

 Bauer 1

ある日バウアーは、未だ捕まっていないナチス戦犯の中で最大の大物の一人、アドルフ・アイヒマン(マイケル・シェンク)アルゼンチンに潜伏しているとの情報を入手する。彼は、ナチス残党による妨害を恐れ、ドイツの捜査機関ではなく、イスラエルの諜報機関、モサドに情報を提供してアイヒマンを捕らえる事を決意する…

 Bauer 2

史実に基づきながら、老検事が戦犯を追い詰める様をスリリングに描いた作品。アイヒマンの名前は勿論知っていたし、彼が戦後捕まって戦争裁判にかけられた事も知っていたが、彼が捕まるまでにこのようなストーリーがあったとは知らなかった。

 Bauer 3

戦後10年以上経っても、政府や警察機関に深く巣食うナチス残党の妨害に遭いながらも、老骨に鞭打って執念の捜査を展開するバウアーの姿は感動的。信念を貫く人の姿を描いた骨太なドラマでした!  ⇒ 8/10点

 Fritz Bauer
 フリッツ・バウアー

アイヒマンを追え! ナチスがもっとも畏れた男
The People vs Fritz Bauer (2015年・ドイツ)
監督: Lars Kraume
キャスト: Burghart Klaußner, Rudiger Klink, Andrej Kaminsky, Jörg Schüttauf, Ronald Zehrfeld, Michael Schenk, Sebastian Blomberg, Laura Tonke ほか
上映時間: 105分

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マグニフィセント・セブン 〜 「荒野の七人」のリメイク版は、久々に痛快な西部劇!

黒澤明監督の傑作「七人の侍」(54年)の西部劇版リメイク作品として人気を博した「荒野の七人」(60年)をベースにした再映画化作品。監督に起用されたのは「サウスポー」(15年)などのアントワーン・フークア。60年版同様、オールスター・キャストが組まれている。全米では2016年9月に公開され、公開週に興行ランキングのトップに立っている。

      Magnificent Seven Poster

アメリカ西部、ローズ・クリークの町。ここで平和に暮らしていた町民たちは、近くに金鉱が発見されてしまったために、悪名高い実業家バーソロミュー・ボーグ(ピーター・サースガード)に目をつけられてしまう。

 Magnificent 1

町の乗っ取りを企むボーグ一味によって夫マシュー(マット・ボマー)を殺されてしまったエマ・カレン(ヘイリー・ベネット)は、凄腕の賞金稼ぎであるサム(デンゼル・ワシントン)に町を守るための助っ人役を頼む。

 Magnificent 2

サムはギャンブラーのジョシュ(クリス・プラット)、狙撃の達人”グッドナイト”ロビショー(イーサン・ホーク)とその相棒ビリー(イ・ビョンホン)、力持ちの山男、ジャック(ヴィンセント・ドノフリオ)ら七人の腕利きを集め、大挙して押し寄せてきたボーグ一味と対峙する…

 Magnificent 3

「七人の侍」「荒野の七人」と、あまりにも有名な前作がありながらのリメイク作品だが、下手な小細工を排し、善悪をはっきりさせてストレートな西部劇として描いているのが小気味良い。

 Magnificent 4

相変わらずの存在感のデンゼルを始め、七人はそれぞれ個性豊かなキャラクターの持ち主に描かれているし、何よりもサースガードが悪役らしさを存分に発揮していて、善悪の対決軸がはっきりとしているので、アクション映画としてもストレートに楽しめる。

 Magnificent 5

古典的名作と言われている作品のリメイクは勇気の要ることと思うが、目新しさはないものの、文句なく楽しめる作品に仕上げているところにフークア監督の力量を感じました!  ⇒ 8/10点

マグニフィセント・セブン
The Magnificent Seven (2016年・アメリカ)
監督: Antoine Fuqua
キャスト: Denzel Washington, Chris Pratt, Ethan Hawke, Vincent D'Onofrio, Byung-Hun Lee, Peter Sarsgaard, Haley Bennett, Manuel Garcia-Rulfo, Martin Sensmeier, Matt Bomer, Luke Grimes, Jonathan Joss, Cam Gigandet, Sean Bridgers, Billy Slaughter ほか
上映時間: 133分


⇒ ジェイク・ギレンホールの熱演が光る「サウスポー」(15年)感想オススメ!

⇒ こちらもデンゼルの痛快なアクション映画「イコライザー」(14年)感想

⇒ プラット主演作「ジュラシック・ワールド」(15年)感想オススメ!

⇒ イーサン・ホークがチェット・ベイカーを熱演!「ブルーに生まれついて」(15年)感想オススメ!

⇒ イ・ビョンホン出演作「ターミネーター: 新起動/ジェニシス」(15年)感想 オススメ!

⇒ ドノフリオ出演作「ラン・オールナイト」(15年)感想

⇒ サースガード出演、ウディ・アレン監督の「ブルー・ジャスミン」(13年)感想オススメ!

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ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期 〜 相変わらず快調の第3弾

レニー・ゼルウィガー主演でアラサー独身女性の姿を描いた人気シリーズの、「ブリジット・ジョーンズの日記 きれそうなわたしの12ヶ月」(04年)以来12年ぶりとなる第3弾。2016年9月にロンドンでプレミエ上映された後、同月に全米でも公開され、公開週に興行ランキングの3位にランクインしている。

      Bridget Jones Baby Poster

アラフォーとなり、今やテレビ局の敏腕プロデューサーとして活躍中のブリジット・ジョーンズ(ゼルウィガー)は、恋愛にも奮闘中だが、なかなか理想の相手に出会うことが出来ない。

 Baby 1

そんなある日、同僚のミランダ(サラ・ソルマーニ)に誘われて週末に泊りがけで音楽祭に出かけた彼女は、そこで出会ったイケメンのジャック(パトリック・デンプシー)と一夜を共にしてしまう。

 Baby 2

実はジャックは新進のIT企業の創業者。ひょんな事で彼と再会し、付き合い始めるブリジットだが、他の女性と結婚したかっての恋人マーク(コリン・ファース)ともふとした事で一夜を共にしてしまう。そんな矢先、自分が妊娠した事に気づくブリジットだが、果たして父親はどちらなのだろうか…

 Baby 3

本シリーズが当たり役となったレニー・ゼルウィガー、最近映画で見かけないと思ったら、今回は6年ぶりの映画出演だそう。シリーズも12年ぶりとあって、さすがにアラサーというわけにはいかず、今回はアラフォーとして登場なのだが、シリーズの雰囲気は変わらず、恋に仕事、それに高齢出産も加わって奮闘するブリジットの姿を、これまで通りにレニーがコミカルに演じていて魅力的。

 Baby 4

シリーズ第1作「ブリジット・ジョーンズの日記」(01年)からのコンビ、コリン・ファーストの微妙にとぼけた渋い2枚目ぶりも相変わらず、これにパトリック・デンプシーエマ・トンプソンらが加わって巧みに映画を盛り上げている。

 Baby 5

ブリジットのキャラクターについては、特に女性の間では評価が分かれたようだが、私は素直に楽しめました!  ⇒ 8/10点

ブリジット・ジョーンズの日記 ダメな私の最後のモテ期
Bridget Jones's Baby (2016年・イギリス/フランス/アメリカ)
監督: Sharon Maguire
キャスト: Renee Zellweger, Colin Firth, Patrick Dempsey, Sarah Solemani, Sally Phillips, James Callis, Shirley Henderson, Emma Thompson, Neil Pearson, Gemma Jones, Jim Broadbent, Julian Rhind-Tutt, Celia Imrie, Jessica Hynes, Kate O'Flynn, Katia Elizarova, Ed Sheeran, Erron Gordon ほか
上映時間: 123分


⇒ ファースが珍しくアクション映画に挑んだ「キングスマン」(15年)感想

⇒ トンプソン出演作「ウォルト・ディズニーとの約束」(13年)感想

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