マネーモンスター 〜 現代社会への風刺も込めた秀作スリラー

監督としても知られる女優のジョディ・フォスターの最新監督作。ジョージ・クルーニージュリア・ロバーツの2大スターが共演し、2016年のカンヌ国際映画祭でプレミエ上映された。全米ではその直後の2016年5月に公開され、公開週の興行ランキングの3位にランクインしている。

      Money Monster Poster

リー・ゲイツ(クルーニー)は、高い視聴率を誇っている金融情報番組「マネーモンスター」の名物司会者。今日も彼は、ディレクターのパティ(ロバーツ)の指示を無視して、アドリブ全開で番組を進行させていた。

 Money Monster 1

そんな中、銃を持った男カイル(ジャック・オコンネル)が番組に乱入してゲイツを人質にとり、彼の体に爆弾を巻きつける。彼はゲイツの推奨した株が暴落したために全財産を失っており、自分を陥れた株取引のカラクリを番組で明らかにするよう、ゲイツに迫るのだが…

 Money Monster 2

クルーニーロバーツの練達の演技と、次々とテンポ良くカラクリが解き明かされていく脚本の良さで、見ごたえのある作品に仕上がっている。テレビ・スタジオを舞台にした密室劇かと思いきや、いきなり舞台を外に移すという意表をついた展開も新鮮!

 Money Monster 3

特に、最初のキレキレで軽薄感いっぱいの演技から、次第に犯人に感情移入していくさまを巧みに演じたクルーニーはさすがの一言。

 Money Monster 4

それにしても、娯楽映画としての面白さとリーマンショック以降のアメリカ社会の断面をしっかりと切り取って巧みにバランスさせたジョディ・フォスターの監督としてのセンス・力量には脱帽!  ⇒ 8/10点

 Money Monster 5

マネーモンスター
Money Monster (2016年・アメリカ)
監督: Jodie Foster
キャスト: George Clooney, Julia Roberts, Jack O'Connell, Dominic West, Caitriona Balfe, Giancarlo Esposito, Christopher Denham, Lenny Venito, Chris Bauer, Dennis Boutsikaris, Emily Meade, Makhaola Ndebele, Condola Rashad, Aaron Yoo, Olivia Luccardi, John Ventimiglia, Grant Rosenmeyer, Greta Lee, Cenk Uygur ほか
上映時間: 95分


⇒ フォスター出演作「エリジウム」(13年)感想

⇒ クルーニー出演作「ヘイル、シーザー!」(16年)感想

⇒ ロバーツ出演作「8月の家族たち」(13年)感想

⇒ オコンネル主演の「ベルファスト 71」(14年)感想オススメ!
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ゴースト・イン・ザ・シェル

士部正宗の人気SF漫画「攻殻機動隊」を、「スノーホワイト」(12年)ルパート・サンダーズ監督スカーレット・ヨハンソンを主役に迎え、実写映画化した作品。またビートたけしが出演した事でも話題を呼んだ。全米では大きな注目を集めながら今年3月に公開されたが、公開週に興行ランキングの3位にランクイン(トップは "The Boss Baby")したにとどまり、興行的には失敗した。

      Ghost in the Shell Poster

近未来の世界。凄惨な事故にあって脳以外は全身サイボーグとなり、最強の戦士としてエリート捜査組織である公安9課を率いるようになった少佐(ヨハンソン)

 Ghost 1

サイバーテロ根絶のため日々奮闘する中、少佐と同僚のバトー(ピルー・アスベック)らはハンカ・ロボティック社に対するテロ組織の襲撃事件の捜査を命じられるが、捜査を進めるうちに、彼女は自分の記憶が何者かによって捜査されていたことに気付く。

 Ghost 2

テロリスト集団を追いつめながら、自分は一体何者なのかを探し求める少佐。彼女の産みの親オウレイ博士(ジュリエット・ビノシュ)らを問い詰めながら、徐々に記憶を取り戻していくうちに、自身をめぐる衝撃の事実が浮かび上がってくる…

 Ghost 3

毎度の事ながら原作の漫画を読んだ事がないのだが、クールな映像描写が印象的なSFアクション映画。

 Ghost 4

この手の役にうってつけのヨハンソンは相変わらずの活躍ぶりだし、悪役で登場するビートたけしが期待通り、異彩を放っている。近未来的な雰囲気満点のクールな映像とは裏腹に、アクション・シーンは意外にこじんまりとしているが、私は映像に惹かれました。他に日本からは桃井かおりらが出演。  ⇒ 8/10点

 Ghost 5

ゴースト・イン・ザ・シェル
Ghost in the Shell (2017年・アメリカ)
監督: Rupert Sanders
キャスト: Scarlett Johansson, Pilou Asbaek, Takeshi Kitano, Juliette Binoche, Michael Pitt, Chin Han, Peter Ferdinando, Kaori Momoi, Lasarus Ratuere, Danusia Samal, Anamaria Marinca, Michael Wincott, Yutaka Izumihara, Tawanda Manyimo, Daniel Henshall, Rita Fukushima, Pete Teo, Yuta Kazama, Chris Obi, Adwoa Aboah ほか
上映時間: 120分


⇒ サンダース監督の前作「スノーホワイト」(12年)感想

⇒ ヨハンソン出演作「シビル・ウォー/キャプテン・アメリカ」(16年)感想

⇒ ビノシュ主演作「アクトレス〜女たちの舞台」(14年)感想

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キングコング: 髑髏島の巨神 〜 痛快なエンターテイメント作品に仕上げられたコング映画!

1933年に銀幕に初登場して以来、幾度も映画化されてきているキングコングの最新作で、ピーター・ジャクソン監督による2005年の映画化以来、 12年ぶり・通算8度目の映画化。今回メガホンを取ったのはテレビ出身のジョーダン・ヴォート=ロバーツ監督。全米では今年3月に公開され、公開週に興行ランキングのトップに立っている。

      Kong Poster

1973年、アメリカベトナム戦争からの撤退を発表したその日に、NASA の人工衛星が未知の島・髑髏島を発見する。特務研究機関モナークの一員であるビル・ランダ(ジョン・グッドマン)は、ウィリス上院議員(リチャード・ジェンキンス)を説き伏せ、ベトナムから帰還予定だったパッカード大佐(サミュエル・L・ジャクソン)ハンク・マーロウ中尉(ジョン・C・ライリー)らの部隊と元特殊空挺部隊隊員のコンラッド(トム・ヒドルストン)、戦場カメラマンのウィーバー(ブリー・ラーソン)らを同行させて、島の調査に向かう。

 Skull 1

島を取り囲む暴風雨をヘリコプターでようやく通り抜けて、島に着陸しようとしたところ、突然巨大猿・キングコングが出現し、ヘリコプター部隊は全滅、かろうじて生き残ったコンラッドたちは、キングコングや恐竜などに襲われながらも、必死に島からの脱出を図るのだが…

 Skull 2

この手の他の映画シリーズとは違って、キングコングはそれぞれの作品に関連性はなく、それぞれがオリジナル・ストーリーとして独立しているという、ちょっと珍しい存在。それだけに、それぞれの監督の個性やストーリーの面白さが映画の鍵を握る事になるのだが、本作はストーリーがなかなかこなれていて最後まで飽きさせない展開だし、最新映像技術を駆使したバトル・シーンは迫力満点!

 Skull 3

ベトナム戦争直後という設定を生かして、ヘリコプター部隊が島に突入するシーンや、コンラッドたちがジャングルを流れる川を遡って謎の原住民が住む村にたどり着くシーンなど、フランシス・フォード・コッポラ監督「地獄の黙示録」(79年)を意識した描写を多用しているのも面白い。

 Skull 4

これまで何度も映画化された題材ながら、陳腐に陥る事なく、優れたエンターテイメント作品として新たなコング映画を作り出した新鋭監督の手腕は見事! 今後、ゴジラと連携してシリーズ展開される構想との事なので、今後の展開も楽しみ。  ⇒ 8/10点

 Skull 5

キングコング: 髑髏島の巨神
Kong: Skull Island (2017年・アメリカ)
監督: Jordan Vogt-Roberts
キャスト: Tom Hiddleston, Samuel L. Jackson, Brie Larson, John Goodman, John C. Reilly, Jing Tian, Toby Kebbell, John Ortiz, Corey Hawkins, Jason Mitchell, Shea Whigham, Thomas Mann, Terry Notary ほか
上映時間: 118分


⇒ ヒドルストン主演の異色のヴァンパイア映画「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(14年)感想

⇒ ジャクソン出演、タランティーノ監督の「ヘイトフル・エイト」(15年)感想

⇒ ラーソンのアカデミー主演女優賞受賞作「ルーム」(15年)感想太鼓判!!

⇒ グッドマンの怪演が光る「10 クローバーフィールド・レーン」(16年)感想

⇒ ライリー出演の個性的なSF映画「ロブスター」(15年)感想

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ジャンヌ・モローを偲んで 〜 ルイ・マル監督の名作 恋人たち

去る7月31日に亡くなったフランスの名女優ジャンヌ・モローを偲んで、今宵はルイ・マル監督の1958年の作品、「恋人たち」

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「死刑台のエレベーター」(58年)フランス映画界に彗星のごとく登場したルイ・マル監督の第二回作品。イヴァン・ドノンの短篇恋愛小説「明日はない」の映画化で、主演は「死刑台のエレベーター」に引き続き、当時恋人関係にあると噂されたモロー。1958年のヴェネツィア国際映画祭でプレミエ上映され、審査員特別賞に輝き、本国フランスでも大ヒットを記録している。全米では翌1959年10月に公開されたが、描写が性的であるとして、クリーヴランドでは本作の上映館主が逮捕されるなど、当時大きな議論を巻き起こした。

      Amants Poster

フランスブルゴーニュー地方・ディジョンの新聞社主アンリ(アラン・キュニー)と結婚生活8年になる妻ジャンヌ(モロー)。2人の間には娘もいたが、ジャンヌは地方の閉塞的な日常に息苦しさを覚え、パリの旧友マギー(ジュディット・マーグル)の許を定期的に訪ねては憂さを晴らし、愛人のラウール(ホセ・ルイ・ド・ビラロンガ)との密会に明け暮れる日々。

 Amants 1

そんなある日、夫にパリ行きを反対されたジャンヌは、逆にマギーラウールをカップルと偽り屋敷に招くハメになってしまう。そんな時、彼女はひょんなことから考古学者の青年ベルナール(ジャン・マルク・ボリー)と出会い、彼も晩餐の席を共にすることになるのだったが…

 Amants 2

マイルス・デイヴィスの音楽をバックグラウンドに、クールな映像で衝撃を与えた「死刑台のエレベーター」とは打って変わり、本作は現在の生活に不満を覚える人妻のよろめきを描いた堂々たる恋愛映画。

 Amants 3

映画の中心は徹頭徹尾モローで、古典的な美人というよりは、個性的な美人の彼女、常に現状に満足していないようなその表情が、この映画にピッタリで、強烈な存在感を醸し出している。

 Amants 4

特に印象的なのは、ベルナールと一緒に家を出たジャンヌがふと見せるなんとも言えない不安げな表情。当時恋人関係にあると噂されていただけあって、ルイ・マルはこの作品で本当にモローの魅力を引き出している。この時代、彼女はルイ・マルのみならず、フランソワ・トリュフォールイス・ブニュエルオーソン・ウェルズからミケランジェロ・アントニオーニジョセフ・ロージーなど、当時の錚々たる監督から主演に起用され、女優として稀有の存在だった事が窺い知れる。  ⇒ 8/10点

 Amants 5

恋人たち
Les Amants (1958年・フランス)
監督: Louis Malle
キャスト: Jeanne Moreau, Jean-Marc Bory, Judith Magre, José Luis de Vilallonga, Gaston Modot, Michèle Girardon, Lucienne Hamon, Georgette Lobre, Claude Mansard ほか
上映時間: 89分


⇒ 巨匠ルイス・ブニュエル監督がモローを主演に起用した「小間使いの日記」(63年)感想

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お父さんと伊藤さん @ ジャパン・カッツ!

毎年この時期にジャパン・ソサエティで開催される北米最大の日本映画祭、ジャパン・カッツ!。息子が学生時代に関わっていた事もあって、毎年幾つかの作品を観るようになったが、今年も日本から帰米早々、タナダユキ監督「お父さんと伊藤さん」を観た。

 Japan Cuts 1
 Japan Cuts 2

 Japan Cuts 3
 「この世界の片隅に」も観たかったのだが、早々に売り切れ…

「ふがいない僕は空を見た」(12年)で注目されたタナダユキ監督の最新作で、第8回小説現代長編新人賞を受賞した中澤日菜子の小説の映画化作品である本作、主演の上野樹里に加え、リリー・フランキー藤竜也らが共演している。日本では昨年10月に全国公開されていて、今回が米国初公開

 My Dad
      My Dad Poster

書店でアルバイトをしている34歳の彩(上野)は、給食センターでアルバイトをする20歳上のバツイチ男・伊藤さん(フランキー)と交際中。

 My Dad 1

そんなある日、彼らが一緒に住むアパートを、同居していた兄の潔夫婦(長谷川朝晴安藤聖の家を出てきたの74歳の父(藤)が訪ねてくる。

 My Dad 2

に懇願され、渋々父との同居を受け入れた。その日からちょうど20歳ずつ歳が離れた3人の奇妙な共同生活が始まるが、長年学校の先生を務めた謹厳で口うるさい父との毎日に、は辟易するのだった…

 My Dad 3

ちょうど20歳ずつ歳が離れた世代の違う3人がぎこちない共同生活を送っていく様を描いた本作、かっての家族関係が成り立たなくなっている現代の日本の社会状況を描きながら、主役3人の軽妙でユーモアが漂うやり取りのおかげで、テーマの重苦しさを感じさせない軽やかな手応えの作品となっている。

 My Dad 4

とにかく主役3人のそれぞれの持ち味を生かした演技が印象的。この演技を引き出したタナダユキ監督の力量はなかなかのもので、最後まで面白く観る事が出来た。最後が単純なハッピーエンドとならないところも良い。  ⇒ 8/10点

お父さんと伊藤さん
(2016年・日本)
監督: タナダユキ
キャスト: 上野樹里、リリー・フランキー、藤竜也、長谷川朝晴、安藤聖、渡辺えり ほか
上映時間: 119分


⇒ リリー・フランキー出演作「そして父になる」(13年)感想 〜 オススメ!

⇒ 藤竜也 出演作「私の男」(14年)感想

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