バトル・オブ・ザ・セクシーズ 〜 エマ・ストーンの演技が光る世紀の一戦!

女子テニス史に残る名選手、ビリー・ジーン・キングが、1973年に4大大会で3度の優勝実績がある往年の男子テニス選手、ボビー・リッグスの挑戦を受けて行った「男女対抗試合」の模様を描いた作品。監督は「リトル・ミス・サンシャイン」(06年)が高い評価を得たジョナサン・デイトンヴァレリー・ファリスの夫婦コンビ。キングエマ・ストーンリッグススティーヴ・カレルが演じている。2017年9月のテルライド映画祭でプレミエ上映された後全米で公開され、公開週に興行ランキングの6位にランクインしている。

      Battle of the Sexes Poster

1973年、ウィンブルドン選手権を3連覇するなど、女子テニス史上最高の選手との名声を得ていたビリー・ジーン・キング(ストーン)は、女子選手の優勝賞金が男子選手の8分の1であるなど男女差別が蔓延していたテニス界に反旗を翻し、公平な扱いを求めて、友人のグラディス・ヘルドマン(サラ・シルバーソン)テッド・ティンリング(アラン・カミング)ら仲間たちと共に女子テニス協会を立ち上げる。

 Battle 1

その頃、往年の男子テニスの名プレーヤー、55歳のボビー・リッグス(カレル)はギャンブル好きがたたって、妻プリシラ・ウィリアン(エリザベス・シュー)から離婚を申し立てられるなど、人生の危機に瀕していた。再び世間の注目を集め、妻と復縁しようと考えた彼は、当時「世界で一番有名な母親」と言われていたトップ・プレーヤー、マーガレット・コート夫人(ジャシカ・マクナミー)との試合を企画し、易々と勝利を収める。

 Battle 2

一方のキングは、既婚者の身でありながら、自身のヘアースタイリスト、マリリン・バーネット(アンドレア・ライズボロー)に心惹かれていく自分に悩んでいた。

 Battle 3

そして、コート夫人を破って勢いに乗るリッグスは、キングに挑戦状を突き付ける。奇しくも同じように人生の岐路に立っていた二人は、世紀の「男女対抗試合」に臨むことになるのだった…

 Battle 4

不覚にしてこの映画を見るまで良く知らなかったのだが(その頃小学生くらいでした)、当時大きな話題となったテニス・マッチを描いた作品。折しも "Me Too" の動きが大きな社会現象となった昨年の米国にあって非常にタイムリーなリリースとなった作品だが、映画の内容は決してキワモノ的ではなく、非常にまっとう。

 Battle 5

特に彼らがこの対決に向かう過程が丁寧に描かれていて、主役2人の演技を通じて、それぞれが抱えていた心の問題が浮かび上がってくる。エマ・ストーンは、圧倒的なテニスの強さの裏にあったキングの心の内を細やかに描き出していて印象的。この人は幅広い役柄で印象的な演技をすることが出来る、若手でもピカイチの存在だと思う。  ⇒ 8/10点

 Battle 6

バトル・オブ・ザ・セクシーズ
Battle of the Sexes (2017年・イギリス/アメリカ)
監督: Jonathan Dayton & Valerie Faris
キャスト: Emma Stone, Steve Carell, Sarah Silverman, Bill Pullman, Alan Cumming, Elisabeth Shue, Austin Stowell, Eric Christian Olsen, Lewis Pullman. Jessica McNamee, James Mackay, Martha MacIsaac, Mickey Sumner, Lauren Klein, Ashley Weinhold, Fidan Manashirova, Kaitlyn Christian, Bridley Elliott, Wallace Langham, Mark Harelik, Fred Armisen, Chris Parnell, Dan Bakkedahl, John C. McGinley, Tom Kenny, Mike Vogel, Nelson Franklin ほか
上映時間: 121分


⇒ ストーンがアカデミー主演女優賞を獲得した「ラ・ラ・ランド」(16年)感想太鼓判!!
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スリー・ビルボード 〜 マクドーマンドとロックウェルの存在感!

演劇出身で、映画「セブン・サイコパス」(12年)で注目されたマーティン・マクドナー監督の最新作で、フランシス・マクドーマンドが主演。2017年のベネチア国際映画祭でプレミエ上映され、脚本賞に輝いた後、全米では11月に限定公開され、上映館数が拡大した公開4週目に興行ランキングの7位にランクインしたのが最高だった。今年のアカデミー賞では、作品賞をはじめ6部門でノミネート(助演男優賞ではウディ・ハレルソンサム・ロックウェルの二人がノミネート)され、主演女優賞(マクドーマンド)と助演男優賞(ロックウェル)に輝いている

      Three Billboards Poster

ミズーリ州のとある田舎町の入り口に、突如町の警察と警察署長を批判する3枚の広告看板が立てられる。7か月ほど前に娘を殺されたミルドレッド(マクドーマンド)が、犯人を逮捕できない警察に苛立って設置したものだったが、町の人は尊敬の念を集めている誠実なウィロビー署長(ハレルソン)が非難された事に憤り、ミルドレッドや彼女の息子ロビー(ルーカス・ヘッジズ)は非難の的となる。

 Billboards 1

世間の非難に一向にひるむ事がないミルドレッドだったが、高校でつまはじきにされてしまったロビーはそんな母親を苦々しく思っている。そんなある日、ウィロビーを慕う、部下で人種差別主義者と囁かれている粗暴な警官ディクソン(ロックウェル)が行動を起こす…

 Billboards 2

斬新なブラック・コメディ、「セブン・サイコパス」が印象的だったマクドナー監督、そこで怪演ぶりが際立っていたロックウェルハレルソンが引き続き出演した本作は、前作とは趣きが違う犯罪スリラーなのだが、そこはこの監督らしく、スリル感や犯人探しの謎解きよりは、登場人物がそれぞれ内に抱える悲しみが交錯する事によって生み出される悲喜劇が展開されていく様にフォーカスが当てられている感じ。

 Billboards 3

とにかく周囲の困惑などお構いなしに犯人探しに突き進んでいくミルドレッドのアクの強さは際立っていて、とても好感が持てそうにないキャラクターなのに対して、誠実に捜査を進めているウィロビーが可哀想に見えるほど。映画前半では悪役の感じのディクソンも実はそうではないというところに、人間はそう簡単に白黒で判断できないという監督のメッセージが込められている印象。

 Billboards 4

各映画賞でもその演技が絶賛されていたマクドーマンドの存在感はやはり際立っているが、ロックウェルもそれに負けない演技ぶり。二人の演技がこの映画の基調を作り出している感じ。謎解きとしては解決感がないので、後味はあまり良くないのだが、個性的で印象に残る映画でした。  ⇒ 8/10点

Billboards 5

スリー・ビルボード
Three Billboards Outside Ebbing, Missouri (2017年・アメリカ/イギリス)
監督: Martin McDonagh
キャスト: Frances McDormand, Woody Harrelson, Sam Rockwell, John Hawkes, Peter Dinklage, Abbie Cornish, Caleb Landry Jones, Kerry Condon, Darrell Britt-Gibson, Lucas Hedges, Željko Ivanek, Amanda Warren, Kathryn Newton, Samara Weaving, Clarke Peters ほか
上映時間: 115分


⇒ マクドナー監督の前作「セブン・サイコパス」(12年)感想オススメ!

⇒ マクドーマンド出演作「ヘイル、シーザー!」(16年)感想

⇒ ハレルソン出演作「猿の惑星: 聖戦記(グレート・ウォー)」(17年)感想

⇒ ロックウェル出演作「プールサイド・デイズ」(13年)感想オススメ!

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グレイテスト・ショーマン 〜 ヒュー・ジャックマンが光る王道のミュージカル

19世紀に活躍した実在の興行師、P・T・バーナムの生涯を、ヒュー・ジャックマン主演でたどる最新ミュージカル映画。監督はこれが長編デビューとなるオーストラリア出身のマイケル・グレイシー「ラ・ラ・ランド」(16年)アカデミー歌曲賞を受賞した、ベンジ・パセックジャスティン・ポールが音楽を担当しているのが注目される。全米では2017年12月に公開され、公開週に興行ランキングの4位にランクイン、その後も11週にわたり興行ランキング・トップ10内にとどまる、ロングラン・ヒットとなった。

      Greatest Showman Poster

豊かではない家に生まれ育った夢想家のP・T・バーナム(ジャックマン)は、良家の令嬢チャリティ(ミシェル・ウィリアムズ)と結婚し、二人の娘も生まれ、ニューヨークでつつましい生活を送っていたが、バーナムはどの仕事も長続きしない。

 Showman 1

そんなある日、勤めていた会社の貿易船が沈没したために会社は倒産、バーナムを含む社員全員が解雇されてしまう。しかし彼は沈没した船の登録証を持ち出し、それを担保に銀行から金を借りて、世界中のあらゆる奇妙なものを展示した「バーナム博物館」をオープンさせ、念願だったショービジネスの世界へ足を踏み入れる…

 Showman 2

ブロードウェイウェストエンドのミュージカル作品の映画化が主流を占めている最近にあって、今や少数派となっている感のある、オリジナルのミュージカル映画。舞台は19世紀のアメリカなのだが、パセックポールの音楽は、そうした時代設定を吹き飛ばすかのように、冒頭から現代的なビートで観客を映画に引き込む。

 Showman 3

その音楽に乗って、主演のジャックマンが縦横無尽の大活躍で、この映画はまさに彼のために作られたかのような存在感!

 Showman 4

共演のミシェル・ウィリアムズザック・エフロンも芸達者さを見せて、しっかりとジャックマンを盛り立てている。 実際のバーナムはかなり毀誉褒貶の激しい人物だったようだが、ここではそういった人物の深堀は避け、あくまで気楽に楽しめるエンターテイメント作品として仕上げている。その割り切りぶりも、ここでは功を奏しているだろうか。  ⇒ 8/10点

 Showman 5

グレイテスト・ショーマン
The Greatest Showman (2017年・アメリカ)
監督: Michael Gracey
音楽: John Debney, Joseph Trapanese
キャスト: Hugh Jackman, Zac Efron, Michelle Williams, Rebecca Ferguson, Zendaya, Keala Settle, Yahya Abdul-Mateen II, Natasha Liu Bordizzo, Paul Sparks, Sam Humphrey, James Babson, Austyn Johnson, Cameron Seely, Eric Anderson, Daniel Everidge, Timothy Hughes, Shannon Holtzapffel, Luciano Acuna Jr., Danial Son, Jonathan Redavid, Kenneth Chan, Jeremy Hudson, Taylor James, Chelsea Caso, Caoife Coleman, Khasan Brasilford, Alex Wong, Julius Rubio, Vincent-Oliver Noiseux, Dean Walters, Jessica Castro, Najla Gilam, Damian Young, Tina Benko, Gayle Rankin, Will Swenson, Fredric Lehne, Kathryn Meisle ほか
上映時間: 105分


⇒ ジャックマン主演作「LOGAN/ローガン」(17年)感想 〜 オススメ!

⇒ エフロン出演作「ペーパーボーイ 真夏の引力」(12年)感想オススメ!

⇒ ウィリアムズ出演作「マンチェスター・バイ・ザ・シー」(16年)感想オススメ!

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ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書 〜 スピルバーグ・ストリープ・ハンクスのぶつかり合い!

スティーヴン・スピルバーグが、ベトナム戦争を分析・記録したアメリカ国防総省の最高機密文書=通称「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在を暴露したワシントン・ポストの2人のジャーナリストの実話を映画化した社会派ドラマ。メリル・ストリープトム・ハンクスの二大名優が共演した事でも話題を呼んだ。全米では2017年12月に限定公開され、上映館数が拡大した公開4週目に興行ランキングの2位にランクインしている(トップは「ジュマンジ/ウェルカム・トゥ・ジャングル」)。今年のアカデミー賞では作品賞と主演女優賞(ストリープ)にノミネートされた。

      Post Poster

ニクソン大統領政権下の1971年のアメリカケネディ大統領によって開始され、その後ジョンソン大統領政権下で泥沼化していったベトナム戦争に対して、アメリカ国民の間に戦争に対する疑問や反戦の気運が高まっていた。そんな折、政権の姿勢に疑問を抱いていた元国防次官補佐官のダニエル・エルズバーグ(マシュー・リス)のリークによって、ニューヨーク・タイムズ紙ベトナム戦争アメリカが劣勢に立たされている事を分析・報告した国防総省の機密文書「ペンタゴン・ペーパーズ」の存在をスクープする。

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夫の自殺の後を受けて主婦から老舗ワシントン・ポスト紙の発行人となっていたキャサリン・グラハム(ストリープ)は、スクープの対象が古くからの友人である国務長官のロバート・マクナマラ(ブルース・グリーンウッド)であった事や周囲の反対にもあって、記事の掲載をためらうものの、部下で編集主幹のベン・ブラッドリー(ハンクス)とともに、取材の続行を決定する。

 Post 2

ポストは、タイムズと取材合戦をしながらも時には連携し、記事を差し止めようとする政府と戦っていく…

 Post 3

トランプ政権が誕生した瞬間に製作を決めたというスピルバーグが選んだテーマは、報道の自由と真実を求めて戦い続けたジャーナリストたちの姿。変動する世界情勢の中で、すぐに映画化する事に意味があると考えたスピルバーグにとって、本作は最も短期間で製作した作品となったそうだが、その事を感じさせない完成度の高さで、ストーリー・テリングの巧みさはさすが。

 Post 4

ストリープハンクスはさすがの存在感で、映画に真実味を与えるのに大きく貢献している。特にストリープは、男性優位の当時のメディア業界で、しかも専業主婦から突然発行人になったという事情から周囲に軽く見られていた中で、逆に従来のしがらみにとらわれずにブラッドリーとともに真実を追求していくキャサリン・グラハムを印象的に演じている。

 Post 5

惜しむらくは、最近のスピルバーグの作品で時々感じられる、エンディングに向けてのあまりにも予定調和的な展開が、映画を少しこじんまりとしたものにしてしまっているところが残念。  ⇒ 8/10点

ペンタゴン・ペーパーズ/最高機密文書
The Post (2017年・アメリカ)
監督: Steven Spielberg
キャスト: Meryl Streep, Tom Hanks, Sarah Paulson, Bob Odenkirk, Tracy Letts, Bradley Whitford, Bruce Greenwood, Matthew Rhys ほか
上映時間: 116分


⇒ スピルバーグ監督の前作「BFG: ビッグ・フレンドリー・ジャイアント」(16年)感想 〜 オススメ!

⇒ ストリープ出演作「未来を花束にして」(15年)感想

⇒ ハンクス主演作「インフェルノ」(16年)感想

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わたしは、ダニエル・ブレイク 〜 2016年のカンヌ国際映画祭パルム・ドール受賞作

2006年のカンヌ国際映画祭パルム・ドールに輝いた「麦の穂をゆらす風」(06年)などで知られるイギリスケン・ローチ監督による社会派人間ドラマ。2016年のカンヌ国際映画祭のクロージング作品としてプレミエ上映され、ローチ監督にとって2度目のパルム・ドールをもたらした。全米では2017年6月に限定公開されている。

      Daniel Blake Poster

イギリス・ニューカッスルで大工をしている59歳のダニエル・ブレイク(デイヴ・ジョーンズ)は、心臓病と診断され、仕事を辞める事を余儀なくされる。

 Daniel Blake 1

失業保険受給の手続きをしようとしたダニエルだが、担当者の判定は勤務に支障なし。仕事も出来ず、支援も受けられない彼は状況を打開しようとするが、複雑な制度のため、一向に埒があかず、途方に暮れてしまう。

 Daniel Blake 2

職業安定所に日参する事が日課になったそんなある日、ダニエルは担当者とトラブルになっていた、二人の子供を持つシングルマザーのケイティ(ヘイリー・スクワイアーズ)と出会う…

 Daniel Blake 3

これまで一貫して社会的なテーマを扱ってきたローチ監督、本作も、市民生活の中で、どんな国(もちろん日本や米国でも!)にでも起こり得る事を透徹とした眼差しで描き出しているのだが、その視点は弱者への共感をにじませつつも、客観的な眼ざしも忘れていないため、ひとりよがりにならずに、極めて説得力のある作品となっている。

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プロの俳優に素人も入り混じった俳優陣では主人公のダニエル役を演じたデイヴ・ジョーンズが素晴らしい。素人の一般人を思わせるような風貌ながら、お役所の官僚主義に振り回されながら、諦めて泣き寝入りする事を潔しとしないダニエル役を説得力豊かに演じている。

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ドキュメンタリーのような本作がパルムドールを受賞したという事は、それほどヨーロッパの現状に強く閉塞感を感じる人が多いという事だろうか。 ⇒ 8/10点

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わたしは、ダニエル・ブレイク
I, Daniel Blake (2016年・イギリス)
監督: Ken Loach
キャスト: Dave Johns, Hayley Squires, Dylan McKiernan, Briana Shann, Kate Rutter, Kema Sikazwe, Steven Richens, Gavin Webster ほか
上映時間: 100分

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