ローガン・ラッキー 〜 スティーヴン・ソダーバーグ監督らしさ全開の快作

一時映画製作からの引退を表明していたスティーヴン・ソダーバーグ監督「恋するリベラーチェ」(2013年)以来、4年ぶりとなる新作。全米では2017年8月に公開され、公開週に興行ランキングの3位にランクインしている(トップは "The Hitman's Bodyguard")。

      Logan Lucky Poster

脚の怪我のため、フットボールを諦めたジミー(チャニング・テイタム)は、勤めていた建設会社もクビになってしまい、それまでの人生を一変させようと大がかかりな現金強奪計画を立てる。

 Logan Lucky 1

全米屈指のカーレース、NASCARが開催されるサーキット場の金庫から、大金を強奪するというその計画、片腕を失った元軍人の弟クライド(アダム・ドライヴァー)、カーマニアの妹メリー(ライリー・キーオ)とタッグを組み、爆破のプロで服役中のジョー(ダニエル・クレイグ)を仲間に引き入れて実行に移そうと、まずはジョーを脱獄させるのだが…

 Logan 2

ソダーバーグ監督の復帰?(テレビ・ドラマやプロデュースなどで活躍していたので、引退なのかと、言われている)第1作となった本作は、同監督の「オーシャンズ」シリーズを思わせる犯罪映画。

 Logan 3

「オーシャンズ」に比べて登場人物が少ない分、ストーリー展開がより引き締まって無駄がなくなり、軽快なテンポで進んでいくのが、この種の映画としては美点で、犯罪のプロたちの集まりだった「オーシャンズ」に比べて、こちらはどこか間が抜けている素人の兄弟たちが主人公で、しかもクレイグテイタムドライヴァーら旬の俳優が癖のあるそれぞれの役をひょうひょうと演じているのも良い。

 Logan 4

プロットも、兄弟たちがドジな分、果たして成功するのかしないかハラハラさせるような展開で、こちらも一緒にハラハラしてしまうような巧みさで、才人ソダーバーグらしさが存分に発揮された快作!他にヒラリー・スワンクが FBI捜査官として出演して彩りを添えている。  ⇒ 8/10点

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 Logan 6

ローガン・ラッキー
Logan Lucky (2017年・アメリカ)
監督: Steven Soderbergh
キャスト: Channing Tatum, Adam Driver, Daniel Craig. Riley Keough, Hilary Swank, Seth MacFarlane, Katie Holmes, Katherine Waterston, Dwight Yoakam, Sebastian Stan ほか
上映時間: 119分


⇒ ソダーバーグ監督・テイタム主演作「マジック・マイク」(12年)感想オススメ!

⇒ テイタム出演作「ヘイル、シーザー!」(16年)感想

⇒ ドライヴァー主演作「パターソン」(16年)感想

⇒ クレイグ主演作「007 スペクター」(15年)感想

⇒ スワンク出演作「ニュー・イヤーズ・イヴ」(11年)感想
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高慢と偏見 〜 古き良き時代のアメリカ映画らしい文芸作品

これまで何度となく映画化されてきた、ジェーン・オースティンの有名な同名小説を、「巨星ジーグフェルド」(36年)ロバート・Z・レナード監督が1940年に映画化した作品。アメリカで制作された映画だが、イギリスの名優、グリア・ガースンローレンス・オリヴィエが共演している。全米では1940年7月に公開され、翌年のアカデミー賞では美術賞に輝いているが、日本では劇場未公開だった。

      Pride Poster

イギリスの田舎町ロンボーンに住むベネット家ベネット夫妻(エドマンド・グウェンメアリー・ボーランドの5人の子供は全て女の子で、ベネット氏が亡くなれば家も土地も遠縁の従兄弟の手へと渡ってしまうため、ベネット夫人は娘に金持ちの婿をあてがう事に躍起となる日々。

 Pride 1

そんな折、町で別荘を借りた独身の青年資産家ビングリー(ブルース・レスター)がやってきた。美しい長女ジェーン(モーリン・オサリヴァン)ととビングリーはお互いに惹かれ合うが、次女エリザベス(ガースン)ビングリーの友人で気難し屋のダーシー(オリヴィエ)の高慢な態度に反感を抱く。一方で、娘の誰かをビングリーとくっつけようと企むベネット夫人は、早速ビングリーを舞踏会に招く事に成功するのだが…

 Pride 2

1813年に発表され、この時代のイギリスを代表する恋愛小説であるジェーン・オースティン「高慢と偏見」。なぜか高校時代に公民の授業で課題図書として読まされた時には、さっぱり面白いと思わなかったのだが、軽妙なストーリー展開に、登場人物たちのウィットに富んだ会話と、映画として成功しやすい要素が詰まっているので、これまでに何度も映画化されてきた。

 Pride 3

最近では2005年にキーラ・ナイトレイ主演で映画化されている(邦題名は「プライドと偏見」)が、本作品は長らくこの小説の映画化としては決定版と言われていたもの。アカデミー美術賞を獲得したセット・映像はさすがに豪華だし、何よりもガースン・オリヴィエをはじめとする出演者の演技が素晴らしく、さすがという出来栄えになっている。

 Pride 4

当初予定されていたノーマ・シアラーに代わっての出演となったガースン、今ではあまりその名が知られていない感じだが、1941年から5年連続でアカデミー主演女優賞にノミネート(うち「ミニヴァー夫人」(42年)で受賞)されるなど、当時はトップ女優の一人だった。私が見た彼女が出演したどの作品でも演技は素晴らしく、もっと今の人にも知られて良い女優さんだと思う。 ⇒ 8/10点

 Pride 5

高慢と偏見
Pride and Prejudice (1940年・アメリカ)
監督: Robert Z. Leonard
キャスト: Greer Garson, Laurence Olivier, Mary Boland, Edna May Oliver, Maureen O'Sullivan, Ann Rutherford, Frieda Inescort, Edmund Gwenn, Karen Morley, Heather Angel, Marsha Hunt, Melville Cooper, Edward Ashley Cooper, Bruce Lester, E. E. Clive, Marjorie Wood, Vernon Downing ほか
上映時間: 117分


⇒ 「巨星ジーグフェルド」(36年)感想

⇒ ガースン主演作「心の旅路」(42年)感想 〜 オススメ!

⇒ オリヴィエ出演作「スパルタカス」(60年)感想

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想いのこし 〜 岡田将生の奮闘ぶりが光るファンタジー映画

岡本貴也の小説を、「ROOKIES」シリーズ「ツナグ」(12年)などの平川雄一朗監督が2014年に映画化したもの。広末涼子がポールダンサーの役を演じた事でも話題を呼んだ。日本では2014年11月に全国公開され、公開週に興行ランキングの9位にランクインしている。

     Omoinokoshi Poster

考えることは金と女のことばかりで、お気楽に毎日を過ごすことがモットーの青年・ガジロウ(岡田将生)。そんなある日、自分が絡んだ交通事故が縁となって幽霊となったユウコ(広末)・ルカ(木南晴夏)・ケイ(松井愛莉)ら3人のポールダンサーと、運転手のジョニー(鹿賀丈史)に出会う。

 Omoinokoshi 1

小学生の息子・幸太郎(巨勢竜也)を残して死んだのを悔やむユウコをはじめ、それぞれ成仏できぬ事情を抱える彼らは遺した貯金と引き換えに、それぞれ思い残した事をガジロウに代わって実現してもらおうとする。

 Omoinokoshi 2


イヤイヤながら、金目当てで依頼を引き受けたガジロウだが…

 Omoinokoshi 3

金と女にしか興味のない薄っぺらな人生を送ってきた男が、金目当てで引き受けた依頼をこなしていくうちに人生と真剣に向き合うになるというストーリーで、ファンタジー映画の体裁を取った成長物語といった感じの作品。

 Omoinokoshi 4

映画の見どころは、依頼を実現すべく花嫁姿からポールダンスまで披露する岡田将生の奮闘ぶりで、コミカルに飄々と演じていく様はなかなか良い。

 Omoinokoshi 5

細かいディテールが現実的ではないところがあるのだが、そこはファンタジー映画なので意外に気にならないし、男の成長物語と人々が遺した深い想いを上手にバランスを取って描いていて、好感が持てる映画になっていると感じた。同じ監督の「ツナグ」も気に入ったし、この監督の作品とは相性がいいのかも知れない。  ⇒ 8/10点

想いのこし
(2014年・日本)
監督: 平川雄一朗
キャスト: 広末涼子、岡田将生、木南晴夏、松井愛莉、鹿賀丈史、巨勢竜也、高橋努、村杉蝉之介、佐藤二朗 ほか
上映時間: 120分


⇒ 「ツナグ」(12年)感想オススメ!

⇒ 広末涼子 出演作「柘榴坂の仇討」(14年)感想

⇒ 岡田将生 出演作「悪人」(10年)感想

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第十七捕虜収容所 〜 才人ビリー・ワイルダー監督の本領発揮!

ドナルド・ビーヴァンエドモンド・トルチンスキーによるブロードウェイの舞台劇を名匠ビリー・ワイルダー監督が1953年に映画化したもの。全米では1953年7月に公開され、翌年のアカデミー賞では監督賞をはじめ3部門にノミネートされ、ウィリアム・ホールデンが主演男優賞に輝いている。

     Stalag 17 Poster
 
第二次世界大戦中のドイツ第17捕虜収容所。その第4キャンプでは米空軍の軍曹ばかりが集められていて、アニマル(ロバート・ストラウス助演男優賞にノミネートダンバー(ドン・テイラー)シェルバッハ(オットー・プレミンジャー)ら個性的な面々が収容されていたが、その中でも曲者なのが悲観論者のセフトン(ホールデン)だった。

 Stalag 17 1

あるとき、捕虜仲間2人が脱走しようとするがすぐに見つかって射殺されてしまう。自分達の中にドイツ軍に通じている裏切り者の存在が疑われるようになり、セフトンは真っ先に嫌疑をかけられてしまう。孤立無縁の状態の中で、セフトンはひとりでスパイ探しを始めるのだが…

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収容所という密室を舞台にした戦争映画という事で、何やら暗そうな内容を思い浮かべてしまうのだが、そこはワイルダー監督、あくまでストーリーが重くなる事はなく、コミカルな場面を織り込みながらむしろ軽快に映画を進めていくその手腕は相変わらず見事。

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それでいて、ミステリー感もスリル感も十分にあり、出演俳優たちの個性豊かな演技(意外に主演のホールデンがあまり目立たないのが面白い)と相まって、映画として見事にまとまっている。それにしても、ワイルダー監督はどの作品も当たり外れが少なく、高い水準でまとまっているのが凄い。ハリウッドを代表する名匠の一人!  ⇒ 8/10点

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第十七捕虜収容所
Stalag 17 (1953年・アメリカ)
監督: Billy Wilder
キャスト: William Holden, Don Taylor, Otto Preminger, Robert Strauss, Harvey Lembeck, Peter Graves, Sig Ruman, Neville Brand, Richard Erdman, Michael Moore, Peter Baldwin, Robinson Stone, Robert Shawley, William Pierson, Gil Stratton, Jay Lawrence, Erwin Kalser, Paul Salata, Edmund Trzcinski ほか
上映時間: 120分


⇒ ワイルダー監督のフィルム・ノワールの古典「深夜の告白」(44年)感想太鼓判!!

⇒ ホールデン出演作「ボーン・イエスタディ」(50年)感想オススメ!

⇒ プレミンジャーの監督作品「或る殺人」(59年)感想オススメ!

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ケイン号の叛乱 〜 1950年代のアメリカ映画らしい、良質な作品

1951年に発表され、ピューリッツァー賞を受賞したハーマン・ウォークの世界的ベストセラー小説を「ハリウッド・テン」(赤狩り旋風が吹き荒れていた当時のアメリカで共産主義者と名指しされた著名映画人)の一人だったエドワード・ドミトリク監督が、ハンフリー・ボガートをはじめ、当時のハリウッドを代表するキャストを集めて製作した1954年の作品。同年の年間興行ランキングの2位に入るヒット作となり、1955年のアカデミー賞では作品賞・主演男優賞(ボガート)をはじめ7部門でノミネートされたものの、受賞はならなかった。

       Caine Mutiny Poster

第二次世界大戦中の1943年、名門プリンストン大学を卒業したウィリー・キース(ロバート・フランシス)は、ナイトクラブの歌手をしている恋人メイ・ウィン(メイ・ウィン)に別れを告げ、アメリカ海軍の少尉候補生として老朽駆逐艦ケイン号に乗りこむ。

 Caine Mutiny 1

艦長のデヴリース(トム・テューリー)は口が悪く人を食ったような態度で、ウィンが持っていた海軍の艦長のイメージとは全く異なる人物。しかも艦の任務は戦闘ではなく掃海作業で、希望に燃えていたウィンは失望するのだが、副長のマリク大尉(ヴァン・ジョンソン)キーファー大尉(フレッド・マクマレイ)ら乗組員たちはデヴリースに尊敬の念を持っている事が理解できない。

 Caine Mutiny 2

程なくしてデヴリースは転任する事となり、後任艦長としてクィーグ中佐(ハンフリー・ボガート)が着任する。全てに対して規律を求めるクィーグに最初は感銘を受けるウィンだったのだが…

 Caine Mutiny 3

戦争を舞台とした映画ながら、戦闘シーンは一切なく、軍艦という狭い空間の中での人間模様を鋭く描いた作品。後半は一転してホセ・フェラー演じる弁護士が活躍する法廷が舞台となるのだが、最後まで緊張感が途切れる事なく物語が展開していくのは、監督の力量のたまもの。

 Caine Mutiny 4

クィーグ役でアカデミー主演男優賞にノミネートされた名優ボガートは、いつものクールでニヒルなヒーロー役とはうって変わって、神経質で偏執狂の上官とういう役なのだが、それを見事に演じていてさすが!

 Caine Mutiny 5

クィーグは軍事法廷で裁かれる事になるのだが、様々な思惑が交差する法廷での人間模様、クィーグの行為は本人のせいなのか、それとも戦争が彼を追いやったのか、色々と考えさせる映画。1950年代はこういう良心的な作りのアメリカ映画が多かった!  ⇒ 8/10点

ケイン号の叛乱
The Caine Mutiny (1950年・アメリカ)
監督: Edward Dmytryk
キャスト: Humphrey Bogart, José Ferrer, Van Johnson, Fred MacMurray, Robert Francis, May Wynn, Tom Tully, E. G. Marshall, Arthur Franz, Lee Marvin, Warner Anderson, Claude Akins, Katherine Warren, Jerry Paris, Steve Brodie ほか
上映時間: 124分


⇒ ボガート主演作「脱出」(44年)感想

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