ビルマの竪琴

ドイツ文学の研究者・評論家の竹山道雄が、1947年に発表した児童向け小説を、1956年に映画化した市川崑監督が、1985年に再び映画化に挑戦したもの。脚本は前作と同じく、和田夏十が担当。

      Burma Poster

太平洋戦争末期の1945年夏。ビルマ戦線の日本軍はタイへと苦難の撤退を続けていた。そんな逃避行の最中、小隊を率いる井上(石坂浩二)は、隊の士気を高めるため、水島上等兵(中井貴一)の弾く竪琴の音に合わせ部隊全員で合唱をしていた。

 Burma 1

程なくして、終戦を迎えた彼らは投降し、イギリス軍によってムドンに護送されることになったが、水島だけは未だ抵抗を続ける日本軍の僚友に降伏を勧めるため、隊を離れるのだった…

 Burma 2

ビルマの風景を美しく切り取った映像と、情感ある音楽に彩られた、市川崑監督らしい作品。

 Burma 3

主演の中井貴一を始め、石坂浩二渡辺篤史らの演技も情感がこもっているが、ストーリーがやや起伏に乏しい感があり、少し冗長感を感じさせるのが残念。  ⇒ 6/10点

ビルマの竪琴
(1985年・日本)
監督: 市川崑
キャスト: 中井貴一、石坂浩二、菅原文太、渡辺篤史、川谷拓三、小林稔侍、井上博一、浜村純、 常田冨士男、佐藤正文、北林谷栄 ほか
上映時間: 133分


⇒ 中井貴一 主演作「柘榴坂の仇討」(14年)感想

⇒ 石坂浩二 出演作「図書館戦争」(13年)感想
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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

ガリレアの婚礼 ~ パレスチナの結婚の風景を描く

ベルギーの映画監督、ミシェル・クレイフィの長編第1作となった作品で、1987年のカンヌ映画祭国際映画批評家連盟賞を受賞している。

      Wedding in Galilee Poster

パレスチナのとある村落。イスラエル軍による厳重な戒厳令下にある中で、村長のムクタール(アリ・モハメッド・アキリ)は、息子(ナーズィー・アクレー)の結婚式をアラブの慣習に忠実に行おうと、イスラエル軍現地司令官(マクラム・コウリ)に一晩だけの夜間外出禁止令の解除を願い出る。

司令官は、これをイスラエル軍の示威を誇示する絶好の機会ととらえ、自分と部下の将校を主賓として参列させる事を条件に、結婚式を許可する。

自分の体面を保つためにイスラエル軍を招き入れた父親に反発する息子・結婚式に乗じて司令官の暗殺を企てる村の若者たち・不穏な動きを察知する軍の秘密警察。支配する者・される者の思惑が交錯する中で、結婚式が始まったが...

 Galilee 1

私には馴染みの薄い、アラブの伝統的な結婚式を丹念に描く中で、支配する者・される者の思惑が交錯していくうちに画面にも緊迫感が自然に高まっていく。

 Galilee 2

とは言っても、結局大きな事件が起きる訳ではなく、むしろ淡々と映画は終わるのだが、その中で老人たちの悲哀・若者たちの悲哀が自然に浮かび上がってくるところが興味深い佳作。  ⇒ 7/10点

ガリレアの結婚
Urs al-jalil (1987年・フランス/ベルギー)
監督: Michel Khleifi
キャスト: Mohamad Ali El Akili, Bushra Karaman, Makram Khoury, Yussuf Abu-Warda, Anna Condo, Nazih Akleh, Sonia Amar, Eyad Anis, Wael Barghouti, Jukiano Mer, Ian Chemi, Tali Dorat, Ali Al Akili ほか
上映時間: 106分

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

映画: ハンナとその姉妹

ウディ・アレンの1986年の作品で、彼の代表作の一つ。全米では1986年2月に公開され、翌年のアカデミー賞では助演男優(マイケル・ケイン)・助演女優(ダイアン・ウィースト)・脚本賞の3部門で受賞している。

      Hannah Poster

マンハッタンセントラル・パーク近くに住む元女優のハンナ(ミア・ファロー)の夫エリオット(ケイン)は、ふとしたはずみで、ハンナの妹で三姉妹の末っ子のリー(バーバラ・ハーシー)と関係を持ってしまい、しかも彼女に夢中になってしまう。

 Hannah 1

そんなリーは、かなり年の離れた画商のフレデリック(マックス・フォン・シドー)とだらだらと同棲中。一方、次女のホリー(ウィースト)は明るい性格だが、何をやっても中途半端で、ハンナに心配をかけてばかり。

 Hannah 2

ハンナの前夫で、テレビ番組の脚本家ミッキー(ウディ・アレン)は、最近体力の衰えを感じるようになり、自分は末期の病気にかかっているのではないかと疑ってみたり、これまでの自分の人生は無意味だったのではないかと落ち込んでみたりと忙しい...

 Hannah 3

マンハッタンを舞台にした、アレン一流のテンポの速い、時にコミカルな会話に彩られる人間喜劇。人生で起こりえる様々な事象を、このもつれあう人間関係の中で巧みに織り込んでいくアレンの手腕はさすがの一言で、多くの人がこの作品を彼の代表作とするのもうなずけるが、個人的にはこの作品では、「アニー・ホール」(77年)「マンハッタン」(79年)のように、ニューヨークの詩情をあまり感じさせないのが、今ひとつ物足りず、そうなると、何となく映画全体がせわしないものになっているような気がするのが残念。  ⇒ 6/10点

 Hannah 4

ハンナとその姉妹
Hannnah and Her Sisters (1986年・アメリカ)
監督: Woody Allen
キャスト: Mia Farrow, Dianne Wiest, Barbara Hershey, Michael Caine, Woody Allen, Max von Sydow, Carrie Fisher, Lloyd Nolan, Maureen O'sullivan, Daniel Stern ほか
上映時間: 106分


⇒ アレン監督の2013年作品「ブルージャスミン」感想

⇒ ウィースト出演作「ラビット・ホール」(10年)感想

⇒ ケイン出演作「ダークナイト ライジング」(12年)感想

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映画: ハスラー2

ポール・ニューマンの名を一躍高めた「ハスラー」(61年)の25年ぶりの続編で、マーティン・スコセッシがメガホンを取り、今回もニューマンが主演を務めている。同じ1986年に一足先に公開された「トップガン」でブレイクしたトム・クルーズが共演している。1987年のアカデミー賞ではポール・ニューマンが主演男優賞に輝いている

      Money Poster

あのミネソタ・ファッツとの死闘から25年。かってのハスラー、エディ(ニューマン)も50を過ぎて現役を退き、気ままな生活を送っていた。

 Money 1

そんなある日、エディは凄腕だが、まだまだ粗っぽい若手ビリヤード・プレイヤー、ビンセント(クルーズ)に出会う。彼の姿に若い頃の自分の姿を重ね合わせたエディは、ビンセントを自分の手で最高のプレイヤーに育てようと決心するのだが...

 Money 2

公開時に日本でビリヤード・ブームを巻き起こした映画。手持ちカメラを多用してライブ感を強調した画面からは、ゲームの迫力が十分伝わってくる。

 Money 3

ニューマンはさすがの演技。現役を引退して気ままな生活を送っていたものの、ビンセントを指導するうちに、かっての勝負師魂に火が付いていく様子を存在感たっぷりに演じている。

 Money 4

続編ではあるものの、それなりに面白い物語にして、単なる二番煎じ映画にはしなかったスコセッシの手腕はさすがだが、彼の他の映画に見られるような緊迫感にはやや欠ける印象。またライヴ感を醸し出すのに役立っているカメラワークも、場面によっては逆に画面の揺れが気になってしまうところもあった。  ⇒ 7/10点

 Money 5

ハスラー2
The Color of Money (1986年・アメリカ)
監督: Martin Scorsese
キャスト: Paul Newman、Tom Cruise、Mary Elizabeth Mastrantonio、Helen Shaver、John Turturro、Forest Whitaker、Bill Cobbs、Robert Agins、Keith McCready ほか
上映時間: 119分


⇒ ニューマン主演の「評決」(82年)感想

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映画: 蜘蛛女のキス

アルゼンチンの作家、マヌエル・ブイグが1979年に発表したベストセラー小説の映画化。主役のホモセクシャルの青年役に抜擢されたウィリアム・ハートが1986年のアカデミー主演男優賞に輝いている。

      Kiss Poster

南米のとある国の刑務所で、同じ牢獄に入れらている二人の男、反体制運動の闘士であるバレンティン(ラウル・ジュリア)と、ホモセクシャルのモリーナ(ハート)は対照的な存在だった。

 Kiss 1

最初はモリーナを毛嫌いしていたバレンティンだったが、モリーナが話す架空の映画のストーリーを聞いているうちに、次第に二人は心を通わすようになっていく...

 Kiss 2

物語の大部分が牢獄の、閉ざされた空間の中で展開されていく異色の心理劇。最初は水と油のような対照的な二人の男が次第に心を通わせていくさまを、男が語る架空の映画のシーンを織り交ぜながら繊細に描いていて、二人の感情の変化が見ている者にもしっかりと伝わってくる点が素晴らしい。

 Kiss 3

一種のラブストーリーとも捉えられるこの映画、とにかくアカデミー主演男優賞に輝いたウィリアム・ハートの熱演が光っている。  ⇒ 7/10点

 Kiss 4

蜘蛛女のキス
Kiss of the Spider Woman (1985年・ブラジル/アメリカ)
監督: Hector Babenco
キャスト: William Hurt、Raul Julia、Sonia Braga、Jose Lewgoy、Milton Goncalves、Miriam Pires、Nuno Leal Maia、Fernando Torres、Patricio Bisso、Herson Capri、Denise Dummont、Nildo Parente ほか
上映時間: 119分

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