太陽はひとりぼっち: イタリアの名匠ミケランジェロ・アントニオーニ監督の代表作

生涯、人間性と愛について探求する映画を撮り続けてきたミケランジェロ・アントニオーニ監督(1912〜2007年)による、「愛の不毛」3部作の最終編。本国イタリアでは1962年に公開され、同年のカンヌ映画祭では審査員特別賞を受賞している。

      Eclisse Poster

1960年代初めのローマ。婚約者のリッカルド(フランシスコ・ラバル)と別れたばかりの若い女性ヴィットリア(モニカ・ヴィッティ)だが、(今でいう)デイトレーダーである彼女の母親(リッラ・ブリニョーネ)は、証券取引所に入り浸っていて、彼女の話をろくろく聞こうとはしない。

 Eclisse 1

独り身の退屈を紛らわせようと、女友達のアパートでどんちゃん騒ぎをしたり、その夫の操縦するセスナに乗ってみたりしたものの、心にぽっかり開いた穴は、塞がる気配がない。一方の母親は、株式相場の暴落で今にも自殺しそうな状況。

 Eclisse 2

そんな中彼女は、株式取引所で以前から見かけていた若い仲買人のピエロ(アラン・ドロン)と親密になるのだが…

 Eclisse 3

アントニオーニ監督を代表する「愛の不毛」3部作の最終編である本作、高度成長期のイタリア社会の中で、愛だけではなく、人々の心のつながりが希薄になっている様を描いた、いかにもアントニオーニ監督らしい作品。

 Eclisse 4

アントニオーニのミューズと言われ、三部作全てに出演しているヴィッティは、ちょっとけだるさも感じさせる独特の存在感を発揮していて、対する当時新進気鋭のドロンは心を感じさせない色男ぶりを遺憾なく発揮している。

 Eclisse 5

ストーリーがあってないようなこの映画は、独特の映像描写の中に、監督が追求した人間関係の喪失・愛の不毛をどの程度感じ取るかによって、大きく評価が分かれるような気がする。一般的には評価の高い作品だが、私にはちょっとピンとこなかった…  ⇒ 6/10点

太陽はひとりぼっち
L'Eclisse (62年・イタリア)
監督: Michelangelo Antonioni
キャスト: Monica Vitti, Alain Delon, Francisco Rabal, Lilla Brignone, Louis Seigner, Rosasna Rory, Mirella Ricciardi ほか
上映時間: 126分
スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

何がジェーンに起ったか? 〜 とにかく、ベティ・デイヴィスが怖すぎる...

当時不仲が噂されていた名優、ベティ・デイヴィスジョーン・クロフォードの共演で話題となったロバート・アルドリッチ監督の1962年の作品で、ヘンリー・アレルが1960年に発表した同名小説の映画化。1963年のアカデミー賞では、主演女優賞をはじめ5部門でノミネートされ、衣装デザイン(白黒)賞を受賞している。

      Baby Jane Poster

ハリウッドの古びた屋敷に住む老姉妹。妹のジェーン(デイヴィス)はかって、可愛らしい舞台の子役として一世を風靡したが、今はすっかり落ちぶれて、同じく映画女優だったが、自動車事故で下半身不随となってしまった姉のブランチ(クロフォード)の世話をしていた。

 Baby Jane 1

子役時代は周囲からちやほやされていたものの、大きくなってからは仕事もなく、ブランチの影で鬱屈した日々を送っていたジェーンは、ブランチが動けなくなってからは、事あるごとに陰湿ないじめを繰り返す。

 Baby Jane 2

ブランチが可愛がっていた鳩を殺して料理に出すなど、ジェーンのいじめがエスカレートする中、ブランチは屋敷から逃げ出そうとするのだが...

 Baby Jane 3

当時犬猿の仲と伝えられていた二人の大女優が、映画の中でもそのまま憎悪をぶつけ合う役を演じた事で、大きな話題を呼んだ作品。とにかく、子供みたいな衣装を着た上に、極端なメイクを施して役に臨んだデイヴィスの強烈な演技が凄い。

 Baby Jane 4

但し、その姿があまり強烈過ぎて、肝心の映画の内容に注意がいかない結果になってしまうのが残念。歯に衣着せぬ発言で知られていたデイヴィスは、当時、クロフォードについて、「彼女が座った後の便座にだけは座りたくない」などと発言したのは有名。これに対して、クロフォードも負けておらず、デイヴィスがこの作品で11度目の主演女優賞にノミネートされた時に、他の候補者に対して、受賞した場合は自分が代理でオスカーを受け取る事を申し出て、実際、「奇跡の人」(62年)での演技で受賞したアン・バンクロフトに代わってオスカーを受け取ったという、嘘のような逸話が残されている。  ⇒ 6/10点

 Crawford.gif
 バンクロフトに代わりオスカーを受け取るクロフォード

何がジェーンに起ったか?
What Ever Happened to Baby Jane? (1962年・アメリカ)
監督: Robert Aldrich
キャスト: Bette Davis, Joan Crawford, Victor Buono, Marjorie Bennett, Maidie Norman, Anna Lee, Barbara Merrill, Julie Allred, Dave Willock ほか
上映時間: 132分


⇒ デイヴィス主演作「情熱の航路」感想 〜 太鼓判!!

⇒ クロフォードのアカデミー主演女優賞受賞作「ミルドレッド・ピアース」(45年)感想

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

冬の光 〜 巨匠イングマール・ベルイマン監督の「神の不在」三部作の一作

スウェーデンの巨匠イングマール・ベルイマン監督が、1962年に発表した作品で、「鏡の中にある如く」(61年)、「沈黙」(62年)と共に、「神の不在」をテーマとした3部作の一作で、ベルイマンの最高傑作の一つと言われている。本国スウェーデンでは1963年2月、米国では同年4月に公開されている。

      Nattvardsgasterna Poster

スウェーデンのひなびた漁村で牧師をしているトマス(グンナール・ビョルンストランド)は、最愛の妻に先立たれてから、失意の中にあり、自分の信仰にも自身が持てなくなっていた。

 Nattvardsgasterna 1

そんなある日、彼のもとに、核戦争への恐怖で神経衰弱になっている漁師の夫ヨナス(マックス・フォン・シドー)を助けてほしいという女性カリン(グンネリ・リンドブロム)の訪問を受ける。

  Nattvardsgasterna 2

ところが、愛人だった小学校の女教師マルタ (イングリット・チューリン)との関係に疲れていたトマスは、彼らにありきたりな言葉しかかけてあげることが出来ない。やがて、ヨナスは自殺してしまう...

 Nattvardsgasterna 3

切り詰められた、静謐な空間の中で、必死に神の答えを求めてもがく人々の姿を描いた作品。村人たちに対して、神の言葉を伝えられないだけではなく、自らも神の言葉を聞くことが出来ないトマスなのだが、その姿を見ていると、神の不在に苦しむというよりは、牧師として、信者に呼びかける言葉を持てない「一人の人間の沈黙」が強く浮かび上がってくる印象が強い。ベルイマンらしい映画だが、見ていて息苦しくなってくる感じも。  ⇒ 7/10点

 Nattvardsgasterna 4

冬の光
Nattvardsgasterna (1962年・スウェーデン)
監督: Ingmar Bergman
キャスト: Gunnar Bjornstrand, Ingrid Thulin, Max von Sydow, Gunnel Lindblom, Allan Edwall, Kolbjorn Knudsen, Olof Thunberg, Elsa Ebbesen, Tor Borong, Bertha Sannell, Helena Palmgren ほか
上映時間: 86分

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

ふたりの女 ~ ソフィア・ローレンのアカデミー賞受賞作

イタリアネオ・リアリズムの巨匠、ヴィットリオ・デ・シーカの1960年の作品で、第2次大戦直後のイタリアを舞台にしたアルベルト・モラヴィアの同名小説の映画化作品。主演のソフィア・ローレンは1962年のアカデミー賞英語圏以外の俳優としては史上初めてとなる主演女優賞を獲得している。

      Ciociara Poster

夫を失くし、女手一つで一人娘のロゼッタ(エレオノーラ・ブラウン)を育てながら、ローマで食料品店を切り盛りしているチェジラ(ソフィア・ローレン)は、戦火を避けるために、郷里に帰る事を決心する。

 Ciociara 1

疎開者であふれかえる郷里の村に着いた二人だが、混乱の中、疎開者の一人であるミケーレ(ジャン・ポール・ベルモンド)というインテリ青年は、何かと母娘に気を使い、助けてくれる。

 Ciociara 2

いつしか、ロゼッタミケーレを慕うようになっていたが、そのミケーレは、チェジラに思いを寄せていた...

 Ciociara 4

戦争の混乱期の中で翻弄される母娘の姿を、デ・シーカらしく、透徹したリアリズムの目で描いた作品。やはり、ローレンの演技が印象的で、悲劇に翻弄されながらも、たくましく生きていく女性像を見事に演じている。

 Ciociara 3

同じくデ・シーカ監督の代表作の一つ、「ひまわり」(70年)でもそうだったが、彼女は戦後活躍した名女優の中でも、最も人間の根源的な生命力を感じさせる女優さんだと、本作を見て改めて痛感した次第。  ⇒ 7/10点

ふたりの女
La Ciociara (1960年・イタリア)
監督: Vittorio De Sica
キャスト: Sofia Loren, Jean-Paul Belmondo, Eleanora Brown, Raf Vallone, Renato Salvatoi ほか
上映時間: 102分

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

小間使いの日記 ~ ジャンヌ・モローの美しさが光るルイス・ブニュエル監督作品

異色な作風で知られたスペインの名匠ルイス・ブニュエル監督の1963年の作品で、フランスの自然主義の作家、オクターヴ・ミルボーの小説を、ジャンヌ・モロー主演で映画化している。1964年のヴェネツィア映画祭でプレミエ上映された後、米国では翌1965年に公開されている。

      Journal Poster

セレスチーヌ(モロー)は、パリで女中の仕事をしていたが、都会の生活に嫌気がさして、田舎にあるモンテイユ家に奉公しにやってくる。

 Journal 1

モンテイユ家では、主の父親ラブール氏(ジャン・オゼンヌ)の世話をする事になったセレスチーヌだが、そのラブール氏をはじめ、主人のモンテイユ氏(ミシェル・ピコリ)や召使のジョセフ(ジョルジュ・ジェレ)らが美しいセレスチーヌに対し、欲望の眼差しを向けるのであった...

 Journal 2

デビュー作の「アンダルシアの犬」(29年)で、シュルレアリスムの映画作家として衝撃のデビューを飾ったブニュエルだが、本作は極めて真っ当な文芸映画の趣きで、その作風の広さを改めて感じさせる作品。

 Journal 3

極めて正攻法に作られた作品で、小間使いの目を通して見られる、うわべは道徳的にふるまっている人々の裏の姿を冷めた目で描いていて、モローの個性的な美しさも印象的だが、この監督の他の作品でも見られる、ぶっきらぼうともとれるようなドライな描き方が個人的には好きになれなかった。  ⇒ 6/10点

 Journal 4

Le Journal d'Une Femme de Chambre (1963年・フランス/イタリア)
監督: Luis Bunuel
キャスト: Jeanne Moreau, Michel Piccoli, Georges Geret, Francois Lugagne, Daniel Ivernel, Jean Ozenne ほか
上映時間: 98分

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

プロフィール

Author:アルページュ
FC2ブログへようこそ!

カレンダー
02 | 2017/03 | 03
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31 -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード