輪舞 〜 女性映画の巨匠がダニエル・ダリューを美しく描く

19世紀末のウィーンを舞台としたアルトゥル・シュニッツラーの戯曲の映画化で、監督は「女性映画の巨匠」と言われたドイツ出身のマックス・オフュルス監督。 ユダヤ人であったオフュルスは、ナチスの台頭により、活動の中心をフランスに移したが、第二次大戦勃発と同時にアメリカへ逃れ、戦後1950年にフランスに戻った直後に製作した作品だった。英国アカデミー賞では作品賞に輝き、翌年の米アカデミー賞では、脚色賞・美術賞の2部門にノミネートされた。

      Ronde Poster

1900年のウィーン。娼婦のレオカディ(シモーヌ・シニョレ)フランツ(セルジュ・レジアニ)という兵士に恋をしていて、彼を強引に誘惑しようとするが、その場から首尾よく逃げ出したフランツは、純情で可憐な小間使いマリー(シモーヌ・シモン)をたぶらかす事に成功する。

 Ronde 1

一方、ドンファンを気取る小間使いの若主人アルフレート(ダニエル・ジェラン)は、裕福な人妻エマ(ダニエル・ダリュウ)のところへ出かけ、苦心惨澹の末やっと自分になびかせる事に成功する。

 Ronde 2

エマの夫カール(フェルナン・グラヴェ)は、妻が最近とみに美しくなって来たので有頂天だが、その彼にもアンナ(オデット・ジョアイユー)という売り子とねんごろ。ところがそのアンナにも、自惚れ屋の詩人ロベルト(ジャン=ルイ・バロー)を始め彼女を追いかける男が沢山いる。

 Ronde 3

その実、ロベルトの本命は情熱的な女優シャルロッテ(イザ・ミランダ)なのだが、彼女が愛しているのは若い金持の伯爵士官(ジェラール・フィリップ)なのであった…

 Ronde 4

映画に登場する男女全員が恋の熱に浮かされていて、題名の輪舞そのままに、それらの恋愛模様がもつれ合いながら、物語が展開していく。

 Ronde 5

シモーヌ・シニョレジェラール・フィリップダニエル・ダリューなど、フランス映画界きっての美男美女が出演しているだけあって、映画全体の雰囲気が艶っぽい。舞台が世紀の移り変わる頃のウィーンというのも物語の艶っぽさを助長していて心憎い。

 Ronde 7

これだけ主要登場人物が多いと、物語が散漫になりやすいのだが、オフェルス監督はうまくまとめている。フランス映画史上最高の美女と言われたダリューはさすがに見とれてしまうほど美しい!  ⇒ 7/10点

 Ronde 6

輪舞
La Ronde (1950年・フランス)
監督: Max Ophuls
キャスト: Anton Walbrook, Simone Signoret, Serge Reggiani, Simone Simon, Daniel Gélin, Danielle Darrieux, Fernand Gravey, Odette Joyeux, Jean-Louis Barrault, Isa Miranda, Gérard Philipe ほか
上映時間: 95分


⇒ シニョレ主演の秀作スリラー「悪魔のような女」(55年)感想オススメ!
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いとこ同志: ヌーヴェルヴァーグの幕開けを告げたクロード・シャブロル監督作品

フランスヌーヴェルヴァーグ運動を代表する監督の一人、クロード・シャブロルの長編第2作。フランスで1959年3月に公開され、同年6月のベルリン国際映画祭では最高位の金熊賞に輝き、ヌーヴェルヴァーグの時代到来を世界に知らしめた。なお、この年の同映画祭では、黒澤明「隠し砦の三悪人」で監督賞に輝いている。

      Cousins Poster

南仏の田舎で母親に育てられたシャルル(ジェラール・ブラン)は大学で法学を学ぶため、パリに住む同じ大学生の従兄、ポール(ジャン=クロード・ブリアリ)のアパートに居候する事に。

 Cousins 1

勉強など全くせず享楽的な生活を送っているポールと、内気で真面目なシャルルは正反対の性格だが、なぜか二人はウマが合う。早速ポールパリ見物に誘われたシャルルは、とあるクラブで出会った美女フローランス(ジュリエット・メニエル)に一目惚れ。

 Cousins 2

翌日ポールのアパートで行われたパーティーで、フローランスと再び出会ったシャルルは、翌日のデートの約束を取り付けるが、互いに時間を取り違えてしまい、会わずじまいに。フローランスポールのアパルトマンでシャルルを待つうちに、ポールに口説かれてしまう…

 Cousins 3

当時のパリの(一部の)若者の生態を切り取ったような映画で、一方は人生に目的など持たず、享楽的に日々を過ごし、もう一方は真面目に人生を全うしていこうとする、好対照な若者を対比させ、これに若い女性との奇妙な三角関係を交えながら、物語は進められていく。

 Cousins 4

シャルルポールパリの街をドライブするシーンでの画面に溢れる疾走感、シャルルの視点に立った3人の変則的な共同生活の描写の仕方、最後の唐突的でショッキングな終わり方など、随所にヌーヴェルヴァーグの作品らしさが表れているが、登場人物の扱い方は、かなり表面的(或いは即物的?)に感じられるのが、私には物足りない。それが、ヌーヴェルヴァーグだと言われるのかも知れないが。 

 Cousins 5

主役3人はいずれも持ち味を出した好演。 ジュリエット・メニエルはあまり日本では知られていないと思うが、瞳が印象的で、いかにもフランスの女優さんらしい魅力がある。  ⇒ 6/10点

 Cousins 6

いとこ同志
Les Cousins (1959年・フランス)
監督: Claude Chabrol
キャスト: Gérard Blain, Jean-Claude Brialy, Juliette Mayniel, Guy Decomble, Geneviève Cluny, Michèle Méritz, Corrado Guarducci, Stéphane Audran, Paul Bqsciglia, Jeanne Pérez, Françoise Vatel ほか
上映時間: 112分

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オルフェ 〜 詩人ジャン・コクトーの、芸術へのオマージュ

名作「美女と野獣」(46年)でも知られるフランスの詩人、ジャン・コクトーが、ギリシャ神話のオルフェウス伝説をベースに製作した3部作の第2作にあたる映画。本国フランスでは1950年9月に公開されている。

       Orphee Poster

パリの文学青年達のたまり場となっている「詩人カフェ」。ある日このカフェに、王女と呼ばれる女性(マリア・カザレス)がやって来て、カフェの青年たちの崇拝の的である詩人オルフェ(ジャン・マレー)に対し、同行者の詩人セジェスト(エドゥアール・デルミ)がオートバイにはねられて死んだので、遺体を彼女のロールス・ロイスに載せてほしいと頼む。

 Orphee 1

王女の邸宅に着くと、彼女はセジェストを生き返らせて鏡の中に消えてしまう。王女の後を追おうとして鏡にぶつかり、気を失ってしまったオルフェ、目が覚めると建物はなくなっていた。

 Orphee 2

王女の運転手ウルトビイズ(フランソワ・ペリエ)に送られて、オルフェは妻のユウリディス(マリー・デア)のもとへ帰るものの、それからというものは、彼の脳裏から王女が離れる事はなかった...

 Orphee 3

オルフェウス伝説を緩やかにベースにしつつも、詩人コクトーが自由にイマジネーションを膨らませて作ったファンタジー映画。ストーリーはちょっととりとめがない感じだが、コクトーお気に入りの俳優だったジャン・マレーの、ギリシャの彫刻を思わせるような風貌は見物。  ⇒ 6/10点

 Orphee 4

オルフェ
Orphee (1950年・フランス)
監督: Jean Cocteau
キャスト: Jean Marais, Maria Casares, François Périer, Marie Déa, Henri Crémieux, Juliette Gréco, Roger Blin, Edouard Dermithe, René Worms ほか
上映時間: 95分

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カビリアの夜 ~ ジュリエッタ・マシーナが不思議な魅力を放つフェリーニの代表作

イタリアの名匠、フェデリコ・フェリーニ監督の1957年の作品で、名作「道」(54年)に引き続き、妻のジュリエッタ・マシーナが主演している。そのマシーナはこの作品で1957年のカンヌ国際映画祭で、最優秀女優演技賞に輝いている。また、映画の方も、1958年のアカデミー賞で、外国語映画賞を受賞している。

      Cabiria Poster

ローマ郊外に住む娼婦のカビリア(マシーナ)は、荒んだ生活を送りながらも、いつかは堅気の生活に戻る希望を捨てずに毎日を生きていた。バラ色の未来を夢見る性格は、恋人(フランソワ・ペリエ)に川に突き落とされて捨てられても変わらない。

 Cabiria 1

娼婦仲間たちは、親友のワンダ(フランカ・マルツィ)を除いて、そんなカビリアを馬鹿にしていたが、ある日、ナイトクラブで出会った有名な映画俳優(アメーディオ・ナザーリ)が、彼女を自分の豪邸へと連れていく。夢が実現した喜ぶカビリアだったが...

 Cabiria 2

フェリーニが妻のマシーナのために作ったかのような映画で、ここでの彼女は、名作「道」同様、社会の底辺にいながら、そのどろどろとした世界から超越したかのような無垢の心をもった女性を演じているが、彼女の演技は「道」でのそれにも増して、一段と精彩を放っている。

 Cabiria 3

ロベルト・ロッセリーニら、フェリーニより前の世代のネオ・リアリズムの監督たちに較べて、映画・演技を作り上げている感じが強く、センチメンタルな要素も同様に少なからず感じられるが、そこはさすがフェリーニ、映画としてうまくまとまっている。

 Cabiria 4

とにかくこの作品は、カンヌ国際映画祭で、最優秀女優演技賞に輝いたマシーナの演技を見るための映画と感じました!  ⇒ 7/10点

カビリアの夜
Le Notti di Cabiria (1957年・イタリア)
監督: Federico Fellini
キャスト: Giulietta Masina, Francois Perier, Franca Marzi, Dorian Gray, Amedeo Nazzari ほか
上映時間: 111分

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尼僧物語 ~ どんな役をやっても際立つヘップバーンの美しさ!

「真昼の決闘」(52年)「地上より永遠に」(53年)などの名匠フレッド・ジンネマンが、オードリー・ヘップバーンを主演に迎えて、キャサリン・ヒュームが1956年に発表した同名小説を映画化した作品。米国では1959年7月に公開され、それまでのヘップバーンの映画では興行的に最も成功した作品となった。翌年のアカデミー賞では、作品・監督・主演女優賞(ヘップバーン)をはじめ8部門でノミネートされたにもかかわらず、どの部門でも受賞はならなかった

      Nuns Story Poster

ベルギーに住む高名な医者、パン・デル・マル博士(ディーン・ジャガー)の娘であるガブリエル(ヘップバーン)は、当時ベルギー領であったコンゴで修道僧として医療活動を行う事を決意し、恋人とも別れ、修道院に入る。

 Nun 1

数ヶ月間にわたる厳しい修行の末、シスター・ルークという名を与えられ、修道女となった彼女は、その後も修道院の厳格な生活を経て、念願のコンゴに派遣される。

 Nun 2

現地で、腕は立つが無神論者の外科医フォルテュナティ(ピーター・フィンチ)の助手として働く事になった彼女は、父親譲りの医療手腕で献身的に現地の人々への医療活動に従事するが、次第に、厳格な修道院の世界と、それに同化しきれない自分とのギャップに苦しみ始める...

 Nun 3

コンゴを舞台に展開される、神の世界への奉仕と、現世への断ち難い思いとの間で揺れ動く一人の若い女性の物語を、ジンネマンらしく、正攻法で正面から描き切った作品。

 Nun 4

上映時間2時間半の長編で、やや物語が冗長な感じがするのが難点だが、ヘップバーンはあくまで美しく、彼女を観るだけでも価値がある作品。こうして考えてみると、そう思わせる女優は本当に少なくなった事にあらためて気がつかされる。  ⇒ 7/10点

 Nun 5

尼僧物語
The Nun's Story (1959年・アメリカ)
監督: Fred Zinnemann
キャスト: Audrey Hepburn, Peter Finch, Edith Evans, Peggy Ashcroft, Dean Jagger, Mildred Dunnock, Beatrice Straight, Patricia Collinge ほか
上映時間: 151分

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