オペラ: さまよえるオランダ人@メトロポリタン・オペラ

メトでおよそ10年ぶりに上演される「さまよえるオランダ人」、今回は日本期待の大野和士を指揮者に迎えての上演

        Met100430.jpg

2007年の「アイーダ」でメト・デビューして以来、2度目の登場であった大野だが、今回は珍しく、ニューヨーク・タイムズが「劇的な緊張感に欠ける音楽づくり」と厳しい評価だったが…

聴いてみた感想から言えば、決して緊張感に欠ける音楽づくりとは受取れなかった。細部をクリアに響かせることを意識しているように感じられたが、その辺が、前述の評に結びついたのかもしれない。終演後も聴衆からは盛大な拍手を受けていたので、一安心!

            Fliegende Hollander1

歌手陣では、メトではゼンタ役を初めて歌ったデボラ・ヴォイトが素晴らしかった。ヴォイトのワーグナーは、かってメトのローエングリーンで、1幕の終わりにフルオーケストラのトゥっティを突き抜けて声を響かせたのが今でも忘れられない。その後、減量手術を受けたりして、以前に較べかなりほっそりしてしまったせいか、声の威力はやや減退したように感じられたが、相変わらずの美声を聴かせてくれた。

男声陣では、エリック役のステファン・グールド、ダーラント役のハンス=ペーター・ケーニッヒはそれぞれ文句のない歌いぶりであったが、肝心のオランダ人役、ユハ・ウーシタロの出来が今一つ… ウーシタロは2007年の新国立劇場でもオランダ人を歌っていて、その時は結構良かった印象が残っているが、今回は情念の薄い歌いぶりで、充実した他の歌手陣に較べ、いささか影が薄かった。何といってもこのオペラは彼が中心なので、その分感動がやや薄れてしまったのは残念!

但しワーグナー初期のこのオペラは、彼が自分の天才さに酔いしれてしまっているかのような長さ?で圧倒する、後の作品に較べ、格段にとっつきやすく、しかも随所にワーグナーの天才さが現れている作品なので、いつ聴いても良い。
願わくば、もう少し上演頻度を上げてもらえないものだろうか?

        Fliegende Hollander2

        Wagner: Der Fliegende Hollander (1843年初演)
        演出: August Everding
        指揮: 大野 和士
        The Dutchman: Juha Uusitalo
        Daland: Hans-Peter Konig
        Senta: Deborah Voigt
        Erik: Stephen Gould
        2010年4月30日、 メトロポリタン歌劇場

DVD/CD: DVDではハリー・クプファーが演出した85年のバイロイト盤。オペラ全体をゼンタ
       の妄想の中で展開される物語と捉えた独創的な演出で、これを見て初めて、
       素晴らしい演出がいかにオペラの感動を高めるかを認識させられた。 
       ⇒ バイロイト85年上演盤 Hollander Bayreuth 85

       CDでは、名指揮者カール・ベーム71年のバイロイトでのライブ録音を。ベーム
       の引き締まった音楽づくりに加え、トーマス・スチュアートのオランダ人が素晴らしい
       ⇒ ベーム盤(71年)   Hollander Bohm 71
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テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

北米映画興行成績

先週末の順位は以下の通り:

   1.How to Train Your Dragon(第5週、前週2位)
   2. The Back-up Plan(初登場)
   3.Date Night(第3週、前週3位)
   4.The Losers(初登場)
   5.Kick-Ass(第2週、前週2位)
   6.Clash of the Titans(第4週、前週5位)
   7.Death at a Funeral(第2週、前週4位)
   8.Oceans(初登場)
   9.The Last Song(第4週、前週6位)
  10.Alice in Wonderland(第8週、前週9位)

初登場で1位だったHow to Train…が再び1位に返り咲き。5週目で返り咲くのは珍しいが、子供向け映画ながらストーリーの出来が良いことが息の長いヒットの秘訣のようだ。Back-up Planはジェニファー・ロペス主演のロマンティック・コメディだが、期待ほどの成績ではなかったようだ。ロペスは昔はサンドラ・ブロックとロマンティック・コメディ映画でライバルだったと思うが、最近は大分差をつけられているように思う。

上位10作中、How to、Clash of Titans、Aliceと3-D作品3作がランクインしている。特にアリスはアバターに続くメガヒットとなっている。8位のOceansはディズニーによる海洋ドキュメンタリーで、映像の美しさで家族連れを中心に評判が高いようだ。

          How to Train Your Dragon
          How to Train Your Dragon
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テーマ : 映画情報
ジャンル : 映画

映画: しあわせの隠れ場所

実話を元にしたヒューマン・ドラマ。本作で主演したサンドラ・ブロックが見事アカデミー主演女優賞を獲得している。

            Blind Side

物語は、アメリカ南部のテネシー州メンフィスを舞台に、貧困地域で家族の愛情も受けられず、孤独のうちに育った黒人少年マイケルクィントン・アーロン)が、ひょんなことから裕福な白人女性リー・アン(ブロック)と出会い、彼女の家族の一員として迎えられ、アメリカン・フットボール・リーグで2009年のドラフト1位に指名されるまでに成長する姿を描いている。ちなみに原題のBlind Sideとは、アメフトでクォーター・バックの死角となる側(右投げであれば左サイド)の事で、重要なディフェンス・ラインのポジション(正確にいえばポジションではないが)。

あまりにも美談過ぎると感じられる人もいると思うし、映画なので当然そういう描き方をしている面もあるとは思うが、ストーリーにわざとらしさは感じられず、見た後に本当にさわやかな気分になれる映画となっている。色々な問題を抱えているアメリカ社会だが、このように、アメリカン・ドリームが生まれる土壌が確実に生き続けているところが素晴らしいのだと思う。

金髪のかつらをつけて熱演のサンドラ・ブロックだが、出演のオファーが来た時には、自分のイメージと合わないのではないかと思って断ろうとしたらしい。そんな事はみじんも感じられない役になりきった演技で、アカデミー主演女優賞獲得も納得。ジュリア・ロバーツが同じく主演女優賞を獲得した「エリン・ブロコビッチ(Erin Brockovich、2000年・アメリカ)」のように、素直に感動出来る映画でした。  ⇒ 9/10点

しあわせの隠れ場所
The Blind Side (2009年・アメリカ)
監督: John Lee Hancock
出演: Sandra Bullock、Quiton Aaron、Tim McGraw、Lily Collins ほか
上映時間: 129分


          ⇒ エリン・ブロコビッチ Erin Brockovich
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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

NYレストラン: Bar Boulud@Upper West

ミシュラン・ガイドで三ツ星を獲得している「Daniel」をはじめ、ニューヨークを中心にラス・ベガスやバンクーバー等で10のレストランを展開しているダニエル・ブーリューの店。

この店は、フランス・リヨン地域の伝統的なのCharcuturie(ハムやソーセージ類)など、ビストロ料理を提供するカジュアルな店で、リンカーン・センターの前にある。

        Bar Boulud 1

店内はクリーンでモダンな感じ。細長い店内では、パリのレストランでもはやっている、大きな「Communal Table」が目を引く。

メニューは、ダニエルが生まれ育ったリヨン地方を中心とした伝統的なビストロ料理だが、チョイスが本当に多く、フランス伝統料理の百科事典のような感じ。土日の昼はブランチ・メニューも提供される。

我々が伺ったのは土曜日の昼であったので、26ドルのブランチ・メニューを頼むことに。

ブランチ・メニューはまず、ヴィエノワズリーと「アメリカン・コーヒー」(レギュラー・コーヒーの極めてフランス的な言い方~フランスのコーヒーは通常エスプレッソなのでレギュラー・コーヒーはアメリカン・コーヒーと言わなければ出てこない。アメリカ文化を軽蔑している?フランスならではの言い方)で始まる。ヴィエノワズリーは、クロワッサンやパン・オ・ショコラ、パン・オ・レザンなど、どれも小ぶりで極めて美味!

前菜は4種類の選択肢の中から、キッシュメスクラン・サラダをオーダー。キッシュは結構食べ応えがありそう。

        Bar Boulud 2
        Bar Boulud 3

メインはクロック・ムッシューオムレツワッフルなど5種類の選択肢の中から、タリアッテレオムレツをチョイス。久々に外でオムレツを食べたが、ふわふわで美味だった!

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        Bar Boulud 4

デザートは3種類のチョイスからシャーベットをオーダー。日替わりで5~6種類のフレーバーを用意しているようだ。その中から2種類まで選べる。

        Bar Boulud 6

メトのオペラの前だったので、ワインは頼まず、お会計は税金・チップと合わせて一人当たり32ドル。メトのあるリンカーン・センター周辺はコンサート前に気軽に入れて、しかも美味しい店があまりないだけに、この店は貴重な存在。コンサート前の時間帯は予約を取りづらいのが難点だが、これからも通いそうな店でした。

          Bar Boulud
          1900 Broadway (63丁目と64丁目の間)
         Tel. 212-595-0303
         ランチ:  12:30~15:30、コース29ドル/アラカルト
         ディナー: 17:00~23:00、アラカルト/プレシアター・コース42ドル
         ブランチ: 11:00~15:30、コース26ドル/アラカルト
         年中無休
         Zagat評価: 23/20/21
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テーマ : こんな店に行ってきました
ジャンル : グルメ

オペラ: トスカ@メトロポリタン・オペラ

      Flea Market
      天気が良いせいか、リンカーン・センター前の市場も人でにぎわっていました

メトのシーズンも終わりに近づいてきたが、本日は今シーズンの開幕に新演出で上演されたものの、メト史上に残るブーイングに見舞われた「トスカ」。それが尾を引いていたのかどうか分からないが、今回はトスカ役カリタ・マッティラが病気キャンセル。メトのキャンセル禍は止まらない…

代わってトスカを歌うことになったのは、12月にあまり上演されないプッチーニのいわゆる3部作の主役を一人で歌って絶賛されたパトリシア・ラセットカヴァラドッシには今、最も注目を集めている新進テナーの一人であるヨナス・カウフマンスカルピアにはブリン・ターフェルと強力キャストで雪辱を狙う態勢。

          Tosca 1
          ポスターの写真はラセットに差替え済み!

ラセットのトスカはなかなか素晴らしかった。やや線の細さを感じさせる面はあったものの、テレビで見たカリタ・マッティラがやや不安定さを感じさせたのに較べ、より安定した歌唱であったと思う。

さらに素晴らしかったのが、男性陣の歌唱。ヨナス・カウフマンは今回初めて聴いたが、バリトンを思わせるような充実した低声域から張りのある輝かしい高音まで、大器の片鱗を存分に見せてくれた。ドイツ人のテナーでイタリア・オペラを立派に歌える人は初めてではないだろうか。今後も是非聞いてみたいテナーである。

ブリン・ターフェルも貫禄の歌いぶり。スカルピア役は歌い手によって、ともすればいやらしさが全面に出過ぎる場合があるが、トスカを心理的に追いこんでいく様は見応え・聞き応え十分!

また、レヴァインの手術によって彼が指揮する予定であった今季の舞台を全て任される事になったファビオ・ルイジも、ダイナミックさと流麗な旋律の歌わせ方のバランスの取れた指揮で非常に良かった。ドレスデンのゼンパー・オパーの音楽監督を最近辞任したばかりのルイジだが、このたび、メトの主席客演指揮者に任命された。イタリア・オペラもドイツ・オペラもこなせるルイジだけに、来季以降が楽しみだ。

さて、非難の的となったリュック・ボンディの演出。ブーイングに見舞われたプレミエの後も、これまでメトのトスカの演出を担当していたフランコ・ゼッフィレッリに「二流演出家」呼ばわりされたりして、散々であったが、多少の手直しが行われたらしく、それほど違和感のある舞台ではなかった。

      Tosca 2

          Puccini: Tosca (1900年初演) 
          演出: Luc Bondy
         指揮: Fabio Luisi
         Tosca: Patricia Racette
         Cavaradossi: Jonas Kaufmann
         Scarpia: Bryn Terfel
         2010年4月24日、メトロポリタン歌劇場


CD/DVD: DVDでは、映画版であるが、カバイヴァンスカ・ドミンゴ・ミルンズと、ルックス・歌
       ともに申し分のない3人の競演がみられるバルトレッティ盤
        ⇒ バルトレッティ盤 (76年) Tosca Bartoletti 76

        CDでは、カバリエの名唱を聴くことのできるデイヴィス盤を。
        ⇒ デイヴィス盤 (76年) Tosca Davis 76

        イタリアの名指揮者デ・サバタを迎えてのマリア・カラスの録音も素晴らしい!
        ⇒ カラス&サバタ盤 (53年) Tosca Callas 53
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テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

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