コンサート: アルノンクール/ウイーン・フィル ~ 立派な「わが祖国」だが!

今週は上半期の期末(日本の会社なので)にあたり、恐ろしく忙しかった。9月30日、どうにか無事に仕事も終わり、オフィス近くのカーネギー・ホールに、ウイーン・フィルの演奏会を聴きに行く。

コンサート・シーズンの開幕を飾るウイーン・フィル、今回は指揮者にニコラウス・アルノンクールグスタボ・デュダメル、ソリストにラン・ランヨー・ヨー・マを迎えて4回のコンサートを行う。

本日のプログラムはアルノンクールの指揮、当初の予定では、ブルックナーの交響曲第8番の予定だったが、その後変更があり、スメタナの「わが祖国」の全曲演奏となった。

       Harnoncourt 1

ドイツで生まれ、ウイーンで音楽教育を受けたアルノンクールと、スメタナの取り合わせはちょっと意外なように見えるかもしれないが、祖母がチェコの人で、チェコ人の血も流れているらしい。ウイーン・フィルとは2001年のコンサートで既にこの曲を取り上げており、その演奏会をライヴ録音したCDは、音楽の友社主催の2003年度のレコード・アカデミー賞(管弦楽曲部門)を受賞している。

       ⇒ アルノンクール盤 Ma Vlast Harnoncourt


アルノンクールの演奏を生で聴くのはこれが初めて。聴衆の拍手に迎えられて登場したアルノンクール。見ると、指揮台は用意されておらず、楽団員と同じ高さで振るらしい。指揮棒も持っておらず、まるで室内オーケストラを指揮するかのよう。フルオケでは珍しいと思うが、後ろの人は指揮が見えるのだろうか?

今回は休憩をはさんで全6曲を演奏したが、全体的に、細部に気を配りながらも、テンポを比較的ゆっくりとった堂々とした演奏であった。

オーケストラの優秀さとも相俟って、非常に聴き応えのある立派な演奏ではあったものの、私がこの曲に持っているイメージとはちょっと違っているような...あくまで個人的な好みだが、この曲にはもっと勢いと熱っぽさが欲しい!

スメタナ(1824~84年)は、長らくドイツやハンガリー、オーストリアに支配されていたチェコにあって、民族独自のアイデンティに基づいた音楽を生み出した最初の作曲家。1874~9年に作曲されたこの「わが祖国 (Ma Vlast)」も、有名な2曲目の「モルダウ(Vltava)」を始め、6曲全てがチェコに関係のある地名・人物に基づいて作曲されている。チェコ民族の誇りを体現した音楽として、毎年5月に開催される「プラハの春 国際音楽祭」のオープニングに必ず演奏される曲でもある。

こうした成立背景、チェコのクラシック音楽史における位置づけとは切っても切れない曲だと思うのだが...もちろん、こういった情緒的なものとは切り離すべきという意見もあるのだろうが...

ウイーン・フィルも、もしかしたら団員が国際化してきているのか、かっての、一聴したらすぐウイーン・フィルと分かるような個性(艶っぽい弦や木管群の響きなど)が薄れてきているような印象を持った。

     Harnoncourt.jpg
     アルノンクール

       ウイーン・フィルハーモニー管弦楽団演奏会
      指揮: Nikolaus Harnoncourt
      スメタナ: 交響詩 「わが祖国」
      2010年9月30日、カーネギー・ホール


CD: 古くはターリッヒアンチェルに始まり、やはりチェコの指揮者によるものが圧倒的に多いが、その中でも、何といってもチェコの名指揮者、ラファエル・クーベリック(1914~96年)の演奏を。
     Rafael Kubelik
     クーベリック

彼はスタジオ録音・ライヴ録音合わせて5回、この曲を録音しているが、中でも4回目の録音となった、長年の手兵、バイエルン放送響とのライヴ録音が、熱気と表現の精妙さとのバランスが取れていて一番良いと思う。もちろん、89年のチェコ民主化の翌年、当時のハヴェル大統領の強い要請に応えて、52年ぶりに祖国に帰国してプラハの春国際音楽祭でタクトを振ったライヴ録音盤も感動的であるのだが。

       ⇒ クーベリック盤 (84年)  Kubelik.jpg
     
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : ニューヨーク
ジャンル : 海外情報

いよいよメトも開幕!

本日、いよいよメトの今シーズンの開幕。

演目は、数か月前から大きな話題を呼んでいる「ニーベルングの指環」の新演出の第1弾、「ラインの黄金」。

チケットは発売直後に完売となっているが、最近映画館での「ライブ・ビューイング」などにも力を入れているメト、本日は何とタイムズ・スクエアでのライブ・ビューイングを敢行!

ところが、本日のニューヨークはあいにくの雨...

        Rheingold 1

オフィスを退社した後にちょっと寄ってみたが、さすがに座って見ている人はいなかったものの、それでも傘を指しながら立って見ている人達がいた。

     Rheingold 2

しかしながら、ご承知の通り、タイムズ・スクエアはマンハッタンでも最も交通量と人の往来が激しいところで、とてもオペラなんかを聴けるような環境ではありません。晴れていたとしても、この企画、ちょっと無理があるような...

私がようやく入手出来たチケットは来年3月の公演。しばらく我慢です...

     Rheingold 3
関連記事

テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

北米映画興行成績 (2010年9月27日)

先週末は、オリバー・ストーン監督注目の「ウォール・ストリート」の続編が公開された。その結果は:

   1.Wall Street: Money Never Sleeps (初登場)
   2. Legend of the Guardian: The Owls of Ga’Hoole (初登場)
   3.The Town (第2週、前週1位)
   4.Easy A (第2週、前週2位)
   5.You Again (初登場)
   6.Devil (第2週、前週3位)
   7.Resident Evil: Afterlife (第3週、前週4位)
   8.Alpha and Omega (第2週、前週5位)
   9.Takers(第5週、前週6位)
  10.Inception (第11週、前週8位)

“Wall Street: Money Never Sleeps”が順当にトップとなった。興行収入は約19百万ドルと、ほぼ予想通り。当初、今年の4月に公開する予定だったのを、この種の映画への観客動員がより期待出来る秋に持ってきたのが功を奏したようだ。前作に引き続いてのマイケル・ダグラスの他は、シャイア・ラブーフキャリー・マリガンなど、旬の俳優が出演している。当初、ストーン監督は続編は作る気がなかったようだが、リーマン・ショックに端を発した世界的金融危機の発生で、再び続編を制作する気になったらしい。批評家の評判もまずまず。

Money Never Sleeps Legend of the Guardians

2位に入った“Legend of the Guardian: The Owls of Ga’Hoole”は、製作費約80百万ドルをかけた、ワーナー・ブラザーズ期待の3-Dアニメ映画だが、やや期待はずれの出足。

この他の新作では、ディズニーのロマンチック・コメディ、“You Again”が興行収入約8.3百万ドルの5位と、これも期待を下回る成績。もっとも、製作費約20百万ドルと比較的低予算の映画なので、制作費用の回収は出来そうだ。

ランク外の限定公開作品では、ウッディ・アレン監督の最新作“You Will Meet a Tall Dark Stranger”と、2009年の「あなたは私のムコになる」で、サンドラ・ブロックの相手役を好演したライアン・レイノルズ (妻はスカーレット・ヨハンソン)が、イラクで拉致されて生き埋めにされた米国人技術者に扮するスリラー、“Buried”の評判が良いようだ。

You will Meet a Tall Dark Stranger Buried.jpg

関連記事

テーマ : 興行収入ランキング
ジャンル : 映画

コンサート: ニューヨーク・フィル定期演奏会 ~ いよいよコンサート・シーズン開幕!

久しぶりに日中の最高気温が30度に達した今日のニューヨーク。夜は、ニューヨーク・フィルの定期演奏会に出向いた。

本日は、名ヴァイオリニスト、イツァーク・パールマンをソリストに迎えてのメンデルスゾーンのヴァイオリン協奏曲ほかのプログラムで、指揮は昨年音楽監督に就任し、今年が2期目となるアラン・ギルバート

     Avery Fischer Hall 1
     ニューヨーク・フィルの本拠地、エイヴリー・フィッシャー・ホール
     Avery Fisher Hall 2

先ずは、R・シュトラウス(1864~1949年)の交響詩「ドン・ファン」で幕開け。ニューヨーク・フィルは気合い十分といった感じで、最初からエンジン全開、ダイナミックな演奏! ギルバートとのコンビもすっかりこなれて来ているようだ。

そして2曲目、盛大な拍手に迎えられて、パールマンが登場。ギルバートにヴァイオリンを持ってもらい、松葉杖で登場したパールマン、すっかり白髪になり、かなり年をとったという感じ。

そのメンデルスゾーン、1楽章の出だしから、かなり音程が不安定だったが、旋律の流麗な歌わせ方が素晴らしい!音色は相変わらず艶やかで、2楽章に入り、少し落ち着いてきたのか、音程も段々安定してきて、ますます曲の美しさが心に染みてくる!

そして、3楽章。心持早めのテンポで、あっさり弾いているように見えながら、細やかなニュアンスもしっかり付いた素晴らしい弾きぶり! 曲が終わった瞬間にブラボーという歓声と共に、聴衆もスタンディング・オベーションでパールマンの演奏を称えていた。普段は結構クールな感想を述べる事が多い娘も、今回の演奏には感動したと言っていた。今まさにこの曲をさらっているところだが、参考になったのだろうか? 音程はきっちり取って欲しいが...

     Avery Fisher Hall 3
     ホールには、マーラーからバーンスタインメータ、そしてギルバートまで、
     歴代の音楽監督の写真が飾られている。

     Mahler Sym 6
     1949~58年の間、音楽監督であったディミトリ・ミトロプーロスが使用した
     マーラーの交響曲第6番のスコア

休憩時間をはさんで、後半の1曲目はフランスの作曲家、デュティユー(1916年~)の1964年の作品である“Metaboles”。演奏時間約17分のこの曲は、切れ目なく演奏される5つの部分にわかれており、それぞれ、木管、弦、ブラス、打楽器と、異なる楽器群がクローズアップされた後、最後にフルオーケストラでクローズする構成となっており、オーケストラの実力を示すのに好適な現代作品。現代作品ながら、色彩的な響きの感じがまぎれもなくフランスの作曲家らしさを感じさせ、割合親しみやすい音楽。

そして、最後を飾るのが、ニューヨーク・フィルにより1944年に初演された、ヒンデミット(1895~1963年)の「ウェーバーの主題による交響的変容」

この曲は、戦火のヨーロッパを逃れて1940年にアメリカに移住したヒンデミットが、機能的なアメリカのオーケストラに触発されて作曲したオーケストラ作品。4部構成で、オペラ「魔弾の射手」の作曲家、ウェーバー(1786~1826年)のシンプルなメロディを素材に、オーケストラの様々な楽器を駆使して華麗な作品に仕上げたもの。

あまり演奏されない曲だが、ギルバートはオーケストラをフルに鳴らしてダイナミックな演奏を繰り広げ、シーズン初め、オーケストラの実力をショーピース的に示すのにふさわしい作品であった。

今回の演奏を聴く限り、ギルバートとニューヨーク・フィルの関係もすっかり馴染んできた様子。今シーズンのこれからの演奏が楽しみだ。聴衆もスタンディング・オベーションで応えていた。

     Gilbert  NYPO

       第15,057回 ニューヨーク・フィルハーモニック定期演奏会
      指揮: Alan Gilbert
      ヴァイオリン独奏: Itzhak Perlman
      R・シュトラウス: 交響詩「ドン・ファン」、Op.20
      メンデルスゾーン: ヴァイオリン協奏曲ホ短調、Op.64
      デュティユー: メタボール (1964年)
      ヒンデミット: 「カール・マリア・フォン・ウェーバーの主題による交響的変容」
      2010年9月25日、エイヴリー・フィッシャー・ホール


CD: 

ドン・ファンは、R・シュトラウス演奏の第1人者、カラヤンの華麗な演奏を
       ⇒ カラヤン盤   Don Juan Karajan

名盤揃いのメンコンは、ヴァイオリニストの好みで決めるしかないと思うが、好みはやはりハイフェッツ
       ⇒ ハイフェッツ盤 Heifetz.jpg

デュティユーは、ベルリオーズの幻想交響曲とカップリングされているチョン・ミュンフンの演奏を
       ⇒ メタボール   Metaboles.jpg

最後の、ヒンデミットベルリン・フィルの威力が発揮されたアバド盤を。
       ⇒ アバド盤    Abbado.jpg
関連記事

テーマ : ニューヨーク
ジャンル : 海外情報

ニューヨーク・レストラン: Bar Boulud 再び

以前週末のブランチで利用した、リンカーン・センター近くにある Bar Boulud に、今度はプレシアター・ディナーでお邪魔した(9月25日)。

     Bar Boulud 0925 1

リンカーン・センター界隈で使える数少ないレストランとして相変わらず繁盛しているこの店、特にコンサート前の6~8時の時間帯は予約が取りづらい

     Bar Boulud 0925 2
     筒の中にいるような感覚の店内。天井が高いので、狭苦しい感じはない。

さて、この店で提供している42ドルのプレシアター・ディナー・コースは、前菜・メイン・デザートに付き、それぞれ3つの選択肢の中から選ぶ構成。内容は季節に応じて割合頻繁に変わるようだ。

     Bar Boulud 0925 3
     つきだし: 中にチーズを入れたシュー。食欲をそそる味!

先ずは前菜。季節によって中身は変わるようだが、基本的にスープ、サラダ、パテの選択肢から選ぶ。

本日のスープはかぼちゃのポタージュ 。かぼちゃの甘さが良くでたスープで、少量入っているラズベリーのソースがいいアクセントになっている!

     Potage de Potiron

パテはチキン・レバーとポークのパテで、コニャックの風味が効いていて、これも香り高い一品。

     Pate de Campagne
     あやうく、写真撮らずに食べてしまうところでした...

お次はメイン。牛肉のブレゼ(蒸し煮)、赤ワイン風味。赤ワインで軽く煮込んだ牛肉は柔らかく美味だが、もう少しソースがあった方がより良いと感じた。

     Boeuf Braisee

ポークのグリルも、中心部がピンク色に仕上げられた焼き加減が絶妙で、肉質も良く、美味しく頂けた。

     Porc Grille

続いては、デザート。甘すぎず、適度に濃厚なチョコレート・タルトと爽やかなシャーベット盛り合わせ、いずれも美味でした!

Tarte de Chocolat Sorbet.jpg

これで予約がもっと簡単に取れれば...

       Bar Boulud
       1900 Broadway (63丁目と64丁目の間)
      Tel. 212-595-0303
      ランチ:  12:30~15:30、コース29ドル/アラカルト
      ディナー: 17:00~23:00、アラカルト/プレシアター・コース42ドル
      ブランチ: 11:00~15:30、コース26ドル/アラカルト
      年中無休
      Zagat評価: 23/20/21


⇒ ブランチ・メニューの記事 (2010年4月25日)
関連記事

テーマ : ニューヨーク
ジャンル : 海外情報

プロフィール

アルページュ

Author:アルページュ
FC2ブログへようこそ!

カレンダー
08 | 2010/09 | 10
- - - 1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 - -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード