没後100周年: マーラーの生涯をたどって ~ 交響曲第5番

ウイーンでの活動もすっかり軌道に乗った1901年、マーラーは画家グスタフ・クリムトやブルク劇場の監督だったマックス・ブルクハルトらと共に、ベルタ・ツッカーカンドルが主催するサロンに出席し、そこでアルマ・シンドラーと出会う事になる。

       Alma Mahler

画家の父と芸術サロンを主宰する母の間に生まれたアルマは、少女の頃からその美貌と才気で有名だった。またマーラーと出会う前にも、作曲家のアレクサンダー・ツェムリンスキークリムトとも浮名を流すなど、恋多き女性としても有名だった。

       Zemlinsky.jpg
       ツェムリンスキー (1871~1942年)

この才気煥発で美貌のアルマに、マーラーは一目ぼれしてしまい、初めて出会った11月7日から1カ月とたたない11月28日に、早くもアルマに結婚を申し込む。そして、12月7日には秘密裏に婚約を交わす事になるのだった。この時、アルマは22歳、対するマーラーは41歳になっていた。

【交響曲第5番嬰ハ短調】

アルマと出会う前年、オーストリア南部・ヴェルター湖畔マイアーニックに新しく別荘と作曲小屋を建てたマーラー。ここで第4交響曲を完成させると同時に、第5交響曲の作曲に着手した。この後、アルマとの出会い・結婚を経て1902年に完成したこの交響曲は、第1交響曲以来、マーラーとしては久々の独唱・合唱を伴わない純器楽的な交響曲となった。

     Maiernigg.jpg
     マイアーニックの作曲小屋

トランペットによる葬送のファンファーレで始まる第1楽章から、ルキノ・ヴィスコンティの映画、「ベニスに死す」で使用され、あまりにも有名となった、耽美的な第4楽章を経て、パロディ的に扱われたコラール主題と、輝かしいクライマックスを築く壮大なフーガが絶妙に混じり合った第5楽章まで、円熟期のマーラーが、その全てを注ぎ込んだと思わせる完成度の高い作品となっている。

個人的にも、学生時代に初めて演奏したマーラーがこの曲で、オケの練習中も、その音楽の素晴らしさに、身震いするほどの感動を覚えた瞬間が何度もあった事を、今でも懐かしく思い出す(勿論本番も、粗々しくも?感動的でした)...

さて、手元にあったこの曲のCDは以下の8種:

① レヴァイン/フィラデルフィア管 (77年録音)
② シノーポリ/フィルハーモニア管 (85年録音)
③ インバル/フランクフルト放送響 (86年録音)
④ バーンスタイン/ウィーン・フィル (87年録音)
⑤ アバド/ベルリン・フィル (93年録音)
⑥ ブーレーズ/ウィーン・フィル (96年録音)
⑦ ラトル/ベルリン・フィル (02年録音)
⑧ ティルソン・トーマス/サンフランシスコ響 (05年録音)


レヴァイン盤は、彼のマーラーものの中でも比較的初期の頃の演奏で、彼の名が世に広く知られるきっかけともなった盤。今聴いても、ポリフォニックな部分の扱いが素晴らしく明晰で、当時のフィラデルフィア管の優秀さを余すことなく生かした素晴らしい演奏となっている。

⇒ レヴァイン盤 Levine 77

シノーポリ盤は、相変わらずニュアンスに富んだ素晴らしく感興に満ち溢れた演奏で、今回、久しぶりに彼の一連のマーラー演奏を聴いてみて、彼がいかに素晴らしいマーラー指揮者であったかを再認識させられている。

⇒ シノーポリ盤 Sinopoli_20110601114633.jpg

インバル盤は、リリースされた頃は評判の高かった演奏で、特にフランスでは、この曲の決定版とされてきたが、個人的には、今のインバルの方がより陰影の濃い演奏が出来るのではないかと思う。

バーンスタイン盤は、彼の感興の赴くまま(無論そんな風には指揮していないと思うが)に演奏した、という風に聞こえる演奏で、極端なテンポの伸び縮みやデュナミークが頻発。並みのオケだったらとても付いていけないのではないかと思われるが、ウィーン・フィルが指揮者の想いに素晴らしく応えている。但し、私にとっては、マーラーを聴くというよりは、バーンスタインを聴くといった感じ。

アバド盤は、ベルリン・フィル時代の彼のマーラー演奏に共通する、強弱のダイナミクス、特に弱音に重きを置いていると思われる演奏だが、いつもの通り、私にとっては、その弱音にどうも緊張感が不足しているように聞こえてしまい、物足りない。

ブーレーズ盤はテンポをあまり揺らさず、構えの大きい、かつ細部にも気を配った立派な演奏だが、どうも私の抱くこの曲のイメージとは違う感じが...

ラトル盤は、彼がベルリン・フィルの音楽監督に就任した際の記念すべきライブ録音で、オケの合奏力が本当に素晴らしく、これを実演で聴いたらさぞかし感動しただろう、と思わせる演奏なのだが、CDでは、弦楽部がかなりオフに収録されたような録音(少なくとも私の装置ではそう聞こえます)で、感動がそがれる感じ。

トーマス盤は、ダイナミックさと抒情性がバランス良くブレンドされた素晴らしい演奏で、録音も良く、現在の所、私にとってはベスト・ワン。

⇒ トーマス盤 Thomas.jpg

次点は、シノーポリ盤、そしてレヴァイン盤だろうか。
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北米映画興行成績 (2011年5月30日)

メモリアル・デイで3連休となった先週末は、期待の新作2作の公開に、前週公開の「パイレーツ」効果も加わって事前の期待通り、この5月の3連休では史上最高の観客動員数を記録した:

   1.The Hangover Part II (初登場)
   2. Kung Fu Panda 2 (初登場)
   3.Pirates of the Caribbean: On Stranger Tides (第2週、前週1位)
   4.Bridesmaids (第3週、前週2位)
   5.Thor (第4週、前週3位)
   6.Fast Five (第5週、前週4位) 
   7.Midnight in Paris (第2週、前週圏外)
   8.Rio (第7週、前週5位)
   9.Jumping the Broom (第4週、前週7位)
  10.Something Borrowed (第4週、前週8位)

興行収入137.4百万ドルでトップに立ったのは、2009年の大ヒット・コメディ映画、「ハングオーバー! 消えた花ムコと史上最悪の二日酔い」の続編、“The Hangover Part II”

トップに立ったのは事前予想通りだが、興行収入の予想は90~100百万ドルだったので、驚きの成績。R-指定のコメディ映画としても、従来の興行記録を保持していた2008年の「セックス・アンド・ザ・シティ」の57百万ドルを軽く超えた。

出口調査での平均評価もA-と評判が良く、この勢いはしばらく続くかもしれない。

   The Hangover Part II Kung Fu Panda 2

2位に入ったのは、これも2008年の大ヒット・アニメ映画、「カンフー・パンダ」の続編、“Kung Fu Panda 2”で、こちらも興行収入62.2百万ドルと好調だったものの、第1作ほどではなかったようだ。

“Pirates: On Stranger Tides”など、既公開組も好調さを保つ中で、先週限定公開されたウディ・アレン監督の最新作、“Midnight in Paris”が、わずか78館での上映で驚きのトップ10入り。

     Midnight in Paris
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ボストン旅行: 3日目

食中毒から立ち直って迎えたボストン旅行最終日。本日は朝早めに始動し、朝食がてらビーコン・ヒル地区を散策する事に。

     State House
     州議事堂からスタート。もっかNHLのプレーオフ中で、地元ボストン・ブルーインズ
     を応援する“Let’s Go Bruins”の横断幕が

金色に輝くドームが象徴的な州議事堂を中心とするビーコン・ヒル地区は、18~19世紀に建てられたレンガ造りの家が軒を連ね、落ち着いた雰囲気を醸し出しているエリア。

     Pinckney Street 1
     ピンクニー通り
     Pinckney Street 2
     ピンクニー通り
       Pinckney Street 3
       入り口がちょっとしゃれているアパート
               Charles Street 1
               チャールズ通りにはしゃれた店が立ち並ぶ

途中で立ち寄ったスタバも心なしかしゃれた感じで、街並みに溶け込んでいる

      Starbucks at Charles Street

       Acorn Street 1
       石畳の道が印象的なエーコン通り
     Mount Vernon Street
     マウント・バーノン通り

一通り散策を終えた後は、ボストンを後にし、ケープコッドに向けて車に乗り込む。高速6号線をひたすら走り、着いたのはケープコッドの突端にある町、プロビンスタウン

       Provincetown 1

この地は、1620年にメイフラワー号が初めて新大陸に足を踏み入れた場所。開放的な町の雰囲気がそうさせるのか、いつの頃からかゲイのカップルのメッカとなっている。

かっては捕鯨基地として栄え、今も漁港があるこの町には、19世紀にポルトガル領アゾレス諸島からポルトガル系の漁師が多数移り住み、現在でも住民の多くはポルトガル系との事。そのせいか、町中にはポルトガルのパン屋なんかがある。

     Provincetown 2
     Provincetown 3
     やはり名物は揚げパン

     Bubalas 1
     ランチで入ったレストラン。繁盛していたが、ここもゲイのカップルでびっしり
     Bubalas 2
     頼んだ Fried Fish Burger。美味でした!

ひとしきり町中を歩いた後、再び車に乗って、ニューヨークへの帰途につく。途中でリゾート地、チャタムに立ち寄る。

     Chatam 053011 1
     チャタムの象徴の灯台
     Chatam 1
     きれいな砂浜のビーチ
     Chatam 2
     Chatam 3
     町中の家々も洒落た雰囲気を漂わせている

この町で軽く夕食を採り、帰宅の途に。最初はどうなる事かと思った旅でしたが、結構楽しめる旅でした...
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ボストンのレストラン: Bergamot ~ ハーバード大学近くにオープンした人気店

ボストン旅行の2日目、ディナーで訪れたのは、ハーバード大学の近くに昨年オープンし、瞬く間のうちに人気店となった新アメリカ料理の店、 Bergamot

     Bergamot 1

地元マサチューセッツ州出身のオーナー・シェフ、Keith Pooler が2010年にオープンさせたこのレストラン、美味しい料理を手頃な値段で出す店として Zagat のボストン版で2010にオープンしたレストラン・トップ10の2位に入っている

     Bergamot 2

すっきりした内装の店内は天井が高く、リラックスできる空間。

新アメリカン料理(Progressive American Cuisine)と謳っているメニューはアラカルトと39ドルのコースの二本立てだが、今回はアラカルトで頼む事に。

     Amuse_20110622104029.jpg
     アミューズ

アミューズに続いて、まずは前菜:

     Salmon a la Patrick Clark
     Salmon a la Patrick Clark
     Pea and Radish Salad
     Pea and Radish Salad
     Lobster Ravioli
     Lobster Pierogi
     Potato-Crusted Wellfleet Oysters
     Potato-Crusted Wellfleet Oysters

いずれも、地元で採れた新鮮な食材を素直に生かしながら、ひとひねり工夫を凝らしたといった料理で、どれも美味しい!

続いてはメイン:

     Grilled Berkshire Pork Medaillon
     Grilled Berkshire Pork Tenderloin
     Grilled Prime Bavette Steak
     Grilled Prime Bavette Steak
     Crispy Skinned Rhode Island Black Bass
     Grilled Black Island Swordfish
     Monkfish Medaillon
     Pan-Seared Scituate Cod

メインはいずれも、しっかりとしたポーションで、何よりも火の通し方が的確なため、素材の良さが際立つ感じ。特にポークのグリルは、分厚い身が非常に柔らかく仕上がっていて、肉の質の良さを堪能出来た!

最後のデザートは:

     Vanilla-Yogurt Mousse
     Vanilla-Yogurt Mousse
     Taza Chipotle Chocolate Cake
     Taza-Chipotle Chocolate Cake

アラカルトで頼んでも、コースと大きく値段が変わらない良心的な価格設定で、しかもどの料理も美味しいのが人気の秘密なのだろう。私たちが訪れた日もお客さんで一杯だった。勿論家族も大満足!

       Bergamot
       118 Beacon Street、Somerville
      Tel.617-576-7700
      ディナーのみ営業: 5:30PM ~ 10:00 (金・土:~10:30PM)
      アラカルト、コース: 39ドル(但し、火~土は7PMまで)
      Zagat評価: 27/23/26/$51(料理/内装/サービス/予算)
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ボストン旅行: 2日目

前日は、遅くまで体調不良のまま歩き回ったため、さすがに朝は起きれず、本日は遅めに始動...

まずは、ボストン美術館に向かう事に。

     Boston 052911 1
     路面電車のような地下鉄グリーン・ラインに乗り込む
       Green Line 1
       車内は段差があったりして面白い。意外に清潔。

乗り込んだ地下鉄グリーン・ラインは、途中から地面に出て、路面電車のような感じになる(信号でちゃんと停まります)。

     Green Line 2
     ボストン美術館前に到着!

     Museum of Fine Arts
     ボストン美術館

ボストンの実業家たちからの寄贈により、1876に開館したボストン美術館バックベイの現在地にG・ローエルの設計によるギリシャ神殿風の新館に移転したのは、1909年の事。

有名なのは、フェノロサ岡倉天心により築き上げられたコレクションを中心とする東洋美術部門で、特に日本美術のコレクションについては、世界一と言われている。
       Museum of Fine Arts 1

世界一と言われる浮世絵のコレクション。収蔵作品全てを展示している訳ではなく、その時々によって展示作品は入れ替わるようだが、それでも圧倒的な数で、普段あまり見る機会のない葛飾北斎喜多川歌麿らの作品を、子供たち(私も)は興味深げに見ていた。

但し、国宝級といわれる13世紀の絵巻物、「平治物語絵巻第1巻 三条殿焼き討ちの図」は展示されていなかったのか、残念ながら見る事が出来なかった。

ヨーロッパ絵画部門では、やはり印象派の作品のコレクションが充実している。やはり、これらの作品が生み出された時期とアメリカの国力が充実していった時期が一致していたからだろうか。

特に有名なのが、ゴーギャンの代表作、「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか(1898年)」や、ルノワール「ブージヴァルの踊り(1883年)」

Gauguin.jpgゴーギャン「われわれはどこから来たのか われわれは何者か われわれはどこへ行くのか(1898年)」

       Bal a Bougival
       ルノワール「ブージヴァルの踊り(1883年)」

この他、「種まく人(1850年)」をはじめとするミレーのコレクションも結構充実しているのだが、「晩鐘」を知らない(見ている筈なのだが、覚えていない)子供たちには地味に見えてピンと来なかったようだ。

       Le Semeur
       ミレー「種まく人(1850年)」

この他、印象に残ったのが、13~4世紀のスペイン・カタロニア地方のチャペル内部を移植した展示室。

       Catalonia Chapel
       カタロニア・チャペル。5~6世紀頃のイタリアの教会を思わせます。

美術館の中を歩き回り、また著しく体力を消耗したが、気力を振り絞ってチャールズ川をはさんで対岸のケンブリッジにあるハーバード大学に移動。

まずは大学生協、Coop のカフェテリアで休憩兼昼食。

     Coop 2
     生協といえでも風格のある建物です
     Coop 1
     生協内の書店。さすがにアカデミックな雰囲気

ひと息ついた後に、ハーバード大学の現役学生がガイドを務める学内ツアーに参加。

       Harvard Tours

本日ガイドを務めてくれたのは、哲学を専攻している3年生のケン。ジョークを織り交ぜながらの達者な説明で、飽きさせることなく学内を案内してくれる。

       Harvard Tours 2

     Johnston Gate
     学内に幾つかある門のうち、最古のものであるジョンストン・ゲート
     Massachussets Hall
     1720年に建てられた学内最古の建物である、マサチューセッツ・ホール
       John Harvard
       左足に触るとご利益があるといわれている、創設者、ジョン・ハーバードの像
       でも、この像のモデルは別人だそう。
     Memorial Hall
     南北戦争時、北軍に志願して戦死した学生の追悼のために建てられた
     メモリアル・ホール
     Science Center
     現代的な建物のサイエンス・センター
     Memorial Church
     こちらは、両世界大戦で亡くなった学生の追悼のために建てられたメモリアル・チャーチ
     Widener Memorial Library
     タイタニック号の遭難事故で亡くなった卒業生の親の寄贈により建てられた
     ワイドナー記念図書館。大学付属の図書館としては世界最大
     Harvard Lampoon
     正面に見える円筒状の建物は、世界最古の風刺雑誌の一つである
     Harvard Lampoon誌の建物。

さすが落ち着いた雰囲気のキャンパスで、長年積み重ねて来た歴史の重みを随所に感じさせるツアーだった。

     JFK Street
     市内には、ハーバードの卒業生であるJ.F.ケネディ大統領の名前を冠した通りも

炎天下の中のツアーで、こちらは疲労困憊。家族がおみやげものを探している間、近くにあったスタバに避難して、しばし休憩...

涼んでいるうちになぜか急激に体調が回復したため、予定通り、予約していた近くのレストラン、Bergamot に行く事に(普段、胃腸の強さには絶大な自信を持っている私といえども、今回の食中毒はさすがにこたえていたので、直前まで行くかどうか躊躇していたのでした...)。

昨年オープンしたこの店、手頃な値段と美味しい料理で、またたく間に人気店となっている。

     Bergamot 1

料理はどれも素材を素直に生かし、軽やかに仕上げたもので、家族全員が大満足。食べているうちに胃腸の調子がすっかり元に戻った私も勿論大満足!

     Bergamot 3

こうして、無事に2日目も終わったのでした。 (次に続く)
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