ナクソス島のアリアドネ @ メトロポリタン・オペラ
長かったメトのシーズンも今週で終わろうとしている中、本日(5月13日)はR・シュトラウス晩年の傑作、「ナクソス島のアリアドネ」。
今回のアリアドネの指揮は、最近急速に音楽監督・レヴァインの後継者としての評価が高まっているファビオ・ルイジ。
そのルイジ、素晴らしい演奏を聴かせてくれた。レヴァインがどちらかと言えば、オケを存分に鳴らし、分厚いサウンドを聴かせるのに対し、ルイジはもうちょっとすっきりした感じだが、細部に神経が良く届いた音楽を作り出しているように感じる。
室内楽的なオーケストラの用法が目立つこのオペラでも、メトのオーケストラから精妙かつビビッドな演奏を引き出していて、素晴らしかった!
今回の歌手陣は、ツェルビネッタに昨年に引き続き韓国のソプラノ、キャスリーン・キムを起用し、作曲家役は最近メトで人気絶頂のメゾ、ジョイス・ディドナート。アリアドネ/歌姫・バッカス/テナー役にはそれぞれ、ヴィオレッタ・ウルマーナにロバート・ディーン・スミスという布陣。
ツェルビネッタのキムは、昨年同様、安定した歌唱で、コロラトゥーラの至難なアリアである、「偉大なる王女さま 」も無難にこなしていた。演技面でも、コケティッシュな中にふと女性の色気をのぞかせるこの役を、昨年より一層自分のものにして演じていたと思う。
ツェルビネッタ役のキム(右)とアリアドネ役のウルマーナ
アリアドネ/歌姫役のウルマーナ、メゾ・ソプラノでオペラ歌手としてのキャリアをスタートさせただけあって、中声部も充実した声で、満足のいく歌唱だった。
対するバッカス/テナ-役のイギリスのスミス、ヘルデン・テナーの強靭な声が必要とされるこの役を、フル・オーケストラを向こうに回して健闘していたが、もうひとつスケールの大きさが欲しかった。この役をオーケストラに負けないスケールの大きさで歌える人はなかなかいないようだ...
ウルマーナとのデュエットでのスミス
前半のプロローグのみ出演の作曲家役のディドナート、相変わらず達者な歌唱・演技で、人気者らしく観客からも盛大な拍手を浴びていた。
演出は1993年以来続くイライジャ・モシンスキーのもので、特に後半の幻想的な舞台が作品に良くマッチしていると思う。違和感なく作品に入っていける演出。
それにしても、この作品はいつ見ても感動させられる、特に最後のアリアドネとバッカスのデュエットの場面はオペラ的な盛り上がりが素晴らしく、いつまでも音楽の洪水の中にいたい感じ。来年は上演される予定がないのが残念!
Ariadne auf Naxos (1916年改訂版初演、ウイーン宮廷劇場)
演出: Elijah Moshinsky
指揮: Fabio Luisi
The Composer: Joyce DiDonato
The Prima Donna/Ariadne: Violetta Urmana
The Tenor/Bacchus: Robert Dean Smith
Zerbinetta: Kathleen Kim ほか
2011年5月13日、メトロポリタン歌劇場
⇒ 昨年 (2010年2月20日) の感想はこちら
今回のアリアドネの指揮は、最近急速に音楽監督・レヴァインの後継者としての評価が高まっているファビオ・ルイジ。
そのルイジ、素晴らしい演奏を聴かせてくれた。レヴァインがどちらかと言えば、オケを存分に鳴らし、分厚いサウンドを聴かせるのに対し、ルイジはもうちょっとすっきりした感じだが、細部に神経が良く届いた音楽を作り出しているように感じる。
室内楽的なオーケストラの用法が目立つこのオペラでも、メトのオーケストラから精妙かつビビッドな演奏を引き出していて、素晴らしかった!
今回の歌手陣は、ツェルビネッタに昨年に引き続き韓国のソプラノ、キャスリーン・キムを起用し、作曲家役は最近メトで人気絶頂のメゾ、ジョイス・ディドナート。アリアドネ/歌姫・バッカス/テナー役にはそれぞれ、ヴィオレッタ・ウルマーナにロバート・ディーン・スミスという布陣。
ツェルビネッタのキムは、昨年同様、安定した歌唱で、コロラトゥーラの至難なアリアである、「偉大なる王女さま 」も無難にこなしていた。演技面でも、コケティッシュな中にふと女性の色気をのぞかせるこの役を、昨年より一層自分のものにして演じていたと思う。
ツェルビネッタ役のキム(右)とアリアドネ役のウルマーナ
アリアドネ/歌姫役のウルマーナ、メゾ・ソプラノでオペラ歌手としてのキャリアをスタートさせただけあって、中声部も充実した声で、満足のいく歌唱だった。
対するバッカス/テナ-役のイギリスのスミス、ヘルデン・テナーの強靭な声が必要とされるこの役を、フル・オーケストラを向こうに回して健闘していたが、もうひとつスケールの大きさが欲しかった。この役をオーケストラに負けないスケールの大きさで歌える人はなかなかいないようだ...
ウルマーナとのデュエットでのスミス
前半のプロローグのみ出演の作曲家役のディドナート、相変わらず達者な歌唱・演技で、人気者らしく観客からも盛大な拍手を浴びていた。
演出は1993年以来続くイライジャ・モシンスキーのもので、特に後半の幻想的な舞台が作品に良くマッチしていると思う。違和感なく作品に入っていける演出。
それにしても、この作品はいつ見ても感動させられる、特に最後のアリアドネとバッカスのデュエットの場面はオペラ的な盛り上がりが素晴らしく、いつまでも音楽の洪水の中にいたい感じ。来年は上演される予定がないのが残念!
Ariadne auf Naxos (1916年改訂版初演、ウイーン宮廷劇場)
演出: Elijah Moshinsky
指揮: Fabio Luisi
The Composer: Joyce DiDonato
The Prima Donna/Ariadne: Violetta Urmana
The Tenor/Bacchus: Robert Dean Smith
Zerbinetta: Kathleen Kim ほか
2011年5月13日、メトロポリタン歌劇場
⇒ 昨年 (2010年2月20日) の感想はこちら
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