没後100周年: マーラーの生涯をたどって ~ 交響曲第6番

1902年3月9日、マーラーとすでに妊娠3カ月であったアルマはウィーンのカールス教会で結婚式を挙げた。バイタリティに満ち溢れたマーラーと才気煥発なアルマ、二人の強烈な個性の結びつきであった。

     Karlskirche Wien
     1713年に建てられたウィーンの代表的なバロック建築、カールス教会

1901年12月の婚約直後にアルマに送られた手紙で、マーラーはそれまでのアルマの芸術に対する考え方を全否定し、彼女が作曲する事も禁じた上に、こう語っている「これから先、君には僕を幸せにするという、ただ一つの仕事しかない!」。この時代ではある程度やむを得ないとは言え、典型的な関白宣言である。

この手紙を受け取ったアルマは、一晩泣き明かし、マーラーと別れる事も考えたと回想録で語っているが、結局は彼の要求を受け入れ、結婚をする事にする。

この頃、同じ作曲家であるアレクサンダー・フォン・ツェムリンスキーからも求愛されていたアルマだが、彼がしたためた恋文に対しては、手ひどく返信している:

「あなたの望みは成功したいという事なのでしょう。そのためにはお金が必要ですし、お金があればもう少しハンサムな男になれましょう(!)。そのために愛は必要ないのでは?でも私が持っているのは愛だけです。だから、私はあなたにふさわしくないのです。(中略)とりわけ私は、自分の方がより多く与えているというあなたの考えに耐えられません。実際、それは間違いです。常に私の方がより多く与えています。なぜなら私の方が内面的に豊かなのですから!」

       Zemlinsky.jpg
       アルマにこっぴどく振られたツェムリンスキー

このように勝気なアルママーラーのどこに惚れたのであろうか?それは、彼女が回想録でも語っているように、マーラー「私の父を除けば、男性として私に強さを感じさせる初めてのユダヤ人」だったからのようだ。

この頃のヨーロッパ社会では、ユダヤ人に対する偏見はまだまだ根強く、特に男性は女性的だと思われていたらしい。「ヒステリーは女性とユダヤ人男性特有の病気である」と論じる書物まで出版されいていたほど。そういう社会の中で、マーラーのキャラクターは際立っていたようだ。

こうした二人の個性が後に様々な事件を引き起こす伏線になるのであったが、結婚直後、アルマが始めたのは、どちらかと言えば「旧世界」に属するマーラーの友人から彼を引き離し、新しい世代に属する人々に引き合わせる事であった。

アルマと出会った事がきっかけで、マーラークリムトをはじめとするウィーン分離派の画家たちと交流を始め、その成果が、画家アルフレート・ロラーを起用しての「トリスタンとイゾルデ」「ドン・ジョヴァンニ」「フィデリオ」の斬新な舞台上演となって結実する。

まさに、ウィーンでのマーラーの音楽活動は頂点を迎えていたのであった。

【交響曲第6番イ短調】

このように公私ともに充実した生活のさなか、1903年と1904年のふた夏で、彼としては6番目となる交響曲イ短調を作曲する。この頃には、作曲は夏に集中的に行うという「夏休み作曲家」としての生活が確立していたようだ。

初演時のプログラムに「悲劇的」という表題が付けられていた事から、今でもこの名前で呼ばれる事が多いが、その後楽譜が正式出版されていたときにはこの表題は消されているので、こだわる必要ななさそうだ。

但し、初演時に書かれた風刺画で、様々な鳴りもの楽器に囲まれたマーラーが、「しまった。警笛を入れるのを忘れていた!」と叫んでいる有名なものがあり、つけられていた題名が「悲劇的交響曲」だった事から、当時はその表題は広く知られていたようだ。

       Mahler Cartoon
       悲劇的交響曲(1907年):「しまった。警笛を入れるの忘れていた!」

低弦が刻む戦闘的なリズムに乗って行進曲風に始まるソナタ形式の第1楽章は、マーラーの交響曲の中でも特にエネルギッシュで引き締まった音楽。そのような中でも、途中で現れるカウベルの響きがマーラーらしさを醸し出している。

続く第2楽章のスケルツォもティンパニと低弦が刻むリズムに支配された、力強く悪魔的な音楽で、軽快さやユーモアとは無縁の音楽。

続くアンダンテの楽章は、前2楽章とはうって変わって抒情的な音楽で、ヴァイオリンが奏でる優しさに満ち溢れた旋律がこよなく美しい。第5交響曲の第4楽章アダージェットが耽美的な美しさなら、こちらは抒情的な美しさだが、どちらも素晴らしい音楽!

長大な最終第4楽章は、ソナタ形式の可能性を極限まで追求したような壮大が音楽が繰り広げられる中、音楽がこれ以上前進を続けるのを妨げるかのように、展開部における有名なハンマーによる二度の打撃音が、聴き手の心に杭を打ち込むように突き刺さってくる。

勇壮なフィナーレの最後は第三の打撃音がタムタムで奏されて曲が終結するが、音の強さを、最初のハンマー音(フォルテッシシモ=fff)から最後のタムタム(フォルテ=f)まで順に弱めて行く事によって、巨人が力尽きてついに倒れるかのような強烈な印象を聴き手に与えている。

まさに絶頂期にあったマーラーの充実ぶり・独創性が遺憾なく発揮された作品で、この曲が後世の作曲家に与えた影響は大きかったようだ。

自分にとっても、学生時代、恐れ多くもウィーンムジークフェラインザールで演奏した、思い出のこもる作品でです。

さて、手元にあったこの曲のCDは以下の7種:

① カラヤン/ベルリン・フィル (77年録音)
② シノーポリ/フィルハーモニア管 (86年録音)
③ バーンスタイン/ウィーン・フィル (88年録音)
④ テンシュテット/ロンドン・フィル (91年録音)
⑤ ブーレーズ/ウィーン・フィル (94年録音)
⑥ ティルソン・トーマス/サンフランシスコ響 (01年録音)
⑦ ハイティンク/シカゴ響 (07年録音)


カラヤン盤は、この曲を、ベートーヴェンからブラームスに至る西洋音楽の延長上で演奏しているように感じられる。20世紀よりも19世紀を向いている演奏というか...ベルリン・フィルの合奏力を生かした、端正でスタイリッシュな演奏だが、マーラーが作品に盛り込んでいる様々な音の要素や音色が整理され過ぎて、マーラーらしさがそぎ落とされてしまっているような感じ。

シノーポリ盤は、カラヤン盤と較べ、より色彩豊かで、オケから色々な音が聞こえてくるような演奏。相変わらず素晴らしいと思うが、その明るい響きと1楽章のゆったりしたテンポが、この曲が持つ緊迫感を薄めているような気がする。

バーンスタイン盤は、緊迫したテンポで、何かが乗り移ったかのような緊張感溢れる素晴らしい演奏。ここでのウィーン・フィルは素晴らしく美しい。私見だが、この頃が、ウィーン・フィル特有の艶やかさと、現代のオケとしての機能性が高い次元でバランスした時期だと思う。近年のウィーン・フィルはかってのウィーン・フィルらしさがかなり後退しているように感じられるのだが...

⇒ バーンスタイン盤 Bernstein VPO

テンシュテット盤は、1983年にロンドン・フィルの音楽監督に着任して間もなく、喉頭癌を発病し、治療のために退任を余儀なくされた彼が、病が小康状態にあった1991年にロンドン・フィルの指揮台に上った時のライブ録音。但し、巷で言われているような「悲愴さ」はあまり感じられず、思い切った金管の強奏と低弦の強調で、明快かつ豪快な演奏に仕上がっている。相性の良かったロンドン・フィルの熱演と相俟って感興に満ち溢れた素晴らしい演奏。

⇒ テンシュテット盤 Tenstedt LPO

ブーレーズ盤は、比較的ゆったりとしたテンポで、細部もおろそかにしない立派な演奏だが、やはり私が持つこの曲のイメージとは違う感じが...

トーマス盤は、あの9月11日のテロ事件の直後、2001年9月12~15日にサンフランシスコで行われた演奏会のライブ録音。当時の異常な雰囲気を反映してか、緊張感に満ち溢れたスケールの大きな演奏で、かつ音楽の美しさもおろそかにされていない名演で、私にとってのベスト・ワン。ちょっと録音レベルが低いので、音量を上げないといけないが、録音も素晴らしいと思う(特にSACDのマルチチャンネル層)。

⇒ トーマス盤 Thomas SFSO

ハイティンク盤シカゴ響とのライブ録音。ハイティンクはライブでは素晴らしい時はとんでもなく素晴らしい演奏を行ったりする(10数年前、ボストン響を指揮してのブラームスの交響曲第1番の名演は今でも忘れられない。ところがCDはそれ程でもない...)のだが、この演奏はなぜか盛り上がりに欠けるように聴こえる。

というわけで、今のところトーマス盤がベスト・ワン。続いてテンシュテット盤、バーンスタイン番の順だろうか。
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ニューヨークのレストラン: Soleraのタパス・バー

10年ぶりに日本に帰国する事になった知人の送別会で、ミッドタウン・イーストにあるスペイン・レストラン、Soleraのタパス・バーに。

       Solera 1

タパス・バーは店を入ってすぐのエリア。1階の奥と2階はレストランとなっている。

     Solera 2
     タパス・バーのエリア

ここのタパスはやや値段が高めかも知れないが、どれを食べても本当に美味!

     Fried Calamares
     Fried Calamares
       Assorted Embutidos Serrano
       Assorted Embutidos Serrano
     Endive  Escalivada
     Endive & Escalivada
       Croquetas.jpg
       Croquetas
     White Asparagus
     White Asparagus

そして、締めはイカスミのパエリア

     Paella Arroz Negro
     Paella Arroz Negro

今回はちょっとご飯がゆるめでしたが、それでも充分美味でした。

デザートもなかなかいけます。こちらはチョコレート・スフレ・ケーキ

     Delicia de Chocolate
     Delicia de Chocolate

       Solera 
       216 East 53rd Street (At Third Ave.)
      Tel. 212-644-1166
      Lunch: 月~金 12~2:30PM
      Tapas: 月~金 12~11PM、土 5:30~11PM
      Dinner: 月~木 5:30~10PM、金・土 5:30~10:30PM
      日曜定休、アラカルト
      Zagat評価: 21/18/22/$57 (料理/内装/サービス/予算)


⇒ 前回訪問記
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北米映画興行成績 (2011年6月27日)

先週末の注目はPIXARの新作、“Cars 2”。1位は間違いなしと見られていたものの、プレヴューを見た批評家からの評判が芳しくなく、PIXARとしては失敗作になるのではないかと一部で見られていたが:

   1.Cars 2 (初登場)
   2. Bad Teacher (初登場)
   3.Green Lantern (第2週、前週1位)
   4.Super 8 (第3週、前週2位)
   5.Mr.Popper’s Penguins (第2週、前週3位)
   6.X-Men: First Class (第4週、前週4位) 
   7.The Hangover Part II (第5週、前週5位)
   8.Bridesmaids (第7週、前週7位)
   9.Pirates of the Caribbean: On Stranger Tides (第6週、前週8位)
  10.Midnight in Paris (第6週、前週9位)

結果は、興行収入68百万ドルと、事前予想を上回る成績だった。出口調査での平均評価もA-と、見に来たお客さんからの評判は上々で、ヒットメーカーとしてのPIXARの実力を改めて見せつけられた感じ。

   Cars 2 Bad Teacher

31百万ドルと、予想を上回る成績で2位に入ったのが、キャメロン・ディアス主演の低予算映画、“Bad Teacher”で、週末だけで、製作費19百万ドルを回収して余りある成績。

“Bad Teacher”と2位争いを演じると見られていた先週トップの“Green Lantern”は、批評家からの低評価が響いたのか、成績を大きく落とし、3位に後退した。

     Green Lantern
     主演のライアン・レイノルズスカーレット・ヨハンソンの前夫

R指定(17歳未満は親の同伴が必要)の女性向け映画は大きなヒットは望めないという、これまでの常識を覆し、ロングランとなっている“Bridesmaids”に続いてのヒットで、新たな流れとして注目されている。

     Bridesmaids_20110628105052.jpg
     異例のロングヒットとなっている“Bridesmaids”

その他、限定公開では、メキシコからの移民を題材にした“A Better Life”がロスとニューヨークの4館で公開されている。

        A Better Life


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今週を振りかえって

6月20日(月)

男子プロ・ゴルフ・ツアーのメジャー第2戦、全米オープン(於メリーランド州コングレッショナル・カントリー・クラブ)の最終日が昨日行われ、北アイルランド出身で22歳の新鋭、ローリー・マキロイが4日間通算16アンダーという記録的な成績で優勝した。

     US Open 2011

タイガー・ウッズの後を継ぐ天才ゴルファーの評判が高かったものの、これまではなかなかメジャーで優勝出来ず、特に今年のマスターズでは最終日に予想もしない大崩れの末、逆転で優勝を逃していたのだが、今回はその苦い思い出を払しょくして余りあるほどのぶっちぎりの優勝だった。16アンダーというスコアは、この大会のこれまでの記録である2000年のウッズの12アンダーを4打も更新する驚異的な成績で、これから本格的にマキロイ時代になるという評判が高い。

6月21日(火)

マンハッタンで最もおいしいと言われるベーグル屋の一つであるH&H Bagels のアッパー・ウェストの本店が突然閉店となり、ファンから驚きの声が上がっている。原因は家賃が払えなくなったという事らしいが、このベーグル屋は、その評判の割には、オーナーが脱税で逮捕されたりと、最近ゴタゴタ続きだったらしい。但し、ミッドタウン・ウェストのはずれにある店は営業を続けるとの事。

     H  H Bagels1

6月22日(水)

本日は6月いっぱいで閉店となるグランド・セントラル駅Metrazur へ。安心出来る美味しさは相変わらずで、この店が閉店となるのは本当に惜しい! Apple Store になるかどうかは決まってないらしいが、この場所には必要ないと思うのだが...

     Metrazur.jpg

6月23日(木)

本日はクラシック音楽シーズンの最後を飾る、ニューヨーク・フィルの定期演奏会。音楽監督のアラン・ギルバートが選んだのはヤナーチェクの傑作オペラ、「利口な女狐の物語」。巨大なひまわり畑の中にオーケストラを配するという印象的な舞台で、ヤナーチェクのファンタスティックな音楽によくマッチしていた。それにしても、他の誰にも似ていない独創的で本当に素晴らしい音楽!

     The Cunning Little Vixen 1

クルム伊達選手のウィンブルドンでの活躍ニューヨークでも話題になっていて、善戦むなしくヴィーナス・ウィリアムス選手に敗れた試合は、ニューヨーク・タイムズのスポーツ欄の1面でも大きく報道されていて、しかも内容は伊達選手中心で彼女の健闘を称える記事となっていたのがうれしい!

     Wimbledon 2011

6月24日(金)

本日は早朝に家内と娘を空港に送っていった後、オフィスに遅れて出社。今日から主婦業兼任です...

昨日行われたプロ・バスケット、NBAのドラフト会議は、不作と言われる中、昨シーズンにるルブロン・ジェームスを失ったクリーヴランド・キャバリアーズは、全体の1位指名で予想通り、デューク大のポイント・ガード、カイリー・アービングを指名した。

     Kylie Irving

アービング選手、今年は不作という評価をNBAでの活躍で覆す事が出来るだろうか?

6月25日(土)

主婦業2日目。まずは無難な滑り出し。家事を一通りこなした後、夜は Blue Note に出向く。

本日は何と、キャスリーン・バトルが出演。黒人霊歌に始まり、ガーシュウィンやデューク・エリントンらの曲jを歌ってくれたが、チャーミングなソプラノ・ヴォイスは相変わらずで、思わず感動!

     Blue Note 062511

6月26日(日)

勿論ルークの散歩役もこの私。最近公園の芝生の上で転げ回るのが好きらしく、今日もこの通り...

     Luke 062611 1

     Luke 062611 2
     このようにおとなしくしてくれる事はほとんどありません...

金曜日にニューヨーク州上院が33対29という僅差で同性愛結婚の合法化を可決した。全米では7州目となるこの歴史的な出来事を受けて、日曜日に恒例のゲイ・パレードがマンハッタンで行われた。法案の成立を推進したクオモ州知事も参加した今回のパレードは、かってないほどの盛り上がりぶりだったようだ。

     Gay Pride Parade 2011

     Governor Cuomo and Mayor Bloomberg
     英雄のような扱いを受けたクオモ州知事(右)。ブルンバーグ・ニューヨーク市長(左)と

     
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ジャズ: キャスリーン・バトル@Blue Note

今年は名門ジャズ・クラブ、ブルーノートがオープンして30周年を迎えるとの事で、6月はそれを記念した “Blue Note Jazz Festival”が開催されていた。

       Blue Note Jazz Festival 1

フェスティヴァル期間中のプログラムの中で私の目を引いたのは、80年~90年代にかけて一世を風靡したソプラノ歌手、キャスリーン・バトルのライヴ。

     Kathleen Battle Blue Note

バトルが日本で有名になったのは、何といっても1986年にニッカ・ウヰスキーのコマーシャルで、ヘンデルの「オンブラ・マイ・フ」を歌った時。私がクラシックの歌手に興味を持ったのもこの時が初めてで、リリック・ソプラノなる言葉も初めて知った。翌年に、ニッカのCMで彼女が歌った曲を集めたCDが出た時には即座に買いました。

   ⇒ ニッカのCMで歌うバトル

もっとも、正確に言えば彼女の声域はソプラノ・レッジェーロ(またはコロラトゥーラ・ソプラノ)で、それよりやや重めの声のソプラノ・リリコではない事を知ったのはかなり後の事。

この頃からレヴァインカラヤンに認められて、メトザルツブルク音楽祭に出演するようになり、80年代後半から90年代にかけては、メトの常連として、数多くのオペラに出演していた。この頃に、レヴァインの伴奏で、ザルツブルク音楽祭に出演したリサイタルのCDは、今でも私の愛聴盤。当時、音楽評論家の吉田秀和氏もこのCDを褒めていたが、その中で、「可憐な声の一方、濃密なビブラートにはっとさせられる」というような事を述べられていた(記憶ベースなので、文章は正確ではありません)のが印象的だった。

   ⇒ ザルツブルク・リサイタル  Battle Levine Salzburg Recital
     (是非聴いてもらいたい一枚です)

彼女の運命が暗転したのが、1994年。この数年前から、リハーサルなどにおける彼女のわがままな行為が噂になるようになってきたが、この年の2月、メトでの「連隊の娘」のリハーサル中に、共演者が自分が歌っている時に自分の口元を見ているのが我慢ならないとして、「自分が歌っている時は共演者は一切自分の方を見ないようにして欲しい」という要求をするに及んで、当時の支配人であるヴォルピが彼女との契約を一切打ち切る事を発表。以降、彼女はメトを含め、オペラ公演には一切出演していない。

     LElisir dAmore Met
     メト「愛の妙薬」ではパヴァロッティと共演

という訳で、彼女の声を生で聴くのは本当に久しぶり。パリで89年頃にリサイタルを聴いた記憶があるが、それ以来ではなかろうか。

     Battle 062511 1

今回はライヴ・ハウスでの出演なので、勿論クラシックの曲は歌わなかったが、プログラムは、得意の黒人霊歌に始まってガーシュウィンスコット・ジョプリンデューク・エリントンの曲などを披露してくれた。

最初の黒人霊歌では、まだ声が温まっていないのか、ややハスキーな声で、高音の伸びも今ひとつだったが、歌い進むにつれ、声にも伸びやかさが増して行った。相変わらず高声域の声の美しさは健在で、何よりも声がチャーミング!クラシックのリサイタルよりは数段リラックスした感じで、彼女も楽しみながら歌っている感じで良かった!

     Battle 062511 2
     終演後、お客さんの拍手に応えるバトルと伴奏のCyrus Chestnut

客席は、彼女のファンが多数来ているのか、いつにも増して、黒人のお客さんが多く、彼女に惜しみない拍手を送っていたのが印象的でした。

       Blue Note Jazz Festival
      Kathleen Battle: Something to Sing About
      Piano: Cyrus Chestnut
      Spiritual、Gershwin、Jopilin、Ellington
      2011年6月25日、Blue Note



暑かったこの日、近くのワシントン・スクエア・パークの噴水では、子供たちが水遊びをしていました。

     Washington Square 062511
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