映画: 冷たい熱帯魚 ~ 興味深い映画だが、この世界にはついていけません...

近年その作品が日本で高い評価を受けていたため、気になっていた園子温監督。一度見てみたいと思いながら、適齢期の子供たちがいる家ではとても見れそうになく、見る機会がないまま過ぎていたが、今回家族が夏休みを利用して日本に一時帰国したため、見てみる事に。

見たのは、2010年の作品で、各種映画賞を受賞するなど、高い評価を得た2010年の作品、「冷たい熱帯魚」。

       Cold Fish Poster

小さな熱帯魚店を営むおとなしく気弱な社本(吹越満)は、死別した前妻の娘・美津子(梶原ひかり)と現在の妻・妙子(神楽坂恵)の折り合いの悪さに悩まされながら、何とか平凡に暮らしていた。

     Cold Fish 1

そんな中、スーパーでの娘の万引きが見つかり、窮地に陥ったところを、店長である村田(デンデン)に助けられる。スーパーの店長職とは別に大型熱帯魚店を経営する村田、その妻の愛子(黒沢あすか)社本一家はこれをきっかけに仲が良くなるのだが...

     Cold Fish 2

社本一家のすさんだ関係が描かれる映画の冒頭は割合静かな滑り出しだが、村田の登場から雰囲気が何やら怪しくなってきて、殺人に巻き込まれるところから急速にどぎついエログロの世界に突入する。

     Cold Fish 3

特に村田が殺人を重ねて行くようになってからのスプラッター描写が目をそむけたくなる程の凄まじさなのだが、その徹底してどぎつい描写から一種の滑稽さが漂ってくるのが、この監督の特質のよう。出演者も悪ノリと言われかねない程の徹底した演技ぶり。

     Cold Fish 4

日本アカデミー賞の最優秀助演男優賞をはじめ各種の賞に輝いたでんでんは、圧倒的な怪演ぶりだが、それよりも、気の弱い小市民的な男が、狂気の世界に足を踏み入れる事によって、隠されていた狂気が表に出て行く様を演じた吹越満が印象的であった。

     Cold Fish 5

とにかく園監督の個性が徹底的に押し出された映画であるが、個人的にはその描写を通じて人間の深層が描き出されたというようには感じ取れず、やはりどぎつい描写には抵抗感が残る。

     Cold Fish 6

面白い映画ではあるが、もう一度見たいかといえば、No!  ⇒ 7/10点

冷たい熱帯魚
(2010年・日本)
監督: 園子温
キャスト: 吹越満、でんでん、神楽坂恵、黒沢あすか、梶原ひかり ほか
上映時間: 146分
関連記事
スポンサーサイト

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

生誕150周年! ドビュッシーの生涯をたどって: その5 ~ 牧神の午後への前奏曲

ドビュッシーは、1890年2月に作曲家ショーソンの自宅で催された私的演奏会で自作の歌曲集、「ボードレールの5つの詩」が初演された際、象徴派の詩人、ステファーヌ・マラルメと出会った。

     Chez Chausson
     ショーソン邸での演奏会。ピアノに向かっているのがドビュッシー

彼がそれまでに聴いたどの音楽とも違う新鮮な響きに感銘を受けた彼は、ちょうど舞台での上演を計画していた自作の「牧神の午後」の付随音楽として彼に作曲を依頼する事を思い立つ。

     Mallarme.jpg
     マラルメ(1842~98年)

友人に連れられてマラルメの家を訪れたドビュッシーは、アンドレ・ジイドポール・クローデルなど、当代きっての詩人や作家と出会い、大いに刺激を受ける。

「牧神の午後」の上演は91年2月と予告され、すでにドビュッシーが音楽を付ける事も公表されていたが、直前になって上演は延期となり、そのまま立ち消えとなってしまった。

当初ドビュッシーは、この長大な詩につける音楽として、「前奏曲」、「間奏曲」、「フィナーレ・パラフレーズ」の3部構成を考えていたが、結局前奏曲だけで終わってしまった。

舞台での上演は幻となってしまったが、初演は1894年12月22日に、パリ国民音楽協会にてギュスターヴ・ドレの指揮により行われ、大成功を収めたのだった。

【牧神の午後への前奏曲】
Dutoit.jpg
ドビュッシー: 管弦楽曲集
シャルル・デュトワ指揮 モントリオール交響楽団
1989年録音


マラルメの長大で難解な詩は平たく言えば、「シチリアの夏の昼下がり、好色な牧神が昼寝のまどろみの中で官能的な夢想に耽る」という内容なのだが、この詩につけたドビュッシーの音楽では、牧神の象徴である「パンの笛」をイメージする楽器としてフルートが重要な役割を担っている。

牧神を示すテーマは、けだるい雰囲気を醸し出す独特なフルートの嬰ハ音から開始され、このテーマが様々な和声の中で変容していき、夢幻的かつ官能的な、独特な雰囲気を作り出している。

デュトワが当時の手兵、モントリオール響を指揮して録音したこの版は、1990年のレコード・アカデミー大賞を受賞した名盤で、この曲の素晴らしさを余すことなく伝えていると思う。

あまりにもポピュラーな曲ゆえ、個人的には、長い間聴く事がなかったが、久しぶりにこの盤を含む数種のCDを聴いてみて、すっかりその響きに魅せられてしまいました!
関連記事

テーマ : クラシック
ジャンル : 音楽

映画: アーティスト ~ ノスタルジックな気分満点の異色サイレント映画

今年のアカデミー賞の話題をさらったフランス発の異色の白黒サイレント映画。監督は本作主演のジャン・デュジャルダン「OSS117 私を愛したカフェオーレ」(06年)ですでにコンビを組んでいるミシェル・アザナヴィシウス。今年のアカデミー賞では10部門にノミネートされ、作品・監督(アザナヴィシウス)・主演男優(デュジャルダン)・作曲・衣装デザイン賞の5部門で受賞している

       Artist Poster

1927年のハリウッド。サイレント映画のスターとして君臨していたジョージ・ヴァレンティン(デュジャルダン)は、新作の舞台あいさつで新人女優ペピー(ベレニス・ベジョ)と出会う。

     Artist 1

おりしも、映画界はサイレントからトーキーへと変わろうとしていた時期。かたくなにサイレント映画にこだわっていたジョージは次第に落ち目になっていく。

     Artist 2

一方で、ジョージのアドバイスをきっかけにオーディションを経て、ヒロインを務めるほどになったペピーは、トーキー映画のスターへと駆け上がる。

     Artist 3

段々と自暴自棄になっていくジョージ、その姿を見かねたペピーは...

     Artist 4

ひねったところは全くない、ごくオーソドックスなラブストーリーが展開されるサイレント映画だが、出演者の抜群の演技力によって、セリフがなくても、肩が凝らずに楽しめる作品に仕上がっている。

     Artist 5

サイレントの白黒映画といっても、完全にそうなわけではなく、要所で効果的に音声や色を使っていて、かつ過去の名画を彷彿とさせる場面描写など、遊び心も巧みに織り交ぜていて心憎い!

     Artist 6

人間だけでなく、ジョージの飼い犬役で、ジャック・ラッセル・テリアアギーも達者な演技!

     Artist 7

観る人をノスタルジックな気分いっぱいにさせる映画だが、その分やや軽めの作品となってしまっていて、深みとか心を動かせるという事はあまりない。でもリラックスして映画に浸ることが出来ます!  ⇒ 8/10点

     Artist 8

アーティスト
The Artist (2011年・フランス)
監督: Michel Hazanavicius
キャスト: Jean Dujardin、Berenice Bejo、James Cromwell、Penelope Ann Miller、Malcolm McDowell、Missi Pyle、Uggie (犬)
上映時間: 101分
関連記事

テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

ニューヨークのレストラン: La Promenade des Anglais ~ チェルシーのニュー・フェイス!

昨年9月にチェルシーにオープンしたフレンチ・レストラン。

     Promenade 1

オーナー・シェフのアラン・アレグレッティはフランス・ニース出身。ジャック・マクシマンアラン・デュカスなど、名だたるシェフの下で修業をした後、ニューヨークのトップ・レストランの一つ、Le Cirque 2000 の共同エグゼクティブ・シェフとして来米したのが2001年の事。その後2008年に独立して、自分の名前を冠したレストラン、Allegretti をオープン。この店は、オーナー・シェフとして2つめの店だが、高級店であった最初の店に較べて、よりカジュアルな路線の店のようだ。

     Allegretti_20120812103919.jpg

さて、ニースの有名なボードウォークを店名にした事からも分かる通り、この店で提供されるのは、地中海料理の影響を受けたフレンチ。店内も、地中海地方の雰囲気を漂わせている。

     Promenade 2

地中海地方のフランス料理を提供するこの店のディナーではコース・メニューは提供されておらず、アラカルトで注文。まずは前菜:

【Salade Nicoise】

     Nicoise.jpg

本日の前菜として、大好物のニース風サラダがあったので、迷わず注文。さすがにツナ缶や缶詰のオイル・サーディンなどは使っておらず、新鮮な食材のみを使ったワンランク上の味になっている。

【Tuna Crudo; Hearts of Palm、Citrus、Fine Herbes】

     Tuna.jpg

【Veal Tartare; Whole Grain Mustard、Salsa Verde、Crispy Flat Bread】

     Veal.jpg

お次はメイン:

【Free Range Chicken; Roasted Asparagus、Fingerling Potatoes、Scallions、Morel Mushrooms、Scallion Sauce】

     Chicken.jpg

身が引き締まったチキンのロースト。ネギのソースというのが面白い。シンプルで旨いが、もうひとひねりしてもらいた気もする。

【Whole Branzino a La Plancha; Lemon Olive Oil】

     Branzino.jpg

こちらも極めてシンプルな一品で、新鮮なスズキの旨さを堪能出来る。

【Black Tagliolini; Shrimp and Sea Urchin、Chili、Preserved Lemon、Bottarga】

     Tagliolini_20120812144150.jpg

こちらはイカスミを練り込んだタリオリーニ。ウニや海老などの魚介類にカラスミも添えて、なかなか贅沢な一品に仕上がっている。

デザートは:

【Guanaja Chocolate Mousse; Salted Caramel、Fuellitine、Marshmallow、Hazelnut Gelato】

     Chocolate.jpg

濃厚なチョコレート・ムース。中にマシュマロが入っていて、口に入れた時の食感が面白い。

全体的に、さすがと思わせる洗練された料理を楽しむする事が出来る店で、シェフの実力の高さを感じさせ、また来たいと思わせる。私達が訪れた日はほぼ満席の盛況ぶりであったが、ややノイズ・レベルは高めだろうか。

La Promenade des Anglais
461 23rd Street (Btw 9th & 10th Ave.)
Tel.212-255-7400
ディナー: 5:30~11PM(月~木); 金・土: ~12AM; 日: ~10PM
ブランチ: 土: 11AM~3:30PM; 日: 11AM~3PM
アラカルト
関連記事

テーマ : ニューヨーク
ジャンル : 海外情報

ラデュレの新店がソーホーにオープン!

昨年、アッパー・イーストニューヨークで初めての支店をオープンさせたパリの名店、ラデュレ。このほど、今年9月頃をめどにソーホーに第2店をオープンさせる予定である事が明らかになった。

     Laduree Madison
     昨年オープンしたアッパー・イースト店

現在、イタリアン・レストランが営業している場所にオープン予定の第2店、同社社長のDavid Holder氏によれば、新店は「これまでで最も美しい店になる」との事。まず最初にブティック・スペースの営業を先行させた後、約200席のティー・ルームとレストランが続いてオープンする予定。

     Laduree Soho
     新店の予定地

これに加え、屋外のテラス席も設けられる予定との事。フランスから二人のシェフを派遣するとの事だが、看板のマカロンとチョコレートだけは、フランスから直送されるらしい。どのような店になるのか、今から楽しみですね!

Laduree Soho
398 West Broadway (@ Broome Street)、SoHo
関連記事

テーマ : ニューヨーク
ジャンル : 海外情報

プロフィール

アルページュ

Author:アルページュ
FC2ブログへようこそ!

カレンダー
05 | 2012/06 | 07
- - - - - 1 2
3 4 5 6 7 8 9
10 11 12 13 14 15 16
17 18 19 20 21 22 23
24 25 26 27 28 29 30
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード