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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア 〜 鬼才ヨルゴス・ランティモス監督らしい個性的な最新作

「ロブスター」(15年)で注目を集めたギリシャの異才、ヨルゴス・ランティモス監督の最新作で、故国ギリシャの三大悲劇詩人エウリピデスの代表作の一つ、「アウリスのイピゲネイア」をベースにしていて、「ロブスター」に引き続き、コリン・ファレルが主演している。2017年のカンヌ国際映画祭でプレミエ上映された後、全米では2017年10月に限定公開されている。

      Killing of Sacred Deer Poster

シンシナティ郊外の高級住宅街に住む心臓外科医のスティーヴン(ファレル)は、同じく医者の妻アナ(ニコール・キッドマン)、二人の子供と満ち足りた生活を送っていた。

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ところが、ある日スティーヴンマーティン(バリー・コーガン)という見知らぬ少年を家に連れてきたことをきっかけに、子供たちが突然歩けなくなり目から赤い血を流すなど、家族に異変が起こり始める…

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「アウリスのイピゲネイア」は、狩りの女神アルテミスの逆鱗に触れたため、長女イピゲネイアを生贄に捧げなければならなくなったアガメムノン王の苦悩を描いた悲劇だが、本作はこのストーリーを現代に移し替えてサイコホラーの衣をまとわせた、といった趣の、この監督らしい異色作。

 Deer 3

とにかくマーティン役のコーガンが粘着質的な不気味さを存分に発揮した怪演で、ホラー映画らしい雰囲気を盛り上げている。彼の演技がなければ、ホラーらしさは意外に感じられなかったかも知れないと思わせるほど。

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夫婦役のファレルキッドマンも、何不自由ない満ち足りた生活から一転、理解不能な極限状況に追い込まれ、次第に狂気に駆られていく様を好演。しかし、ファレル「今年一番の後味の悪い映画」とコメントしただけあって、後味の悪さも格別で。それが好悪を分けるかもしれない。私はちょっと好きになれない方でした。他にアリシア・シルヴァーストーンが出演。  ⇒ 6/10点

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聖なる鹿殺し キリング・オブ・ア・セイクリッド・ディア
The Killing of a Sacred Deer (2017年・アイルランド/イギリス/アメリカ)
監督: Yorgos Lanthimos
キャスト: Colin Farrell, Nicole Kidman, Barry Keoghan, Raffey Cassidy, Sunny Suljic, Alicia Silverstone, Bill Camp ほか
上映時間: 121分


⇒ ランティモス監督の前作「ロブスター」(15年)感想

⇒ ファレル出演作「ファンタスティックビーストと魔法使いの旅 」(16年)感想太鼓判!!

⇒ キッドマン出演作「LION/ライオン 〜25年目のただいま〜」(16年)感想

⇒ コーガン出演作「ダンケルク」(17年)感想 太鼓判!!
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テーマ : 映画感想
ジャンル : 映画

ラ・ボエーム @ メトロポリタン・オペラ

今回は、メト屈指の人気演目、ラ・ボエーム

 Boheme 01

毎シーズン、多彩なキャストを起用して我々を楽しませてくれるのだが、今シーズンはミミに人気急上昇中のソーニャ・ヨンチェヴァを起用!

      Boheme 02

新演出のトスカのタイトル・ロールなど、最近メトで主要な役を相次ぎ務め、すっかり人気者となった感のあるヨンチェヴァミミ、すでに2014〜15年シーズンに、病気降板のクリスティーナ・オポライスの代役としてこの役のメト・デビューを果たしているが、今回は持ち前の温かい美声を生かした細やかな情感に満ちた歌唱で、その時より一段と成長した姿を見せてくれた!

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ロドルフォ役はこちらも今シーズンは出演頻度が高いマイケル・ファビアーノ。やや暗めの声質(見た感じも-笑)のテナーだが、こちらはまずまず無難な出来。でもやはりこの役には明るく情熱的な声の人が向いているのではないかと思う。

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もう一対の恋人たち、ムゼッタマルチェッロ役はスザンナ・フィリップスルーカス・ミーチェムフィリップスムゼッタメトではもう定番といった感じで、華やかな歌声、コケティッシュな演技はこの役にぴったり!

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対するミーチェム、2007年にメト・デビューした彼にとってこの役は多分初めてのメトでもメジャーな役となったが、まず無難な出来。

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指揮はベテラン、マルコ・アルミリアート。今シーズンの彼はメトでは八面六臂の大活躍で、今回も相変わらずの手堅いサポートぶり。

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フランコ・ゼッフィレッリの舞台はメトでも最も愛されている舞台の一つで、このオペラには本当にぴったり。2幕の華やかさには毎度ウキウキさせられてしまう。当日の公演は1,317回目で、もちろんメトでは最多!

 Boheme 12

La Boheme (1896年、トリノ・レジオ劇場にて初演)
演出: Franco Zeffirelli
指揮: Marco Armiliato
Mimi: Sonya Yoncheva
Rodolfo: Michael Fabiano
Musetta: Susanna Phillips
Marcello: Lucas Meachem
Schaunard: Alexey Lavrov
Colline: Matthew Rose
Benoit/Alcindoro: Paul Plishka ほか
2018年2月24日、メトロポリタン歌劇場


⇒ 2016-17年シーズンの公演感想

⇒ ゼッフィレッリ演出のメト「トゥーランドット」感想

⇒ ヨンチェヴァ・ファビアーノ出演のメト「椿姫」感想

⇒ フィリップス出演のメト「遥かなる愛」感想

⇒ アルミリアート指揮のメト「イル・トロヴァトーレ」感想
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テーマ : オペラ
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