生誕200周年記念! ワーグナーの生涯をたどって: その8 〜 バイロイト

1871年11月、ワーグナーバイエルン王国北部にあるバイロイト郊外の丘に、長年の念願であった祝祭劇場建設の許可を取得し、様々な障害はあったものの、1872年4月には、ついに建設が始まる。

 Bayreuth 1
 バイロイト祝祭劇場

建設開始と同時に一家と共にバイロイトに移住したワーグナーは、自身の59歳の誕生日に行われた起工式に立ち会った後、コージマの提案により開かれた記念演奏会でタクトを取り、ベートーヴェンの第九を演奏した。バイロイト音楽祭第九を演奏する習慣は、毎年ではないものの、今に至るまで続いていて、古くは世紀の名演と言われる1951年のフルトヴェングラーの演奏などが有名である。

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 フルトヴェングラー

劇場の設計は、盟友のゼンパーとこの頃仲違いしていたため、宮廷建築家のヴィルヘルム・ノイマンが担当したが、この劇場の特徴である、古代ギリシャ劇場に倣った扇形の客席や、舞台下に潜り込んだオーケストラ・ピットなどはワーグナーの発案であった。建物は1873年8月に完成したが、費用の大部分はルートヴィヒ2世の援助に頼り、予算に制約があったため、ワーグナーがこだわった舞台周りの設計を除いては、建物自体も、フォワイエも簡素なものだった。

 Bayreuth 2
 祝祭劇場内部

1873年9月には、ブルックナーが自作の交響曲第3番の楽譜を携えてワーグナーを訪ねてくる。楽譜を見たワーグナーはこれを気に入り、後にブルックナーベートーヴェン以降最大の交響曲作曲家と呼ぶようになる。この曲はワーグナーに献呈されて、ワーグナー交響曲と呼ばれるようになる。

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 ブルックナー

ワーグナーが心血を注いだ「ニーベルングの指環」は、1874年11月に遂に完成する。作曲を開始してから実に26年もの歳月が経っていた。バイロイトでの初演は1876年8月。オーケストラのメンバーはドイツ各地から集結した混成メンバーで、この音楽祭のためだけにオーケストラを編成する伝統は今に至るまで続いている。

 Bayreuth Festival Orchestra
 舞台上の祝祭オーケストラ
 
ルートヴィヒ2世はもちろん、ドイツ皇帝ヴィルヘルム1世ブラジル皇帝ドン・ペドロ2世をはじめとする各国国王や、リストブルックナーチャイコフスキーら大作曲家も列席した公演は大成功となった。しかし上演の水準は褒められたものではなく、ワーグナーもかなり落胆したようで、周囲の友人たちも彼が気を取り直すよう、かなり励ましたようだ。

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 初演時の舞台

1877年には、バイロイトでの初演を見て感激したライプツィヒ歌劇場の音楽監督アンジェロ・ノイマンの奔走によってライプツィヒでの上演が実現するが、これはなかなかの水準であったことが伝わっている。ミュンヘンでは翌1878年に、ルートヴィヒ2世のためだけのプライヴェート上演という形で公演が行われた。しかし肝心のバイロイトでは、初演が大赤字に終わったせいもあって、再演の目処が立たない状況が続いていた。

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 ライプツィヒ歌劇場

そのような中、度重なる心臓発作に見舞われ、健康状態が悪化していた64歳のワーグナーは、最後の大作となる「パルジファル」の作曲に取りかかったのだった。

楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
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ワーグナー: 楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」
ハンス・ザックス: ディートリッヒ・フィッシャー=ディースカウ (Br)
ベックメッサー: ローラント・ヘルマン (Br)
ヴァルター: プラシド・ドミンゴ (T)
エヴァ: リゲンツァ (S) ほか
オイゲン・ヨッフム指揮ベルリン・ドイツ・オペラ管弦楽団・同合唱団
1976年録音


1867年10月に完成したワーグナー 円熟期のこのオペラは、彼の他の作品とは大きく異なり、健康的な活力に満ち溢れた異色の喜劇作品。中世のニュルンベルクを舞台としたこの作品、喜劇とはいっても、そこはワーグナー、彼の他の作品同様、長大で重厚な作品に仕上がっている。

 Bayreuth 2010
 2010年のバイロイト音楽祭での舞台

オペラを通じて、主人公で、16世紀のニュルンベルクに実在したというハンス・ザックス、若者ヴァルターの人間的成長も織り込まれているこの作品、それぞれに美しく充実した音楽が与えられており、円熟期のワーグナーの音楽を心ゆくまで堪能することが出来る。

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 メトの舞台

また、狂言回し的な役を演じるベックメッサーを通じて、当時の代表的な音楽批評家で、反ワーグナー派のドンとみなされていたハンスリックを徹底的に揶揄しているのも特徴だが、当のハンスリックはこの作品について意外に冷静な評価を下していたと伝えられる。

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 ウィーン国立歌劇場の舞台

オイゲン・ヨッフムベルリン・ドイツ・オペラとともに1976年に録音したCDは、ザックスにドイツ・リートの巨匠フィッシャー=ディースカウを起用している他、プラシド・ドミンゴなど異色のキャスティングで話題を呼んだ録音だが、オーケストラの重厚な響きは比類なく、素晴らしい演奏となっている。
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