紳士協定 〜 アメリカにおけるユダヤ人差別を描く秀作

社会派映画の巨匠、エリア・カザンの1947年の作品で、ローラ・Z・ボブスンのベストセラー小説が原作。米国では1947年11月に公開され、高い評価を得た後、翌年のアカデミー賞では8部門にノミネートされ、作品賞・監督賞・助演女優賞(セレステ・ホルム)の3部門で受賞している。名作として知られながら、日本での公開は米国より40年遅れた1987年であった。

      Gentlemans Agreement Poster

妻に先立たれて、幼い息子トミー(ディーン・ストックウェル)、老いた母親(アン・リヴィア)の3人で暮らす雑誌ライター、フィル・グリーン(グレゴリー・ペック)。彼はある週刊誌の編集長から、反ユダヤ主義に関する記事を依頼され、カリフォルニアからニューヨークに引っ越してくる。

 Gentleman 1

取材を進めるために、彼はグリーンバーグという偽名を使ってユダヤ人になりすまし、ユダヤ人社会に入り込む事によってその実態を探ろうとする。

 Gentleman 2

だが、彼がグリーンバーグと名乗ったとたんに、周囲の非ユダヤ人の人々の反応が変わる。一家が住むアパート、母のかかりつけの医者、息子の学校、高級ホテル…。米国社会で、暗黙の「紳士協定」は至る所に存在しており、それが原因で編集長の姪で彼の婚約者のキャシー(ドロシー・マクガイア)とも溝が出来てしまう...

Gentleman 3

自身もユダヤ系アメリカ人であったカザンが、当時のアメリカ社会に厳然と存在していたものの、長らくそれについて語る事はタブーとされてきたアンチ・セミティズム(ユダヤ人排斥感情)について正面から取り上げた、いかにも社会派映画監督ののカザンらしい作品。

 Gentleman 4

最初は記事になりそうなネタという軽い気持ちで取材を始めた主人公フィルが、ユダヤ人に対する差別を目の当たりにして次第に正義の感情に目覚めていく様をペックが熱演している。こういった役はまさにペックにうってつけで、残念ながらノミネートされたアカデミー主演男優賞の受賞はならなかったが、素晴らしい演技! 彼を支える共演陣も、ユダヤ人の友人を演じるジョン・ガーフィールドマクガイアら、充実した演技で盛り立てている。

 Gentleman 5

アメリカでの黒人に対する差別問題の歴史は幅広く知られているが、第2次大戦後もユダヤ人にたいして、厳然と差別が存在していた事実は、この映画を見るまで知らなかった。映画としても優れた作品だが、そういった観点からも印象に残る作品。  ⇒ 8/10点

紳士協定
Gentleman's Agreement (1947年・アメリカ)
監督: Elia Kazan
キャスト: Gregory Peck, Dorothy McGuire, John Garfield, Celeste Holm, Anne Revere, June Havoc, Albert Dekker, Jane Wyatt, Dean Stockwell, Nicholas Joy, Sam Jaffe, Harold Vermilyea, Ransom M. Sherman, ROy Roberts, Kathleen Lockhart, Curt Conway, John Newland, Robert Warwick, Louise Lorimer, Howard Negley, Victor, Kilian, Frank Wilcox, Marlyn Monk, Wilton Graff, Morgan Parley ほか
上映時間: 118分


⇒ ブルックリンの片隅で健気に生きる移民の姿を描いたカザン監督・マクガイア出演の「ブルックリン横丁」(45年)感想 〜 傑作!!!

⇒ ガーフィールド出演作「郵便配達は二度ベルを鳴らす」(46年)感想
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