オペラ: クリングホッファーの死 @ メトロポリタン・オペラ

今シーズンのメトの新演目で最も注目を集めているオペラ、「クリングホッファーの死」の公演最終日に出かけた。

 Met 1

現代のアメリカを代表する作曲家の一人、ジョン・アダムズが、1985年に発生した、パレスチナ解放戦線のテロリストによる豪華客船のシー・ジャックの際、乗客だった一人のユダヤ人が殺害された事件を題材に、1991年に作曲したオペラ。1991年3月にブリュッセルモネ劇場で初演されて以来、アンチ・セミティズムを助長するとして、各地でユダヤ人団体による抗議運動が起きるなど、物議を呼んでいる作品だが、今回の上演(メト初演)に際しても、ユダヤ系団体の抗議により、予定されていたライブ・ビューイングが中止されたり、公演初日に劇場前で抗議運動が展開されるなど、話題に事欠かない注目の舞台となっている。

 Met 3

この日のリンカーン・センターは、上演中止を訴えるプラカードを掲げた人を2~3人見かけたものの、それ以外はごく平穏な雰囲気だった。

      Met 2

フィリップ・グラステリー・ライリーらと共にミニマル・ミュージックを代表する作曲家として知られているアダムズ。このオペラでも、同じ音型が繰り返される中で微妙に変化していくミニマル・ミュージックの特徴が十分に感じられながら、極限状態にある、シージャックされた人・している人双方の心理の移り変わりを見事に表現していて印象的。

 Met 4

特に、長らく定住の地を持てなかったイスラエルの民、逆にイスラエル建国と共に難民となってしまったパレスチナの民それぞれが、苦しみの心情を切々訴える合唱のシーンが要所に織り込まれていて、これが非常に心に訴えてくる。

 Met 5

指揮のデイヴィッド・ロバートソンをはじめ、クリングホッファー役のアラン・オピをはじめとする歌手陣も、極限の心理状態におかれたそれぞれの登場人物の心情を的確に歌い現わしているように感じた。

 Met 6

先日の「ムツェンスク郡のマクベス夫人」では6割ほどの入りで驚いたが、本日は話題性もあってか、満席だった。上演自体も相変わらず高水準!

 Met 7

The Death of Klinghoffer (1991年、ブリュッセル・モネ劇場にて初演)
演出: Tom Morris
指揮: David Robertson
Leon Klinghoffer: Alan Opie
The Captain: Paulo Szot
Marilyn Klinghoffer: Michaela Martens
Swiss Grandmother: Maria Zifchak
Moloi: Sean Panikkar
Mamoud: Aubrey Allicock
Rambo: Ryan Speedo Green ほか
2014年11月15日、メトロポリタン歌劇場


⇒ アダムズの「中国のニクソン」感想
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