少年は残酷な弓を射る ~ 愛憎の果てに救いはあるのだろうか?

イギリスの小説賞であるオレンジ賞を受賞したライオネル・シュライバーの2003年の同名小説の映画化作品。2011年のカンヌ国際映画祭でプレミエ上映された後、全米では同年12月に限定公開されている。

     Kevin Poster

自由に生きる生活を謳歌してきた作家のエヴァ(ティルダ・スウィントン)だったが、妊娠したのをきっかけに、作家としてのキャリアをあきらめ、子育てに専念せざるを得なくなる。

 Kevin 1

子煩悩な夫のフランクリン(ジョン・C・ライリー)は大喜びだが、自由だった作家生活への未練が残るエヴァは、息子のケヴィン(エズラ・ミラー)と言いようの無い溝が出来てしまっていた。

 Kevin 2

やがて、一家には娘セリア(アシュリー・ゲラシモヴィッチ)が生まれるが、美少年に成長したケヴィンは、父親が見ていない所で母親や妹に対して嫌がらせを行うようになり、遂には取り返しのつかない事件が起きてしまう...

 Kevin 3

映画は、事件発生後のエヴァの孤独で荒んだ日常を描きながら、ケヴィンが生まれてから事件発生までの出来事をフラッシュバックのように追っていき、何が起こったかが次第に明らかになっていくという形を取っていて、一種のサスペンス仕立てになっているところが興味深い。

 Kevin 4

それまでの生活が決定的に破局してしまっても、人生はなお続くという、恐ろしい事実が淡々と描かれていて、見ていてつらい気分になってくる。原題は、「ケヴィンの事について、話合わなくてはいけない」だが、世捨て人のような生活を送っているエヴァの姿からは、ケヴィンの事について、なぜ夫ときちんと話し合わなかったのだろうかという、彼女の底知れない悔悟の念が伝わってくる。

 Kevin 5

映画は最初から最後まで、一貫してエヴァの視点で描かれているが、恐ろしい事件を引き起こしたケヴィンはどうだったのだろうか。それが画面から伝わって来ない(子供の気持ちが分からない)ところが、やはり自分自身も親であるだけに、見ていて辛くなってくる。

 Kevin 5

エヴァ役のスウィントンケヴィン役のミラーはそれぞれの役のキャラクターを十全に表した演技だが、その分、救いの無さがより痛切に感じられて、見ているのが辛い映画でした。  ⇒ 7/10点

少年は残酷な弓を射る
We Need to Talk About Kevin (2011年・イギリス)
監督: Lynne Ramsay
キャスト: Tilda Swinton, Ezra Miller, John C. Reilly, Ashley Gerasimovich, Jasper Newell, Rocky Duer ほか
上映時間: 112分


⇒ スウィントン主演作「オンリー・ラヴァーズ・レフト・アライヴ」(13年)感想

⇒ ライリー出演作「おとなのけんか」(11年)感想 ~ オススメ!

⇒ ミラー出演作「ウォールフラワー」(12年)感想 ~ オススメ!
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