イドメネオ @ メトロポリタン・オペラ

3月も後半に入り、いよいよ終盤に入ったメトのシーズン。この日はモーツァルト25歳の時のオペラ、イドメネオ

 Idomeneo 01

メトで残り少なくなった、名演出家ジャン=ピエール・ポネル演出によるこの舞台、ジェームズ・レヴァインの指揮で、歌手陣はマシュー・ポレンザーニのタイトル・ロールを始め、中堅どころが揃えられている。

      Idomeneo 02

昨年12月のナブッコでも復調ぶりを感じさせてくれたレヴァイン、今回のイドメネオでも、生命感に溢れた、生き生きとした演奏で、モーツァルトの流麗な音楽を存分に堪能させてくれた。作曲当時、流行遅れとなりかけていたオペラ・セリエの形式で書かれた作品ながら、モーツァルトらしい、素晴らしい音楽が詰まっている事を今回初めて実感させられた!

 Idomeneo 03

歌手陣は、ノーブルにイドメネオ役を歌ったポレンザーニをはじめ、イダマンテ役イギリスのメゾ、アリス・クートイリヤ役ナディーヌ・シエラら、いずれも好唱。特に、このオペラ随一の強いキャラクターで印象的なアリアを割り当てられているエレットラ役エルザ・ファン・デン・ヒーヴァーの迫力ある歌唱が印象的だった。

 Idomeneo 04
 Idomeneo 05
 Idomeneo 06
 Idomeneo 07
 Idomeneo 08
 Idomeneo 09
 Idomeneo 10

時代設定をギリシャ神話の時代から、18世紀に移し替えたポネルの演出は、オペラ・セリアの雰囲気を良く再現している感じ。もっと上演頻度が上がっても良いオペラだと思うのだが、私が行った日で、わずか73回目の上演でした。

 Idomeneo 11

Idomeneo (1781年、ミュンヘン・宮廷劇場にて初演)
演出: Jean-Pierre Ponnelle
指揮: James Levine
Idomeneo: Matthew Polenzani
Idamante: Alice Coote
Ilia: Nadine Sierra
Elettra: Elza van den Heever
Arbace: Alan Opie
Voice of Neptune: Eric Owens ほか
2017年3月25日、メトロポリタン歌劇場


⇒ ポレンザーニ出演のメト「ロベルト・デヴリュー」感想

⇒ クート出演のメト「ばらの騎士」感想

⇒ レヴァイン指揮のメト「ナブッコ」感想

テーマ : ニューヨーク
ジャンル : 海外情報

フィデリオ @ メトロポリタン・オペラ

いつの間にかシーズンも終盤に入ったメト。本日はベートーヴェン唯一のオペラ、「フィデリオ」

 Fidelio 01

2006年以来、およそ11年ぶりの上演となった今回、 レオノーレアドリアンヌ・ピエチョンカフロレスタンクラウス・フロリアン・フォークトなど、実力派を揃えたキャスト。演出は2000年にプレミエ上演が行われたユルゲン・フリムの舞台。

      Fidelio 02

傑作揃いのベートーヴェンの作品の中にあって、どちらかといえば地味な存在のこのオペラだが、音楽は紛れもないベートーヴェンのもので、有名な「囚人の歌」を始め、やはり聞き応え十分!

 Fidelio 03
 Fidelio 04

レオノーレを歌ったカナダ出身のソプラノ、ピエチョンカは、ベートーヴェンの理想の女性像とも言われるこの役を素晴らしく情感豊かに歌い、印象的。

 Fidelio 05
 Fidelio 06

ドイツ出身のテナー、フォークトフロレスタン、ドイツ物を得意としているだけに、こちらも優れた歌唱。特に2幕最初の見せ場は、感情がこもった切々とした歌いぶりで素晴らしかった!

 Fidelio 07
 Fidelio 08

この二人を支える歌手たち、ロッコ役のファルク・シュトルックマンドン・ピツァロ役のグリア・グリムスリーマルツェリーネ役のハンナ・エリザベス・ミューラー(デビュー!)らも、堅実な歌唱で舞台を盛り上げていた。

 Fidelio 09
 Fidelio 10
 Fidelio 11

フランクフルト歌劇場の音楽監督を務めるセバスチャン・ヴァイグレの指揮は、やや音楽への踏み込みが浅い感じで、そつなく纏めているとは思うが、どこか物足りなかった。

 Fidelio 12

初演時から評価の高かったフリムの演出は、モダンでありながら音楽にぴったりと寄り添った感じのもので、未だに色褪せた感じがしない。相対的にメトらしい隙のない舞台で、ベートーヴェン唯一のオペラを存分に堪能する事が出来ました!

 Fidelio 13

Fidelio (1805年、ウィーン・アン・デア・ウィーン劇場にて初演)
演出: Jurgen Flimm
指揮: Sebastian Weigle
Leonore: Adrianne Pieczonka
Florestan: Klaus Florian Vogt
Rocco: Falk Struckmann
Don Pizarro: Greer Grimsley
Marzelline: Hanna-Elizabeth Muller (デビュー!) ほか
2017年3月16日、メトロポリタン歌劇場


⇒ ピエチョンカ出演のメト「エレクトラ」感想

テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

椿姫 〜 進境著しいヨンチェヴァのヴィオレッタ!

すっかりメトでもお馴染みになったウィリー・デッカー演出の「椿姫」。今シーズンはブルガリアのソプラノ、ソーニャ・ヨンチェヴァヴィオレッタに迎えての公演。

 Traviata 01
      Traviata 02

2013年のリゴレットでのジルダ役メト・デビューして以来、ボエームのミミオテロのデスデーモナなど、順調に主要な役をこなしてきているヨンチェヴァヴィオレッタは2014-15年シーズンにすでにメトで歌っている(私は未聴)のだが、今回のメト出演ではさらに進化した歌を聴かせてくれた!

 Traviata 03

彼女の声は、どちらかと言えば硬質な感じなのだが、低声域から高声域までムラがなく、トップノートでも輝かしく力強い。そういう意味では、病弱なというよりも、生命への欲求を感じさせるヴィオレッタなのだが、感情表現もなかなか細やかで、3幕それぞれ異なった歌唱表現が要求される屈指の難役を素晴らしく歌いこなしていた。細かいところは、まだまだ良くなっていくだろうし、これからもメトでの活躍が本当に楽しみ!

 Traviata 04
 Traviata 05

アルフレード役アメリカの若手テナー、マイケル・ファビアーノ。こちらはトップノートの力強さはまずまずだが、見た感じ同様、ちょっと神経質なアルフレードといった感じ。

 Traviata 06
 Traviata 07

アルフレードの父ジェルモン役はベテラン、トーマス・ハンプソン。前半の舞台で体調不良のため降板したりして心配していたが、当日は無事に出演。かっての威力あるバリトン声ではなくなって久しいが、抑えた歌いぶりが、かえってこの役に相応しい感じだった。

 Traviata 08
 Traviata 09

タクトを取ったのは、サンフランシスコ歌劇場の音楽監督を務めるニコラ・ルイゾッティで、こちらは活気のあるテンポで、過不足のないサポートぶり。

 Traviata 10

2005年のザルツブルク音楽祭アンナ・ネトレブコを一躍スターダムに押し上げたウィリー・デッカーの舞台は、主役のヴィオレッタに演技力が要求されるものだが、ヨンチェヴァはここでも無難にこなしていた。

 Traviata 11
 Traviata 12

La Traviata (1853年、ヴェネツィア・フェニーチェ劇場にて初演)
演出: Willy Decker
指揮: Nicola Luisotti
Violetta: Sonya Yoncheva
Alfredo: Michael Fabiano
Germont: Thomas Hampson ほか
2017年3月11日、メトロポリタン歌劇場


⇒ 2012-13年シーズンのメト「椿姫」感想

⇒ ヨンチェヴァ出演のメト「オテロ」感想

⇒ ファビアーノ出演のメト「ラ・ボエーム」感想

⇒ ハンプソン出演のメト「ホフマン物語」感想

テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

ウェルテル @ メトロポリタン・オペラ 〜 グリゴーロを聴きに行ったと思ったら。。。

先日の「ロメオとジュリエット」の好唱で、すっかりメトの次代を担うスターとなったヴィットリオ・グリゴーロ。その彼が続けて出演したのが、「マノン」と並ぶマスネの代表作、「ウェルテル」。こちらの歌唱も評判が良く、楽しみにメトへ!

 Werther 01

と思ったら、公演最終日だったこの日は、グリゴーロが出演していない事をプログラムを見て知る… 当日は、フランスのテナー、ジャン=フランソワ・ボラスがウェルテル役だった。相手役のシャルロットイザベル・レナード

      Werther 02

さて、気を取り直してそのボラス。すでに2014年のメトの公演でこの役を歌ってメト・デビューしており(その時は未聴)、ヨーロッパを中心に各地の歌劇場での実績も十分。リリックな声質だが声量・高音の伸びも十分で、なかなかの歌唱で、観客からも盛大な拍手を受けていた。惜しむらくは、フォルテで声を全開にしている時は良いのだが、ピアノからメゾフォルテ、かつ中〜低声域では歌唱が不安定に聴こえ、メロディー・ラインが綺麗に浮かび上がってこないきらいがあった事だろうか。

 Werther 03

ウェルテルが恋い焦がれるシャルロット役のレナード、メトで活躍し始めた頃は、声量が小さめという事もあるのか、メトの広大な空間では、表現の幅が狭いように聴こえるきらいがあったのだが、最近は情感を上手に歌に込められるようになってきたように感じる。本日のシャルロット役も感情のこもった歌唱で、印象的だった!

 Werther 04
 Werther 05

二人の主役を支える他のキャスト、シャルロットの妹ソフィー役のアンナ・クリスティシャルロットの夫アルベール役のデイヴィッド・ビジックらも丁寧な歌いぶりで好印象。

 Werther 06
 Werther 07

指揮はイングリッシュ・ナショナル・オペラの音楽監督を2015年まで務め、現在はベルゲン・フィルの音楽監督であるエドワード・ガードナーマスネの音楽はフランス・オペラらしい流麗でロマンチックな旋律の中に、ワーグナーを色濃く思わせる響きが感じられる独特なものだが、その音楽を十分に表現しきれていない感じで、もどかしさが残った。

 Werther 08

2014年にプレミエ上演されたリチャード・エアの演出は、このロマンチックなオペラを楽しむのに過不足のないもの。もっと上演されてもいい優れたオペラだと思うのだが、私が足を運んだ日がメトでは87回目の上演だった。

 Werther 09
 Werther 10
 Werther 11

Werther (1892年、ウィーン宮廷劇場にて初演)
演出: Richard Eyre
指揮: Edward Gardner
Werther: Jean-Francois Borras
Charlotte: Isabel Leonard
Sophie: Anna Christy
The Baliff: Maurizio Muraro
Albert: David Bizic ほか
2017年3月9日、メトロポリタン歌劇場


⇒ カウフマンが出演した2014年のメト「ウェルテル」感想

⇒ レナード出演のメト「フィガロの結婚」感想

⇒ ガードナー指揮のメト「ばらの騎士」感想

テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

清教徒 @ メトロポリタン・オペラ 〜 美声の競演!

本日のメトの演目は、ベルカント・オペラの傑作とされながら上演頻度はそれほど高くない、ベッリーニ最後のオペラ「清教徒」

 Puritani 01

2013-14年シーズン以来、3年ぶりの上演となった今回の舞台は、ハヴィエル・カマレーナディアナ・ダムラウという注目の顔合わせ!

      Puritani 02

先日のメト「セヴィリアの理髪師」をもって、アルマヴィーヴァ伯爵役からの引退を発表したカマレーナ、これからより重い声の役へとレパートリーを広げていく事が期待されているが、まずはベルカント・オペラ屈指のテノールの難役として知られるこのアルトゥーロ役

 Puritani 03

ハイCはおろか、第3幕ではハイFまで要求されるとんでもない役だが、実演でハイFを実際に歌う人はほとんどおらず、この日のカマレーナも聴衆からの期待をよそに、安全運転に徹したのか、音を下げて歌っていた。先日のセヴィリアの理髪師ではやや高音の伸びやかさに欠いている感じで、今回も最高域での声の輝かしさ・力強さはいつもの彼からすると、やや物足りない感じがしたのだが、アジリタは安定していて、ハイDまできっちりと歌いきっていたのには感嘆!盛大な拍手の中、「ハイFは?」というヤジが聴こえたが、それは酷というものだろう。

 Puritani 04

対するエルヴィーラ役ダムラウ、最近はメトでの主要な役は彼女が歌う事が多くなってきていて、メトの大黒柱的存在となった感がある彼女、先日の「ロメオとジュリエット」では、やや声が疲れているような印象を受け、今回も出だしはそういう感じだったのだが、尻上がりに調子を上げてきて、特に3幕のカマレーナとのデュエットは素晴らしく感動的で、ベルカント・オペラの醍醐味を堪能させてくれた!

 Puritani 05
 Puritani 06

主役二人をサポートする重要な役割を担うバリトンの二人、ジョルジョ役ルカ・ピサローニリッカルド役アレクセイ・マルコフは共に堅実な歌唱だったが、主役二人の充実ぶりに比べると少し影が薄い感じ。

 Puritani 07
 Puritani 08
 Puritani 09

指揮はメトではおなじみのマウリツィオ・ベニーニ。安全運転に徹したサポートぶりという感じだったが、ロッシーニベルカント系のレパートリー、たまには他の指揮者でも聴いてみたい!

 Puritani 10

1976年にプレミエ上演が行われたサンドロ・セクイの舞台は昔のメトらしい、伝統的なものだが、ベルカントものを歌える素晴らしい歌手が増えてきた現在、そろそろ新しい演出を期待したいところ。

 Puritani 11

I Puritani (1835年、パリ・イタリア劇場にて初演)
演出: Sandro Sequi
指揮: Maurizio Benini
Elvira: Diana Damrau
Arturo: Javier Camarena
Riccardo: Alexey Markov
Giorgio: Luca Pisaroni
Bruno: Eduardo Valdes ほか
2017年2月10日、メトロポリタン歌劇場


⇒ 2014年の前回上演感想

⇒ カマレーナ出演のメト「セヴィリアの理髪師」感想

⇒ ダムラウ出演のメト「ロメオとジュリエット」感想

⇒ ピサローニ出演のメト「フィガロの結婚」感想

⇒ マルコフ出演のメト「イル・トロヴァトーレ」感想

テーマ : ニューヨーク
ジャンル : 海外情報

プロフィール

アルページュ

Author:アルページュ
FC2ブログへようこそ!

カレンダー
05 | 2017/06 | 07
- - - - 1 2 3
4 5 6 7 8 9 10
11 12 13 14 15 16 17
18 19 20 21 22 23 24
25 26 27 28 29 30 -
最新記事
最新コメント
最新トラックバック
月別アーカイブ
カテゴリ
FC2カウンター
検索フォーム
RSSリンクの表示
リンク
ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード
QRコード