パルジファル @ メトロポリタン・オペラ 〜 新時代への期待が膨らむ名演!

2016年6月にメトロポリタン・オペラの次期音楽監督に指名されたヤニック・ネゼ=セギャン。昨シーズンはワーグナーさまよえるオランダ人の名演で、新時代への期待を膨らませてくれたが、今シーズンもワーグナー、しかも最晩年の大作、パルジファルに登場!

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今回の上演は、フランソワ・ジラールによる新演出となった2013年シーズン以来5シーズンぶりで、ルネ・パーペペーテル・マッテイが前回に引き続き出演する一方、クラウス・フロリアン・フォークトバイロイト音楽祭での活躍で知られるエヴェリン・ ヘルリツィウスが注目のメト初登場と、相変わらず充実のキャスティング。

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前回に引き続き出演のグルネマンツ役のルネ・パーペアンフォルタス役のペーテル・マッテイは相変わらずの素晴らしい歌唱で、しっかりとこの作品の下支えとなっていた。特に印象に残ったのはパーペで、深々とした声の美しさに聞き惚れた!

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パルジファル役のフォークトは、前回のカウフマンに比べ、リリカルな声質だが、劇を通じて成長していくパルジファルの変化をよく表現した歌唱。

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クンドリー役のヘルリツィウスはさすがバイロイトでの出場経験も豊富なだけあって、気迫のこもった素晴らしい歌唱でこの役を万全に表現していた。これからもメトで聴きたい歌手!

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そしてネゼ=セギャンはやっぱり素晴らしかった!同じワーグナーといっても初期の作品であるさまよえるオランダ人と最晩年のパルジファルとでは音楽の内容も(そして長さも!)全く異なるが、オーケストラからニュアンスに満ちた精彩溢れる演奏を引き出して、この長大な作品を一切弛緩する事なく表現したのには脱帽。

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ジラールの演出は相変わらず2幕のホラー映画のリングに出てくる貞子のような姿の人たちがゾンビのようにうごめくシーンが全くなじめない。。。

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それにしても、正式な音楽監督就任が今から待ち遠しくなりました。素晴らしかった!

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Parsifal (1882年、バイロイト祝祭劇場にて初演)
演出: François Girard
指揮: Yannick Nézet-Séguin
Parsifal: Klaus Florian Vogt
Gurnemanz: Rene Pape
Amfortas: Peter Mattei
Kundry: Evelyn Herlitzius 〜 デビュー!
Klingsor: Evgeny Nikitin ほか
2018年2月17日、メトロポリタン歌劇場


⇒ 2013年シーズン公演 感想

⇒ ネゼ=セギャン指揮のメト「さまよえるオランダ人」感想

⇒ フォークト出演のメト「フィデリオ」感想

⇒ パーペ出演のメト「魔笛」感想

⇒ マッテイ出演のメト「エフゲニー・オネーギン」感想

テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

イル・トロヴァトーレ @ メトロポリタン・オペラ 〜 高水準な歌唱の競演!

2015〜16年シーズン以来、メトでは2年ぶりの上演となったヴェルディ中期の傑作、イル・トロヴァトーレ

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当初ジェームズ・レヴァインが指揮する事になっていたのだが、セクハラ・スキャンダルのため降板、代わってベテランのマルコ・アルミリアートが起用されている。歌手陣はマンリーコに今や押しも押されぬトップ・テナーの一人となったヨンフン・リーをはじめ、新進と中堅を主体としたメトらしい抜かりのない配役。

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今回の上演で一番印象的だったのは、アズチェーナ役を歌ったジョージアのメゾ、アニタ・ラチヴェリシュヴィリ。高声域まで美しく伸びる声は迫力も十分で、オペラの中核となるこの複雑なキャラクターを存分に歌いこなしていた。カルメン役でメト・デビューして以来、注目してきた人だが、ついにヴェルディのメゾ役を歌える歌手に成長したという感じ!

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マンリーコ役のリーも、ドラマティックなこの役に相応しい声質で、ヴェルディのテナー役でも屈指の難役をよく歌いこなしていた。これでもう少しラテン的な情熱が歌に感じられるようになれば良いのだが、それは無い物ねだりだろうか。

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レオノーラ役は昨シーズンのシラノ・ド・ベルジュラックで病気降板のパトリシア・ラセットの代役として、ロベルト・アラーニャを向こうにして健闘した新進のジェニファー・ロウリー。こちらは出だしは少し不安定な出来だったが、オペラが進むにつれ、声に伸びやかさが出てきて、コロラトゥーラとドラマティックさを両立させなければならないこの難役について、満足のいく歌唱を披露してくれた。

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ルーナ伯爵役のハワイ出身のバリトン、クイン・ケルシーは上記3人に比べるとやや弱い印象だったが、バリトンの美味しい聴かせどころ満載のこの役をそれなりに歌いこなしていた。

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オペラ冒頭に聴かせどころがあるフェランド役のステファン・コーカンは深みのある声を良く生かした歌唱。

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アルミリアートヴェルディよりプッチーニの音楽の方が相性が良い指揮者のように感じるのだが、今回はベテランらしい手堅い音楽運びで、きっちりとレヴァインの穴を埋めていた。

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このオペラは主役4人の歌唱が揃わないといけないので、満足のいく舞台に出会うのが難しいのだが、高水準の歌唱を聴かせてくれる歌手が揃った時の感動は格別。今回はそういう意味では素晴らしい舞台となっていました。相変わらず水準の高い合唱団、ゴヤの絵を思わせるようなデイヴィッド・マクヴィカーの舞台もメトならでは!

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Il Trovatore (1853年、ローマ・アポロ劇場にて初演)
演出: David McVicar
指揮: Marco Armiliato
Manrico: Yonghoon Lee
Leonora: Jennifer Rowley
Azucena: Anita Rachvelishvili
Il Conte di Luna: Quinn Kelsey
Ferrando: Stefan Kocan ほか
2018年2月3日、メトロポリタン歌劇場


⇒ リー出演の2015年10月公演 感想

⇒ ロウリー出演のメト「シラノ・ド・ベルジュラック」感想

⇒ ラクヴェリシュヴィリ出演のメト「イーゴリ公」感想

⇒ マクヴィカー演出のメト「カヴァレリア・ルスティカーナ & 道化師」感想

テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

カヴァレリア・ルスティカーナ & 道化師 @ メトロポリタン・オペラ

昨シーズンに引き続いての上演となったヴェリズモ・オペラの代表作コンビ、カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師

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今シーズンの上演の目玉は、ロベルト・アラーニャトゥリッドゥカニオ役を務める事。道化師での相手役ネッダには、奥方のアレクサンドラ・クルザクが務める予定だったのだが、病気のため降板となり、代わってアメリカのソプラノ、ダニエッレ・パスティンが出演した。

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すでに2009年にメトで両役を歌っているアラーニャ、どちらかといえば、ドラマティックな声を要求される役よりリリカルなものの方が声質に合っていると思うのだが、アイーダラダメス役など、ドラマティックな役もこなしているオールラウンダーなので、特により叙情的なカヴァレリア・ルスティカーナの方ではさすがと思わせる歌唱を聴かせてくれた。この人はメロディラインを綺麗に浮かび上がらせて歌える人なので、何を歌ってもそれなりの水準で聴かせてくれるのが素晴らしい。

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カヴァレリア・ルスティカーナサントゥッツァ役はロシアのメゾ・ソプラノ、エカテリーナ・セメンチュクで、豊かな声を生かした情感のこもった、満足のいく歌唱。

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クルザクに代わってネッダ役を歌ったパスティンも好唱。カヴァレリアアルフィオ役・道化師トニオ役を歌ったゲオルグ・ガグニーゼも貫禄の歌唱で舞台を盛り立てていた。

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指揮は、サンフランシスコ・オペラの音楽監督で、メトでもおなじみのニコラ・ルイゾッティで、いつもながらの手堅い指揮ぶり。メトの合唱団もいつもながらの高い水準でした!

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Cavalleria Rusticana (1890年、ローマ・コスタンツィ劇場にて初演)
演出: David McVicar
指揮: Nicola Luisotti
Turiddu: Roberto Alagna
Santuzza: Ekaterina Semenchuk
Alfio: George Gagnidze
Lola: Rihab Chaieb
Mamma Lucia: Jane Bunnell ほか

I Pagliacci (1892年、ミラノ・ヴェルメ劇場にて初演)
演出: David McVicar
指揮: Nicola Luisotti
Canio: Roberto Alagna
Nedda: Danielle Pastin
Tonio: George Gagnidze
Beppe: Andrew Bidlack
Silvio: Alexey Lavrov ほか

2018年1月13日、メトロポリタン歌劇場


⇒ ガグニーゼ出演、2013〜14年シーズンのメト「カヴァレリア・ルスティカーナ/道化師」感想

⇒ アラーニャ出演のメト「シラノ・ド・ベルジュラック」感想

⇒ セメンチュク出演のメト「ヴェルディ: レクイエム」感想

⇒ ルイゾッティ指揮のメト「椿姫」感想

⇒ マクヴィカーによる新演出のメト「ノルマ」感想

テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

フィガロの結婚 @ メトロポリタン・オペラ

今回は、およそ1年半ぶりのフィガロの結婚

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今シーズンは、スザンナ役でメト・デビューとなったドイツのソプラノ、クリスティアーネ・カルクをはじめ、比較的若手のキャスト!

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さてそのカルク、今回がメト・デビューとはいっても、ザルツブルク音楽祭への出演など、既にヨーロッパでは実績十分の歌手。やや細めの感じの声質という印象だったが、演技とともに、存在感十分の歌唱でなかなかだった!

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伯爵夫人役は前回2016年3月の公演でもこの役を歌って好印象だったアメリカのソプラノ、レイチェル・ウィリス=ソレンセンで、今回も豊かな声量の美声で満足のいく歌唱だった。

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ケルビーノイタリアのメゾ、セレーナ・マルフィで、こちらも活気のある演技と生き生きとした歌唱でこの役らしさが出ていた。

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対する男声陣は、フィガロチェコのバス=バリトン、アダム・プラチェトカ、伯爵にヴェネズエラのバス=バリトン、ルカ・ピサロニだったが、女性陣に比べ少し影が薄い感じだった。まあ、劇の筋も、男性陣が女性陣にしてやられるという感じなので、これで良いのかも知れないが。。。

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指揮は古楽でおなじみのハリー・ビケットだが、意外にオーソドックスで手堅い音楽作り。モーツァルトの天才的な音楽を過不足なく再現してくれた。回り舞台をうまく使ったリチャード・エアの演出も良い。

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Le Nozze di Figato (1785年、ウィーン・ブルク劇場にて初演)
演出: Richard Eyre
指揮: Harry Bicket
Figaro: Adam Plachetka
Suzanna: Christiane Karg (デビュー!)
Count Almaviva: Luca Pisaroni
Countess Almaviva: Rachel Willis-Sorensen
Cherubino: Serena Malfi
Marcellina: Katarina Leoson
Doctor Bartolo: Maurizio Muraro
Don Basilio: Robert McPherson
Barbarina: Hyesang Park ほか
2017年12月23日、メトロポリタン歌劇場


⇒ 2016年3月の公演感想

⇒ プラチェトカ・マルフィ出演のメト「ドン・ジョヴァンニ」感想

⇒ ピサロニ出演のメト「清教徒」感想

テーマ : オペラ
ジャンル : 音楽

ディミトリー・ホロストフスキー追悼

かねてから脳腫瘍で闘病中である事を公表していたロシア出身で現代を代表するバリトンの一人、ディミトリー・ホロストフスキーが11月22日にロンドンで亡くなったという報に接した。

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初めて彼を聴いたのは、今から20年以上も前、トロントにおけるリサイタルだった。その時に歌ったロシア歌曲の感情のこもった熱い歌唱と、演奏会後のサイン会でのファンへのそっけない対応が対照的でその事が強く印象に残ったものだった。

 Ballo 7
 2015年5月のメトでの仮面舞踏会にて

その後メトロポリタン・オペラで何度も彼の歌唱を聴いたが、当初イタリアものではその歌唱に少し違和感を感じたものの、近年ではヴェルディのオペラでも本当に円熟した歌唱で、何度も感動を味わせてくれ、間違いなく現代を代表するバリトン歌手に成長した事を実感していたのだった。

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 2015年4月のメトでのドン・カルロにて

 Rigoletto 3
 2013年11月のメトでのリゴレットにて

今年4月に予定されていたエフゲニー・オネーギンは体調不良のためキャンセルとなったので、最後に聴いたのは2015年10月、脳腫瘍にかかっている事を公表した後のトロヴァトーレだったのだが、今までのベストとも言える素晴らしい歌唱を聴かせてくれ、終演後にオーケストラ・ピットから花が投げ入れられたのが印象的だった。

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 Trovatore 08
 2015年10月のメトでのイル・トロヴァトーレにて

同い年だけに常に気になっていた歌手だし、まさに歌唱にも円熟期を迎えていただけに、突然の訃報は本当に残念。。。

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